ダイバーシティニュース 教育(9/26)山口文洋【10/31までの限定公開】

山口文洋(やまぐち・ふみひろ):株式会社LITALICO 代表取締役副社長
ITベンチャー企業でのマーケティング・システム開発担当を経て、2006年、株式会社リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)入社。 進学事業本部の事業戦略・統括を担当し、2011年の新規事業プランコンテスト「New RING」にてグランプリを受賞、オンライン予備校事業「受験サプリ」を立ち上げる。2012年10月、『ゼクシィ』、『受験サプリ(現スタディサプリ)』、『カーセンサー』を扱う株式会社リクルートマーケティングパートナーズの執行役員に就任。2015年4月、リクルートホールディングス執行役員およびリクルートマーケティングパートナーズ代表取締役社長に就任。2018年4月、リクルート執行役員に就任。2022年4月、株式会社LITALICOに副社長執行役員として入社。同年6月、代表取締役副社長に就任。LITALICO 公式サイト

山口文洋さんのニュースピックアップ

1. 19年ぶりの新設高専が徳島県神山町で来年4月開校

教育業界にとって画期的なニュースだ。テクノロジーやデザインに関する授業など、この先の時代に合ったカリキュラムが満載のほか、毎週2名、旬の起業家が神山町まで足を運び講義を行うという。起業家精神も育まれると思う。また、パートナー企業10社からそれぞれ10億の支援を集め、計100億の奨学金基金を組成のうえ、そこで生まれる年間5億ほどの運用益を授業料などに回すことで完全無償化も目指すという。

2. 選択肢なき就活に変化を 高卒生向け就活サービス拡大

高卒生の就活では最初に応募できる企業を1社に制限する「一人一社制」がいまだ続いている。これが昨今の早期離職率の高さにもつながっているようだ。これを改善するよう国は都道府県に要望を出しており、今は秋田や大阪など4県が同制度を廃止した。求人票を何枚もコピーするのでなく、ネットで比較・応募できる仕組みなど、民間企業の就活サービスも広がりつつある。今後は高卒生の就活も多様化していくと思う。

3. 障害者の就労機会拡大に向け雇用率算定方法を見直し

障害者の実雇用率は2.2%。民間企業の法定雇用率は2.3%に定められており、国や自治体も同様の目標を掲げているが、今は週20~30時間の労働が雇用率算定で0.5人にカウントされてしまう。たとえば精神的な障害を持つ方が週30時間以上働くのはなかなか難しい現実もある。週20時間未満を1人分にカウントすると、民間企業も今までより多様な仕事を提供できて雇用率が上がり、働き方の多様化も加速するのではないか。

4. 発話障害に対応したGoogleの音声認識研究に日本語が追加

ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を進めるうえではテクノロジーも重要な手段だ。弊社も“次世代版補聴器”を開発する韓国のスタートアップに投資したりしている。本プロジェクトは、発話障害を持つ方の言葉をAIで学習させ、正しく相手に伝わる言葉に変換するというもの。今回は英語以外で日本語を含む5ヶ国語が研究対象となった。研究を経て本格利用されるようになれば 「障害がない社会」へ一層近づくと思う。

5. 特別支援教育の中止など求め、国連の委員会が日本に勧告

障害を持つ人々が抱える問題の解決に向けた国連の障害者権利条約を日本は2014年に批准しており、昨今は障害を持つ子どものインクルーシブ教育に向けた国の制度がかなり整ってきた。ただ、自治体や教育現場の予算または人手不足も相まって、先生方や保護者の方々の理解が得られずミスコミュニケーションが起きていた面はある。今回の勧告を機に、今一度インクルーシブ教育の優先度を高めていただければと思う。

【スペシャルトーク】「新しい時代の教育に向けて更なる挑戦を!」

スペシャルトークでは、「新しい時代の教育に向けて更なる挑戦を!」と題して、2011年にオンライン教育「スタディサプリ(旧受験サプリ)」を立ちあげた山口文洋さんに掘り下げていただいた。

私自身はいわゆる中流階級に生まれ育ち、かつては「日本って一億総中流なんだろうな」と思っていた時期もある。しかし、リクルートに入社して全国の子どもや保護者の方々にお話を聞いてみて、「今の日本の教育は意外と格差環境なんだ」と。良い教育を受けるには高いお金を払って塾や私立校などの民間サービスを受ける必要があるためだ。もしかしたら人生で唯一、出自に関係なく人生を切り拓ける手段となる教育が、そうした不公平な状態でいいのかと考えるようになった。

そこで、高品質な授業をオンラインでいつでもどこでも、かつ月額980円の低価格で受けられるようにしたのが「スタディサプリ」だ。今、日本の高校では40%ぐらいが同サービスを使っている。スマートフォンやYouTubeといったインフラの発展とともに、オンライン学習が1つの選択肢になることを牽引できているのではないかと思う。

一方で、近年は「皆で一緒に同じ勉強をする」という教育システム事態に課題を感じるようにもなってきた。英語、数学、理科、社会といった知識を学ぶことに日本の学校は多くの時間を使う。しかし、これからの時代は一人ひとりが別々であることを大前提に、学んだ知識を使って課題を設定したり、他者とのコミュニケーションのなかで課題解決を目指したりするような、いわゆる非認知能力を育むことが一層大事になる。そのために、人種や障害の有無も問わないインクルーシブなチームで問題解決を図る原体験を小中高で得ることが、社会を生き抜く力になると考えている。

そこで鍵になるのは、「一人ひとりが異なる個性を持った人間である」との前提に則って、それぞれのお子さんに個別支援計画を立てる障害者教育だ。障害児の教育プログラムを社会制度やインフラにしていくことで、ゆくゆくは障害の有無を超え、すべての人に個別最適な教育環境を提供する世界につながるのではないかと考えている。そうした教育で成長した子どもが社会へ出て行くことにより、真の意味でのD&Iな社会が日本に生まれるのだと思う。

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. YouTubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
3. radikoでも聴取可能です

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