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問題解決の効率化のために「本当に解決すべき問題」を見分ける

投稿日:2021/08/20更新日:2021/08/24

今年7月発売の『入社一年目から差がつく 問題解決練習帳』から「Lesson3 本当に起こっているのかを確認する」の一部を紹介します。

極論すれば、我々の身の回りは「問題である可能性のある事象」にあふれています。たとえば、昨日とは違う妻のつっけんどんな態度はひょっとしたら離婚を考え始めた現れかもしれませんし、息子のちょっとした反抗も、ぐれ始めたサインかもしれません。一方で、これらは単なるその日の機嫌の悪さや、ちょっとしたストレスの発露かもしれません。つまり、一見問題と思えそうなことであっても、それが本当に問題の萌芽である可能性もあれば、取るに足らない一過性の出来事の可能性もあるのです。時間が無限にあるのであれば、心配事をしらみつぶしに調べることもできますが、残念ながら時間という資源は有限です(だからこそ最も価値のある資源ともいえるわけです)。貴重な時間を無駄遣いしないためには、問題解決に先立って、問題の萌芽に気づく慎重さを持ちつつも、「時間をかけてまで解説すべき問題なのか」をスピーディに見分ける姿勢が求められるのです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、東洋経済新報社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

◇    ◇    ◇

「問題」があると、すぐに解決をしなければと考えてしまいます。ただ、その「問題」は、たまたま発生しただけのことかもしれません。その場合は、解決策を検討し、講じることが逆に余分な労力になってしまいます。「問題」が本当に「問題なのか」、しっかりと見極めていくためにはどうすればよいのでしょうか。

***

ある日、「御社のサービスに非常に満足した」というメールを受け取りました。嬉しくなったあなたは、上司に報告をしたところ、「それはたまたまじゃないのか」と誉めてもらえませんでした。別の日に、「御社のサービスは、期待していたレベルではなかった」というメールを受け取りました。「たまたまではないか」と思いつつ、クレームではあるので、上司に報告したところ、すぐに謝罪のメールをし、サービスに問題がないかを点検するようにと指示をされました。

満足してくれている人が1人しかいなくて、その1人が声を上げてくれたのか、満足してくれている人が一定数いて、その中の1人が声を上げてくれたのか、そのどちらなのかが、その1人だけからは判断ができないことが悩ましさです。

後者の例も同様で、不満足な人が1人しかいなくて、その1人が声を上げたのか、不満足な人が一定数いて、その中の1人が声を上げたのかが、その1人だけからは判断が難しいということです。

いずれの場合も、もし一定数の人数が同じように感じているのであれば、2人目、3人目の人から声があがる可能性がありますので、少なくとも複数の声を確認した方がよさそうです。

ここで意識したいのは、「予兆を拾うこと」と「発生していることの確認」は、分けて考えることです。最初の1人目の情報は、考えるきっかけを与えてくれるという意味ではとても重要ですが、それがはたして、たまたまなのか、そうでないのかを見極めることは重要です。往々にして、ひとつの事象がすべてであるかのように受け止めて、過剰な対応をとるということが発生します。特にネガティブな声の場合はその傾向が強まります。

POINT
�@1件目の情報に敏感になること
�A発生していることの確認をきちんとすること

�@1件目の情報に敏感になること

環境は常に変化していますので、なんらかの変化が起こっている可能性は常にあると考える必要があります。そして、何事もない時も、何事もないという平常時の状況をしっかりと認識しておくことが重要です。そうすることで、「いつも」と違ったことが発生した場合に、その変化に敏感になることができます。

�A発生していることの確認をきちんとすること

いつもと違う情報=予兆が確認できたら、次は、発生しているかどうかをきちんと確認しましょう。それが、本当に起こっていることか、たまたま起きたことなのかを見極めていく必要があります。

もし、情報を収集することができる状況であれば集めてみることです。集められない場合は、時間の経過を見守り、待つことになりますが、いつもよりも感度を高くして待つ必要があります。過去に類似例がなかったかを調べてみることもひとつの手段になります。

予兆は予兆として大切にするものの、騒ぎすぎるのはいけません。だからといって、時間をかけて、労力をかけて、調べることを重たくし過ぎないことも重要です。バランスを考えて、次のアクションにつなげていきましょう。

入社一年目から差がつく 問題解決練習帳
:グロービス、岡 重文 発行日:2021年7月30日 価格:1,760円 発行元:東洋経済新報社

  • 嶋田 毅

    グロービス経営大学院 教員/グロービス 出版局長

    東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。
    グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

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