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仮説思考とは?メリットや使い方を解説

投稿日:2017/11/04更新日:2019/04/09

『ビジネス仮説力の磨き方』から「仮説思考のメリット3:スピードアップ」を紹介します。

コンサルティングファームなどで新人が厳しく指導される仮説思考(仮の答えを持ち、それを検証しながら肉づけしたり修正してビジネスを進めようという考え方)は、非常に効果が大きい仕事術であり、誰もが日常的に意識することで向上させることができます。仮説思考には、「検証マインドが高まることによる説得力の向上」や「関心、問題意識の向上」などのメリットがありますが、昨今のビジネスシーンの激変ぶりを考えたとき、最も重要な効用はビジネスのスピードアップです。

たとえばベンチャービジネスでは大きな方針転換を「ピボット」といいますが、これはまさにビジネスを実際に進めて事業仮説を検証しながら、それを修正していくものです。こうした時代に、仮説を立てる能力と、それを検証する能力がないことは、ある意味で自殺行為とも言えます。そのくらいの問題意識を持ちながら、仮説思考を身につけることが必要なのです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

◇    ◇    ◇

仮説思考のメリット3:スピードアップ

現代のビジネスシーンにおいて、スピードは極めて重要な要素です。優秀なビジネスパーソンの方を見ていると、限られた時間のなかで何をすべきか/すべきでないかを、明確に決め、物事を先に進めていきます。逆に、仕事の効率が悪い人を観察してみると、何をどこまでやるかにメリハリがなく、優先順位づけができていないというケースが非常に多いのです。そして、そうした人をさらに深く見ていくと、共通しているのは、仮説を持ちながら仕事をするということ、さらに言えば仮説を検証し、修正・発展させるということをしていないのです。

強盗事件の捜査を例に考えてみましょう。捜査人員は限られるため、当然、最初に得たさまざまな証拠(現場の遺留品、目撃者の証言など)をもとに、可能性の高いと思われる仮説(内部の犯行かなど)を立て、それに優先順位をつけながら捜査を進めていくことになります。そして調べを進めるなかで、仮説がどんどん裏づけ(検証)され、容疑者が絞り込まれます。仮に、警察が何の仮説も持たずに捜査を進めたら、極めて冗長で無駄の多い捜査になってしまうでしょう。そして真犯人の見当がつかないうちに、どんどん証拠が風化してしまうのです。

ビジネスも同様です。たとえば、ある消費財のプロモーションのオマケの商材を決めるとしましょう。そのとき、「どんなオマケがいいですか?」と、何の仮説もなく消費者やチャネルに聞いてしまうと、それこそ収拾のつかない事態になります。自社の定める方向性と合致したアイデアが出てくる可能性は高くないでしょうし、スピードも大きくそがれます。

まずは自分なりにあらゆる情報を総動員して「これがいいのではないか」と仮説を持ちそれをヒアリングでぶつけてみる、あるいはテスト的に実施しながら検証するという手順を踏んだほうが、スピードははるかに向上します。

なお、個人やチームの意思決定や行動スピードが速くなってくると、それは企業全体の強みにもつながってきます。かつて、第一次産業、第二次産業が中心の時代は、工場や土地そのものが企業にとって重要な資源でした。もちろん、現代でもその要素は重要ですが、相対的な重要度は下がっています。それに代わって、より重視視されるようになってきたのが「ヒト」という要素です。

ヒトの持つ可能性、言い換えれば、各人の能力とやる気の積を最大化したうえで、スピード感をもって組織全体の成果につなげ(そのためにはさまざまな工夫も必要です)、企業価値を向上させることが現代の企業の重要なテーマなのです。

クイック&ダーティ(さっさと、ざっくり)

スピードについてもう少し掘り下げてみましょう。先に、ビジネスでは仮説の(事前)検証は7~8割くらいの精度で十分だと書きました。なぜ10割ではなく7~8割かというヒントもここにあります。10割を目指すことは、確かに説得力などは上がるかもしれませんが、それ以上に大事な要素であるスピードをそいでしまうのです。

また、そもそも、ビジネスの世界では、科学の世界のような普遍的・絶対的な真理があるわけでもありません。時間的にも場所的にも限られた下での「条件付き真理」にすぎないのです。明日には顧客の嗜好がすべて変わってしまうかもしれませんし、予想もしていなかった代替品が登場するかもしれません。

それゆえ、そんな「条件付き真理」を10割の精度で証明しようとするより、7~8割の精度でもいいからスピーディに動くことで競合に差をつけたほうがいい、という考え方が、経験論的にビジネスの場では有効とされているのです。この考え方を「クイック&ダーティ」(Quick&Dirty:さっさと、ざっくり。多少ラフでもいいからスピーディに)と言います。若いコンサルタントなどがよく先輩に言われるセリフです。

なお、これは余談ですが、なぜか「ダーティ」のほうだけが頭に残ってしまい、「確かに速いが、中身がない、使えない」といった仮説検証をしてしまうケースも見受けられますので、ご注意ください。

仮説思考のメリット4:行動の精度向上

「仮説を持つことがスピードにつながることはわかった。しかし、それはアクションの精度を下げてしまうことにならないのか?」
「仮説が間違っていた場合、間違った方向に進んだりはしないのか?」

こうした質問をよく受けます。実は、これは私かかつて抱いた疑問でもあります。結論から言えば、仮説思考を持つことは、スピードのみならず、行動の精度を上げることにもつながっていきます。ただし、そのためには、以下の2つが担保される必要があります。

・特に具体的行動レベルに近い仮説においては、より「解」に近い仮説を立てられるようになること
・検証の質とスピードを高め、仮説検証の作業を早くまわせるようになること

後者は、スピードを増すことで処理能力を増やし、それによって精度も維持しようというものです。

昔から「仮説検証」という言葉をあらゆる場で強調されていた鈴木敏文氏(前セブン&アイ・ホールディングスングス会長兼CEO)は、「仮説とは、なぜこの商品をこの数だけ売るのかの理由であり、検証とは店舗における結果である。必要があれば、新たに仮説を立てて検証する。これを繰り返すことが市場に対して価値を生む」といった趣旨のことを言われています。

まさに、仮説を立て、それが説明できるようにする、そして必要に応じて走りながら検証し、新しい仮説につなげていることがわかります。そしてこのやり方が正しかったことは、同グループの利益率や新商品の多さにも表れています。仮説検証は、個人ベースもさることながら、企業のスキル、文化として定着した時に、予想以上の効果を生むのです。

(本項担当執筆者:嶋田毅)

『ビジネス仮説力の磨き方』
グロービス経営大学院/嶋田毅  (著)
1600円(税込1728円)

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