インプット系の数字とアウトプット系の数字を峻別せよ

今年7月発売の『入社一年目から差がつく 問題解決練習帳』から「Lesson17 2つの数字を意識する」の一部を紹介します。

例えば売上高や利益について分析する場合、その数字をさまざまな角度でブレークダウンしたり、何かの指標と相関はないかなどを調べたりします。この時、往々にして忘れがちなのは、インプット系(原因系)の数字と、アウトプットに関する数字をしっかり意識することです。例えば売上げが顧客満足度と相関する場合、顧客満足度はインプット系の数字となります。一方で、事業部ごとに売上げをブレークする場合、これはアウトプット系の数字となります。因果関係を正しく理解し、問題解決につなげるためにも、この2種類を峻別することはとても大事なことなのです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、東洋経済新報社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

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営業1課から3課の昨年度と今年度の成績を調べたところ、営業1課、2課は、昨年度も今年度も同じ1000万円でした。一方、営業3課だけは、昨年度の1000万円から今年度は1500万円と躍進していることがわかりました。

そこで、その躍進の理由を探るべく、さらにデータを集めてみたところ、以下の3つのデータが集まりました。

まず、ひとつ目が1人当たりの月の平均残業時間です。表1は1課から3課の平均残業時間を表にしたものです。比べて見てみると営業3課だけが、昨年度と比べて増えています。残業をして、課一丸となって取り組んだ結果が、今年度の実績につながったと考えることができそうです。

次にセミナーへの参加人数の実績です。 表2を見ると、3課だけが参加者数を増やしていることがわかります。このセミナーが奏功して、実績の向上につながっているということも考えられます。

最後に新規、既存の売上の内訳です。3課だけが、新規を伸ばすことに成功しています。よって、3課が伸びた理由は、新規の伸びと考えることもできそうです。

さて、ここで、ちょっと考えておきましょう。

3課の伸びた理由は、「残業を増やしたから」「セミナーに参加したから」「新規が伸びたから」と整理しましたが、実は、新規が伸びたということは、他の2つとは意味合いが異なっています。

残業とセミナーは、売上が伸びた原因の可能性ではありますが、新規が伸びたというのは、結果だからです。売上がどう伸びているのかを知るために、売上を分解すると見えてくるものであって、原因ではありません。

それと比べると、残業時間は残業時間なので売上を分解しても出てきません。また、セミナーもセミナーの参加者なので売上を分解して出てくる数字ではありません。整理して、図示すると以下のようになります。

整理をしたように、残業時間とセミナー参加は、「売上」ではない数字です。一方、新規、既存は、売上を分解すると出てくる数字です。ただ、「数字」になって並べられてしまうと、その違いを認識することなく、「同じ数字だ」という理解だけで分析を始めてしまうことが往々にしてあります。

そこで、まず、考えるべきことは、数字を見たら、それは、結果系の数字なのか、原因系の数字なのかを判断することです。その上で、「結果系の数字」を先にあたって、何か起こっているのかをしっかり理解しましょう。そして、「原因系の数字」にあたっていくようにしましょう。数字自身は、自分がどちらの数字なのかを語ってはくれないので要注意です。

 

入社1年目から差がつく 問題解決練習帳
著者:グロービス 執筆:岡重文 発行日:2021/7/30 価格:1760円 発行元:東洋経済新報社

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