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部下の仕事のアサインメント次第で生産性は数倍アップ

投稿日:2021/12/11

今年11月発売の『グロービスMBAミドルマネジメント』の第2章1節から「アサインメント」の一部を紹介します。

誰にどの仕事を与えるかはマネジャーの腕の見せ所と言えよう。それによって部署の生産性は大きく変わるし、部下個々人のモチベーションやスキルアップにも大きな影響があるからだ。適切にこれを行うためには、部下一人ひとりの得手不得手の把握に加え、彼らのやる気の源泉を正しく把握する必要がある。当然、日々の観察やコミュニケーションが大切だ。難しいのは、すべての仕事を部下が望むもので埋めることは出来ないという点だ。部署としてこなさなくてはならない「あまり面白くない仕事」は必ず生じるからである。そのバランスの良い割り振りや説得もマネジャーの仕事である。また、部下の潜在的な能力を引き出せるような業務の配分も意識したい。アサインメントを固定しすぎるのではなく、「彼/彼女にこの仕事を任せてみたら面白そうだ」という発想を常に持つこともマネジャーの資質の1つと言えよう。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

◇    ◇    ◇_

アサインメント

誰にどの業務を割り振るかで業務の結果が大きく変わってくるのは自明であろう。サッカーであれば、メッシやクリスティアーノ・ロナウドは、やはりバックスではなくフォワードで使う方がいいということだ。基本は適材適所、適材に適切な業務であるが、その他にも考慮しておきたい点があるのでここで紹介しよう。

個人に合った業務の割り振り

マーカス・バッキンガムは「ハーバード・ビジネス・レビュー」の論文「エクセレントマネジャーの資質」において、「エクセレントマネジャーは、時には常識外れでも、その部下の個性を理解し、これを受け止め、全体の業績へと生かす」と述べている。そして業務アサインメントについて次のような例を紹介している。

社員のなかに、頭の片側を丸刈りにし、もう一方を顔が隠れるくらい長髪にした、ロック歌手のようなジェフリーという若者がいた。彼は面接でも相手と目を合わせようとせず、もし希望者の少ない夜勤を志願しなければ、採用されなかっただろう。

 

数カ月して分かったことだが、ジェフリーに「すべての通路の商品を整頓して」といった曖昧な表現で指示すると、通常2時間で済む仕事が一晩中もかかり、出来もよくない。しかし、「クリスマス用のノボリの準備をして。お客様が正面から見えるように気をつけてね」と、より具体的な指示を与えると、てきぱきと完璧にこなした。つまり、細かく指示すれば、誰よりもうまくできることがジェフリーの持ち眛だったのだ。

 

(中略)

 

すべての店舗で「入れ替え」と「更新」という仕事がある。入れ替えとは、シーズンの変わり目などにすべての商品を取り替えることで、その時期は決まっている。たとえば、夏が終わると、日焼け止めクリームがアレルギー予防薬に場所を譲る。一方、更新とは、歯磨きや洗剤を新商品に交換する作業で、入れ替えほど大がかりではなく、さほど時間もかからない。ただし、どの棚も週回以上更新しなければならない。

 

ほとんどの店舗で各スタッフは接客だけでなく、必ず一つの通路が割り当てられ、その整頓、清掃、値札貼り、入れ替え、更新を担当する。この方式は単純で効率がよく、スタッフたちに責任感を植えつける。ミッシェルは、ジェフリーが接客は苦手だが、入れ替えと更新が得意なことを考慮して、彼に店舗全体の入れ替えと更新を任せることにした。

 

この仕事はかなりの重労働たった。1週間分の更新だけで、対象品目は優に7センチ厚のバインダーに上る。しかしジェフリーならやれるだろうし、また、他のスタッフもこの面倒な仕事から解放され、接客に専念できるというメリットがある。

 

結果は上々だった。売上げと利益が増加しただけでなく、顧客満足度という重要な業績指標も上昇した。4カ月もすると、ミッシェルが担当する店は全店舗中、最高点を獲得した。

これほどに適切なアサインメントは職場に影響を与える。「適材適所」のアサインメントは洋の東西を問わす、マネジメントの基本といえよう。

アサインメント(部下の職務設計と業部分担)を行うにあたっては、第1章でも触れたように、以下の条件を満たすことが理想である。

  • 自部署の役割や目標に照らして過不足がない。また非効率を生む漏れやダブりもない
  • 個々人が強みを発揮し、個人の集合体よりも大きなアウトプットが出せる(適材適所)
  • 個々人の繁閑などに大きなばらつきがなく、部下の問での不公平感なども少ない
  • 部下が、自分の将来のキャリアに向けて希望が持てる
  • 組織として変化に対応しやすい

アサインメントの二つの要素、職務設計と業務分担のうち、職務設計はまさにその部下に期待する役割や職責とダイレクトに関わってくる。本章のケースでいえば、須藤はもともと、機器・備品管理、セキュリティ管理、福利厚生業務、健康経営推進の円滑な運営や企画を期待されており、それに責任を持っていたということである(もちろん、最終的に責任を取るのは上司であるが)。部署がなすべき仕事のうち、特に定型業務(ルーティンとしてこなさなくてはならない業務)については、基本的にこの職務設計に沿って仕事が割り当てられる。

一方、アサインメントのもう一つの要素である業務分担は、短期的な部下の業務量調整などを意識し、より短い時間軸で考えることを含意する。特に非定型業務(新企画の立案、緊急の顧客対応など)や、定型業務であっても突発的に仕事量が増えた時などは、部下の得手不得手や忙しさなどを勘案し、適宜割り振るのが一般的である。

また、チームで対応すべき大きな案件(例:新プロジェクト)などは、部署としては年間や四半期の計画に盛り込みっつも、実際に誰にやってもらうかまでは当初には決めず、その時々の状況に応じて柔軟に対応することも多い。そのうえで状況を踏まえ、各人に役割を与え、分担するのだ。

職場や部下の仕事の内容によっても変わるので一概には言えないが、通常、ホワイトカラーの組織であれば、ルーティンの定型業務だけで部下の業務時間の100%を埋めてしまうのではなく、それは40%から80%程度とし、非定型業務に対応できるようなバッファ一を設けるのが一般的だ。

グロービスMBAミドルマネジメント
著者:グロービス経営大学院 監修:嶋田毅 発行日:2021/11/30 価格:3,080円 発行元:ダイヤモンド社

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