ビジネスにおける原因究明は、スピーディに仮説を立てることから

今年7月発売の『入社一年目から差がつく 問題解決練習帳』から「Lesson11 理由を根拠づける」の一部を紹介します。

問題が生じたとき、その原因、言い換えれば問題が生じた理由を特定することが必要になります。たとえば発熱であれば、それがインフルエンザウイルスによるものなのか、別の病気によるものなのかで処置法は当然変わってきます。ビジネスも同様です。ただ、ビジネスで難しいのは、いろいろな原因が複雑に重なり合って問題が生じることが多く、また同じケースが繰り返されることが医療や気象などに比べて少ないという点です。そこで必要になるのが、完全に原因を特定することはそもそも難しいため、仮説的に原因を考え、クイックに動くということです。最初の仮説が間違っていたら、スピーディに新しい仮説を立てて物事を前に進めていくわけです。ビジネスにおける原因の究明は本来難しい作業であり、そこにいたずらにこだわることは好ましくないという意識を持ちましょう。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、東洋経済新報社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

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理由をつきとめる際の難しさを整理しておきましょう。

・他の影響がないということの証明は難しい

人は自分の言いたいことの証明に一直線に進みたがる傾向があります。この傾向によって、言いたいこと以外の影響を考慮に入れることがそもそもできない場合が多くあります。

加えて、仮にその他の影響に意識が及んだとしても、実際に他の要素に影響がないと証明することは難しいです。また、実際にはひとつの要素が理由ということよりも複数の要素が存在していることの方が多いため、そもそも特定は難しいということを理解しておきましょう。

・誰も正解とは言ってくれない

次の難しさは、誰かが正解と言ってくれる訳ではないという点です。問題が解消されたことをもって、それが原因だったのかもしれないとわかります。

また、起こっている事象に対して手を打ち、それがすぐに解消されるということが確認できるケースは、推定した原因が正しかったのだろうと考えることができます。

・再現性の確認が難しい場合がある

一方で、直接的には理由を確認できないケ-スもあります。例えば、人が辞める場合を考えてみましょう。原因を考え、対策を打った結果、人が辞めなくなったという事象をもって、その原因が正しかったのだろうと評価することはできます。ただ、すでに辞めた人が本当にその原因で辞めたのかは辞める前に確認しない限りわかりません。また、対策を打っている対象も違う人であり、厳密には同じ状況ではありません。

また、何らかの策を打つことによって、その策の影響が出てしまうこと、さらには、時間的に不可逆であるため、問題が起こっていた時の状態を再現することは難しいです。

したがって、原因を特定するということは、本質的には難しい行為であるということを理解した上で、できる限り根拠づけられるよう、努力していきましょう。

入社1年目から差がつく 問題解決練習帳
著者:グロービス 執筆:岡重文 発行日:2021/7/30 価格:1760円 発行元:東洋経済新報社

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