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トランプ氏の交渉術から「アンカリング」について考える

投稿日:2017/01/21更新日:2019/04/09

20日にトランプ大統領の所信演説がありましたね。期待をもって受け取られた方、不安を感じられた方、それぞれだと思いますが、結果は4年後、見えてくることでしょう。さて、ここまでは強気の発言で目立ってきたトランプ氏、「最初に強く自身の意向を明確に提示する」という行為は、交渉術でいうところのアンカリングと捉えることもできます。

旅先でのお土産モノの値段交渉、店員が第一声、ふっかけた値段を提示してくることがまさにアンカリングの例になります。最初の一手を打ちこむことで、それがアンカー(碇)の役割を果たし、その後の交渉はアンカーに影響を受けながら進んでいくことになります。「メキシコに工場を建てるのはけしからん」といったトランプ氏の発言に呼応するように、GMやトヨタが理解を求める発言をしたこともアンカーが効いていると捉えることもできます。

一般的には、アンカリングは相手が交渉から離脱することを選択しない程度で行うこと、アンカリングの結果、相手がどう動きそうかについてある程度自信をもって読めるときに行うのが良いとされています。また、アンカリングを打たれた側は、すかさずカウンターのアンカーを打ち返すこと、もしくは、打たれたアンカーを無視することができればそれも可とされています。

さて、このアンカリング、上述の例もそうですが、何も価格だけが対象ではありません。何かの依頼を受ける時、自分自身ができる最低ラインでコミットできそうな内容をアンカリングとして提示し、相手の期待値を自分ができる最低ラインでアンカリングしておくようなこともできます。すると、これは自分自身のリスクヘッジにもつながりますし、結果的に最低ライン以上のアウトプットになれば、差分は相手からみれば、当初の想定以上のものを出してくれたことになります。その差分の程度によっては、サプライズにもつながります。自分がより有利になるようふっかけるアンカリングも常套手段としてもちろんアリですが、アンカリングを行うのならむしろ相手にとってもサプライズにつながるようなアンカリングを使いたいものです。

今トランプ氏に対して皆が持っている期待値、本人が意図したアンカリングかどうかは別として、サプライズにつながっている4年後であることを望みます。

  • 岡 重文

    グロービス経営大学院 教員

    担当科目は「ファシリテーション&ネゴシエーション」、「クリティカル・シンキング」、「ビジネス・アナリティクス」など。京都大学工学部応用システム科学専攻 修士課程卒業。NTTデータに入社し、SEとして複数のシステム開発に従事した後、ネットワーク機器の製品開発に携わる。その後、プライスウォーターハウスクーパースに入社。プロジェクトマネジャーとして複数のプロジェクトを担当。 2000年、グロービスに入社。企業研修担当、eLearning事業の立ち上げに関与したのち、グロービス・グループの情報システム部門を統括。2007年より経営管理本部にて人事・総務を兼務。2013年よりファカルティ部門。

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