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起業家にとって人的ネットワークは強力な武器となる

投稿日:2022/12/02

今年9月発売の『MBA 2030年の基礎知識100』から「第7章74 相談ができる起業家の先輩を持つ」を紹介します。

多くの社会的問題を解決したり、次世代の産業を生み出すうえで、起業家の存在は欠かせません。2030年にはベンチャーキャピタルが供給するリスクマネーも増えるでしょうし、キャリアの選択肢として起業を志す人々も増えるでしょう。しかし起業を成功に導くのは容易ではありません。アイデアと志はあっても必要な知識や知恵が足りず行き詰ることは多いものです。また、起業という厳しい環境の中、メンタル面でくじける人もやはりいます。そうした起業家を助けてくれるのが人的ネットワーク、つまり人とのつながりです。人的ネットワークがあれば、適宜必要な情報を得やすくなりますし、顧客候補や従業員候補などを紹介してもらえる可能性も増します。また、孤独感も大いに緩和されます。特に先輩起業家は、さまざまな情報や知恵を提供してくれる貴重な存在です。彼らと良い関係を構築し、厚みのある人的ネットワークを持つことが、起業の成功確率を高めるのです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、PHP研究所のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

◇    ◇    ◇

相談ができる起業家の先輩を持つ――コミュニティに参加しよう

前に述べたイノベーションを起こす力やプロダクト開発能力は非常に重要ですが、それだけで起業家がベンチャーを成長に導けるわけではありません。その他に普遍的に必要なものとして、お金についての知識と、マネジメント・チームを作って広げていく力が大切です。

お金に関する知識がないと、例えば戦略的な資金調達ができず、B/S(貸借対照表)などが非常に歪んだものとなってしまいます。ベンチャーキャピタルなどと適切なバリュエーションについて議論することもできません。そうなると、必要な資金調達ができなかったり、議決権を失いすぎたりします。

マネジメント・チームを作る能力も非常に大切です。望ましいのは、志を同じにしつつ、自身と補完関係にある仲間を集めることです。例えば、自分がプロダクト開発が得意なら、別のメンバーとして営業・マーケティングが得意な人間を集める、などです。

では、こうしたスキルや情報は、いかに獲得していけばいいのでしょうか。もちろん書籍やインターネットの情報をベースに独学することも重要ですが、それだけでは限界があります。例えば、「このビジネスであれば、このエンジェル投資家やベンチャーキャピタルにアクセスするといい」といった極めて身近な情報は、そう筒単に得ることができません。

そうした時に重要になるのは、起業家の先輩です。起業家のコミュニティに身を置いて、何でも相談できる仲のいい起業家の先輩を持つことが効果的です。そこから入ってくる情報や知識は極めて有益です。可能ならば1人ではなく、複数の親しい先輩を持つといいでしょう。知識を教えてくれるだけではなく、実際に必要な人材を紹介してくれることもあります。

こうしたネットワークはSNSのようなウェブ上でも構築できますが、やはりリアルの世界で作ることがより有効です。例えば慶應義塾大学出身の起業家であれば、その卒業生起業家のコミュニティがあります。クロービス経営大学院なども同様です。

アクセラレータープログラムの仲間なども非常に大切です。アクセラレーターとは、スタートアップ企業や起業家をサポートし、事業成長を促進する支援事業者のことです。セミナーなども開催しますし、コミュニティ維持にも熱心です。クロービスでも、現在、これを行っていますが、2030年にはこうしたプレーヤーがさらに増えるでしょう。そこで得られる情報そのものも役に立ちますし、そこにおける仲間の絆もかなり強いものがあります。それは積極的に活用しましょう。それ以外にもさまざまなコミュニティがあるので、時間が許す範囲でネットワークを広げるといいでしょう。

これは、特に東京ではやりやすいですが、地方は地方で、スタートアップの集積や、スタートアップを盛り上げようというエコシステムがあります。仙台の近辺にはソーシャルベンチャーが多いですし、長野県なども頑張っています。徳島県の神山町には地方創生的なベンチャーが集まっているなど、さまざまなベンチャーの集積があります。これらは自治体が支援をしていることが多いです。

2030年には、各地でこうしたコミュニティづくりが活性化していることが想定されます。 そういった自治体のサービスなどをうまく利用しながら、コミュニティに参加して、先輩の起業家とのネットワークを広げていくという方法論が、現実的には重要でしょう。

MBA 2030年の基礎知識100
著者:
グロービス 著・編集:嶋田毅 発行日:2022/9/22 価格:2,145円 発行元:PHP研究所

グロービス出版
グロービス電子出版

  • 嶋田 毅

    グロービス経営大学院 教員/グロービス 出版局長

    東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。
    グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

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