不安な時代を生き残るためのヒントーー『「働くこと」についての本当に大切なこと』

人生100年時代を不安から「生き残る」ことは本当に幸福か?

何のために働くのか。この問いを考えたことがない、という方はおそらくいらっしゃらないと思います。一方で、納得のいく自分なりの解を見いだせずにモヤモヤしている・・・そのような方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

リンダ・グラットンの著書『LIFE SHIFT』をきっかけに、「人生100年時代」という言葉がたびたび聞かれるようになりました。私たちは100歳まで生きる可能性が高まり、それに伴い80歳代まで働く必要がある、という意味を含んだ言葉です。

一方で、テクノロジーは指数関数的に進化しています。数年前の野村総合研究所による調査によれば、日本の労働人口の49%が就いている職業において、人工知能やロボットなどで代替可能になるという結果も出ています。

長く働かなくてはならない、けれども私たちが持っているスキルはどんどん陳腐化しテクノロジーで代替されていく。淘汰されずに生き残っていくために何をしたら良いのか、という不安や焦りの中で、私たちは生きています。

しかし、「生き残る」という感情だけでは何のために生きているのかが分からなくなってしまう。私たちは人として「幸福」を味わうことを求めているのです。

4つの作業で「生き残る」と「幸福」を両立させる

本書は、まさに働くことを通じて「生き残ること」と「幸福であること」をいかに両立させるか、そのために何が大事になるのかについて書かれた本です。

これらを考えるにあたっては、「何のために働くのか」という働く意味や目的がすべての原動力となるため、まずこの問いに対して自分なりの理解を深めることが重要である、というところからスタートします。その上で、生き残ることと幸福を得ることの両立を図るためには「自分に合う仕事」を選び、その中で「自分にとって居心地の良い場所」を見つけ確保し続けることで、豊かに働くことができる、と書かれています。

特に私が興味深く読んだのは、自分に合う仕事をどのように見つけるのか、という章です。著者いわく、自分に合う仕事を探すには4つの作業が効果的だとしています。

  1. 過去の棚卸し
  2. 将来を描くこと
  3. 仕事、会社、業界を知ること
  4. 明日やることを決めること

奇をてらった内容ではなく、「確かに大事だ」と素直に思える項目です。しかしこれらが簡単に実行できるかと問われると、やや難しく感じることも事実です。なぜ難しいと感じるのか。私の場合は、「ひとりで完結しようとしていること」が前提になっているからでした。

自分との対話のみでは、棚卸しも主観でしか行えず、広く業界を知ろうと思っても自分の理解の範囲内でしか選択肢は出てきません。他者からの客観的・多面的な視点を得ることで、より深い自己理解に繋がり、それがひいては「“自分に合う仕事”とはどういうことか」をクリアに描く一助になるのではないでしょうか。そのことを踏まえると、「4つの作業」に真摯に取り組むことと同時に、自分に対して新たな示唆を提供してくれる仲間やネットワークをどのように構築するかという点について真剣に向き合い行動に移すことが極めて大事になると、私は感じています。

生き残ることと幸福であることを両立した、より良い「働く」という時間を過ごすために、何を考えるべきなのか。そして行動に移すためには何が必要になるのか。そのようなことを考えるきっかけとして、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。

『働くことについての本当に大切なこと』
著者:古野庸一 発行日:2019/4/5  価格:2500円 発行元:白桃書房

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