翻訳イヤホン時代だからこそ英語で差が付く――レアジョブ創業者/中村岳氏の英語勉強法 

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グローバルに活躍するビジネスリーダーに英語の勉強法を聞く新連載。第1回は、オンライン英会話の先がけ「レアジョブ」の創業者、中村岳氏にお話をうかがいました。ほぼ独学でどうやって英語を習得したのでしょう?そして、グローバルに活躍するために必要なこととは?(構成:橋田真弓子/聴き手:伊藤紀行)

自分でハードルを上げ続ける

知見録: 英語を学び始めたきっかけは?

中村岳氏(以下、敬称略): 小学1年の夏休みに父親の転勤でエジプトのアレキサンドリアに行ったことです。インターナショナルスクールに通い、初めて英語に触れました。

2年弱住んでいましたが、英語がペラペラになったわけではありません。文法はよくわからず、ただ何となく単語をつなげて多少話すことができた程度です。なので、中学生になって英語の授業が始まったとき、いちから勉強しなおしました。

その頃から英語は将来的に絶対必要になると思っていたので、ラジオ英会話を聞いたり教科書を音読したりして、毎日10分以上は何かしらの形で英語に触れていました。この中学英語で、ある程度基礎を身につけました。

大学院時代やドコモに勤めていた頃は、基本的に英語に触れるのは論文を読んだり、論文サマリーを英語で書いたりといったことが、たまにあった程度。あとは海外の研究者や先生が来たとき、あるいは学会など英語で発表している人の質疑で使っていたくらいです。

知見録: 起業して英語を使う日々の中で、英語力を維持するためにしていることは?

中村: 自宅にAmazon Echoがあるので、英語のニュースを読んでもらっています。

さらに、自分でハードルを上げないと勉強しないので、海外のカンファレンスで発表するという目標を掲げています。今年の7月にはEdTech Asiaでパネルディスカッションに登壇したのですが、この2年間に海外で3件ほどこうした経験を積んでいます。

無理して全部英語で話さなくていい

知見録: 英語を話す際、マインド面で壁を感じたことはありますか?

中村: 外国人と話し慣れていない段階では、うまく話せないことはありました。ですが、話すことを繰り返していくうちに、間違ってもいいからどんどん話していけばいいんだと分かってきました。

知らない単語や言い回しはいっぱいあるので、そこは気にせずに別の言い方で言うようにしています。例えばこの机を表現したいけれど単語が分からないならば、「It’s a kind of ○○」と言って、とりあえず最低限でも相手に伝わるよう努力する。あとは、会話している中で相手が言いたいことを言ってくれることもあるので、それをそのままリピートしながら使っています。

ホワイトボードも便利ですね。たとえば英語で全部話そうとすると難しいですが、事前に議題を箇条書きで書いてから話し合うと伝わりやすい。エンジニアであれば、プログラムやフローチャートを書いたほうが伝わりやすいでしょう。文章で伝えることに固執しないことが重要だと思います。

そのうえで、相手の理解度を確認しておくとその後の意思疎通がスムーズになります。場合によっては、分かっていなくても「イエス」と言ってしまうこともあるかもしれません。相手の理解度は、「じゃあ、スケジュール教えて」とか「次のステップは?」と言って確認する方法もあるでしょう。あるいは議事録を作成してもらうと、理解しているかどうかがわかります。

これは相手が日本人であっても同じです。会議の場で誰も意見を言わなかったから合意していると思ったら、内容を勘違いしているということも。だから言語問わず使える方法ですね。

ビジネスパートナーの文化的・地理的な特性を理解する

知見録:英語以外に必要だと感じている力は?

中村:英語はもう、僕の中では1つのツールだと思っています。そのツールをうまく使いこなせないと苦労する場面は多いので、使いこなせるようにしましょうと。その上で、実際のビジネスの現場で何を実現しますかという点では、日本企業の経営者が感じている課題と大きな違いはないと思います。

あえて、違いを挙げるならば、フィリピンと日本では文化が違うので、相手の文化を理解した上で、仕事のプロトコルをつくって進めていかないと、成果につながりにくいと感じています。

例えば、日本ではガチガチに縛らなくても一人ひとりが自発的に動きますが、それはむしろ世界的に見たら稀で、フィリピンの場合もそういう動き方はあまり好まれません。ちゃんとジョブ・ディスクリプションやルールを作ることで効率的に仕事を回そう、という考えが主流です。日本の正解が向こうの正解ではないので、相手の文化的、地理的な特性を理解して、それにフィットするかたちでビジネスをすることが大事です。

地理的特性の例で言うと、スマホのアプリをつくる場合、日本だったら通信環境が速いのでリッチなサイトを作りますが、アジアでリッチなサイトをつくったら開かない。いかに軽くするか、の方が大事なのです。本質的なところで違いを理解しておくことが必要だと思います。

「英語が話せる」はレベルの高いビジネスパーソンの必須条件

知見録:Googleの翻訳イヤホン「Pixel Buds」が発売され、「もう英語が話せなくてもいい」と言う方もいますが?

中村:ハイレベルなビジネスパーソンになりたいのであれば、より英語が重要になると思います。

翻訳ツールは、旅先で使う分には十分だとは思います。たとえば、値下げ交渉をしたり、タクシーで行き先を告げたりといったシーンでは十分役に立つでしょう。また、日本はある程度の市場があるので、実際、人によっては英語が話せなくても問題ないとは思います。

ただ、世界では今や仕事ができる人はみんな英語がしゃべれます。ちゃんとグローバルに活躍したいとか、より会社を大きくしたいのであれば、英語は必須と言えます。

もちろん、最初の契約書や本当に大事な会議など、ちょっとでもニュアンスを間違ったらいけないシーンでは、プロに任せることが必要な場面もあります。そうではなく、例えばパーティーの場などで信頼関係をつくるのに翻訳機を使うことを想像してみてください。会話にタイムラグが発生し、スムーズなコミュニケーションとは言えないですよね。人は論理的な部分だけでなく、感情面からも物事を判断します。信頼関係を築き、よい感情を相手に持ってもらうためにも、共通言語を身につけることが必要だと思います。

知見録: そこまで到達するには、どのくらい英語を学ぶ必要があるのでしょう?

中村:通算で大体3000時間ぐらい英語の学習をすればある程度話せると言われています。中高と大学の英語を含めると、残りは1,000時間ぐらい。1日3時間英語勉強すれば年間で1,000時間、1日1時間ならば3年あれば英語を問題なく話せると考えると頑張れる気がしませんか。

オンラインでも双方向なら続けやすい

知見録: オンラインで学ぶことに対して不安を感じている潜在顧客は多いのでしょうか?

中村: オンライン学習全般に言えることだと思いますが、1人では誘惑が多くて真面目に取り組めないという方はいると思います。レアジョブ英会話の場合、人と話をするので一方通行にはなりませんが、ビデオを見る形式のEラーニングだと、さぼってしまわない仕組みが必要になってくるでしょう。一方で、モチベーションの高い人にとっては、どこでもできるので良いと思います。

知見録: オンラインであっても、レアジョブ英会話のような双方向のサービスは、続けるうちにだんだん講師と仲良くなって、人と人との結びつきみたいなものが生まれていますよね。

中村: そうですね。中には週に数コマしか空けてない講師もいるのですが、理由を聞くと「自分のレッスンを予約してくれるユーザーさんがいるから、そのために空けているんです」と。ユーザー様とのつながりがあるから継続している講師も多いです。

知見録:今後さらに個人として挑戦されたいことは?

中村: 1つは語彙力を高めることです。ネイティブとの圧倒的な違いは語彙力だと考えています。2つ目は相手に伝わりやすい英語のプレゼン法を習得すること。表現や言い回しはもちろん、笑いをどうやって取ればいいのかなど、今はとにかく場数を増やして思考錯誤しています。

知見録: 今日はありがとうございました。

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