G1サミット2023
第7部分科会P「世界に積極的に貢献するGX&脱炭素~ど真ん中から考えるエネルギー政策~」
(2023年3月19日開催/北海道ルスツリゾート)
ロシアによるウクライナ侵攻によって改めて浮き彫りとなった各国のエネルギー安全保障の脆弱性は、エネルギー政策の待った無しの現状を明らかにした。世界に積極的に貢献するGX・脱炭素・エネルギー政策とは何かをど真ん中から論ずる。(肩書きは2023年3月19日登壇当時のもの)
0:45 GX(グリーン・トランスフォーメーション)の本質とは
-日本の成長戦略にすることが需要。新興国と欧米の「緑の貿易戦争」が始まる可能性がある。
-GXは一昨年の年末から出てきた言葉。これを国益にどのように合致させるかが大事。
-GXとエネルギー政策は表裏の関係。中長期的に見ると、ロシアの天然ガス依存から脱却し、グリーンを進めなければならない。
9:30 欧州のGXについて
-18世紀の産業革命の非効率な燃料から化石燃料に移行するのも時間がかかった。トランスフォーメーションには時間がかかる。投資がないと移行は進まない。先進国から途上国への支援は義務づけられているが、恐らくアメリカはお金を出さない。どこがお金を出すのかが課題。
-日本はこれまでかなりお金を出している。お金の使われ方を監視する必要がある。
14:00 原子力を核とするエネルギー政策・今後との展望
-2012年当時、民主党政権で2030年代までに原発ゼロを目指すとしていた。当時と環境がかなり変わり、2030年までに温室効果ガスを46%削減しなければならない。このあたりを解決するために、原発政策も変えなければならない。選択肢をすべて残した上で、トータルでカーボンニュートラルを目指していく。
-日本の再生可能エネルギー導入はかなり進んでいて、日本は太陽光発電導入量で世界第3位。原子力は国家の覚悟。現状で新設・リプレイスはなかなか難しい。
24:30 カーボンプライシングについて
省エネ、再エネ、原子力をどうするかにおいて、それをどうファイナンスするかという問題がある。カーボンプライスという手法だけではなく、 インセンティブのあり方は様々あるのでそういうことも含め、全体としてどう進めていくかが大事。
-正直者がバカを見ない制度設計が重要。日本の燃料徴税や補助金などは、一種のカーボンプライシング。
33:00 金融機関からの観点
-法定開示は、日米では投資家のため、欧州では様々なステークホルダーのため。この考え方の違いは大きい。これは根本的な対立。欧州の開示と市場のインフラ整備が重要。GXにはリスクもあるが機会もある。両面について企業側と対話する必要がある。
41:00 参加者からの意見(水野氏/柴山氏/本田氏)
-(水野氏)日本のエネルギーミックスが実現しない限り、欧州にはモノが売れなくなる。エネルギーの輸出政策も含め、経済性の感覚を議論が必要。
-(柴山氏)欧州が都合の良いルールを作っていると言うが、途上国・中小企業も脱酸素に取り組まなければ、地球が死んでしまう。苦しくてもやらざるを得ない。
-(本田氏)カーボンプライシングは大きい。開示においては、出来ることからやっていくしかない。
45:00 全体討議
-再エネは太陽光、風力に期待されている。原子力については、技術的な問題、政治的な問題を分けて議論する必要がある。電力自由化は、本当に国民を幸せにするのか?
-エネルギー産業そのものではなく、いろいろ エネルギーに努力してるところにも何らかの形で裨益する取り組みはすべき。
-トランジションファイナンスを重要視している。
57:15 三宅氏によるセッションのラップアップ
-環境なき経済は犯罪。ただし経済なき環境も絵空事。経済と環境を両立させて好循環を生み出す必要がある。