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コミュニケーションのコスパを意識していますか?

投稿日:2017/02/18更新日:2019/04/09

『グロービスMBAクリティカル・シンキング コミュニケーション編』から「良いコミュニケーションの条件」を紹介します。

コミュニケーションは、目的さえ達成されればそれで合格というものではありません。何らかの工夫をすることで手間暇や時間が削減できるにこしたことはありません。コミュニケーションもビジネスの活動である以上、当然コストパフォーマンスの視点が必要なのです。特に管理職ともなれば、1日の間にこなさなくてはならないコミュニケーション量のだけでも膨大なものになります。無駄なコミュニケーションに時間を費やすのは経営資源の浪費です。

一方で、コミュニケーションの効果は長期にわたるので、近視眼的に費用対効果ばかりを意識するのは得策ではない面もあります。ある程度のメリハリをつけながら、少ないコストで最大限のパフォーマンスを出せるよう創意工夫したいものです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

◇ ◇ ◇

良いコミュニケーション

良いコミュニケーションの要件とは何なのだろうか? ここでは最も重要な2つについて説明する。

目的を達成する

まずは、そのコミュニケーションにより、当初の目的が達成できることが最低条件といえよう。これはクリティカル・シンキングのベースでもある。

説得することが目的であれば、相手が納得してこちらが望む行動を起こしてくれることが目的達成になる。心理的な安心感を与えることが目的であれば、相手の話を聞いてあげて、相手がこちらに対して心を開いてくれることが目的の達成になる。

それゆえに気をつけるべきなのは、当初の目的の設定が、妥当性の高いものでなければならないということだ。たとえば、目的を「相手を嫌な気持ちにさせる」と設定し、嫌味や皮肉のこもったコミュニケーションをすることでそれを実現したとして、これはほめられた行為といえるだろうか?

もちろんノーだ。「相手を嫌な気持ちにさせる」という目的が、生産的で明るい職場づくりや、外部パートナーとの健全な関係構築につながることはまずない。ネットの匿名掲示板などでは、受け手の気分を害する能力(?)に長けている人間もいるが、そうした能力はビジネスの現場では役に立たない。

企業経営の基本目的は、社会に貢献しながら企業価値を中長期的に最大化することである。したがって、ビジネスにおけるコミュニケーションも、最終的にはこの目的の達成につながってくる。その一歩手前の目的として、以下のようなものが典型として挙げられるだろう。

【対社内】
●人々を鼓舞しモチベートする
●人々のスキルを高める
●高い業績達成のために正しい意思決定をし、それをしっかり知らしめ、積極的に行動してもらう
●粘り強く業績達成のために頑張ってもらう
●会社の将来につながるような新しいアイデアを出してもらう
●問題をスピーディかつ適切に解決していく

【対社外】
●製品・サービスを(望ましい価格で)購入してもらう
●必要なリソースを(望ましい条件で)提供してもらう
●自社に関する良い評判を広げてもらうことで、売上げの向上や経営資源の獲得が促進される

こうした目的は、さらに具体的な目的にブレークダウンされる。たとえば、「人々を鼓舞し、モチベートする」であれば、ビジョンを正しく示す、勇気づけを行う、叱るべき時にはしっかり叱る、などが挙げられよう。

こうしたブレークダウンされた目的が、上記のサブ目的、さらには企業の究極の目的である「社会に貢献しながら企業価値を中長期的に最大化する」につながっていることを確認することが必要だ。

コストパフォーマンスが良い

もうひとつ大事な要素は、コストパフォーマンスの良さだ。タイプによって若干の差こそあるものの、基本的には、コミュニケーションには準備、実施、フォローアップと大きく3つの段階がある。それぞれについて、短い時間や少ない手間で効率的に実行することができれば、ビジネスの生産性は大きく上がる。

なお、このプロセスはコミュニケーションにとどまるものではなく、ビジネス活動すべてに共通する、非常に汎用性の高い「プロセス型」のフレームワークである。常に自分がプロセスのどの段階にいるかは意識したいものである。

たとえば準備について、本来なすべきことをいい加減にやってしまっては、コミュニケーションの目的を達成できない。交渉相手の合意を取り付けたはいいが、その相手が実質的な意思決定者ではなく、一から交渉し直さなくてはならなかった、などということになりかねない。分母を小さくしたはいいが、それ以上に分子が小さくなってしまっては、本末転倒だ。

このバランスをどうとるかは、なかなか難しい。特にマネジャーともなれば、コミュニケーション案件が1つだけということはまずない。複数の案件について、自分の時間的な制約も勘案しながら、バランスのよいコミュニケーションをすることで、トータルとしてのコストパフォーマンスを上げることを意識しなくてはならない。ファイナンスで言う、ポートフォリオ的な考え方が必要になる。

(本項担当執筆者:グロービス出版局長 嶋田毅、HRデザインスタジオ代表 生方正也)

『グロービスMBAクリティカル・シンキング コミュニケーション編』
グロービス経営大学院  (著)
2800円(税込3024円)

 

  • 嶋田 毅

    グロービス経営大学院 教員/グロービス 出版局長

    東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。
    グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

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