G1カレッジ2016
第2部全体会「『ビジョンと行動』~先駆者たちはビジョンを胸に目の前の壁をどう乗り越えたのか~」
たったひとりのビジョンが、世界を変えることがある。貧困削減を掲げてNPO法人Living in Peaceを立ち上げた慎泰俊氏、企業勤務から志を抱いて政界に転身した細野豪志氏、「国産ERPパッケージを開発して、日本企業の情報投資効率を世界レベルへ」と起業した牧野正幸氏。たったひとりが描いた夢は、どのように周囲を巻き込み、大きな力となって世界を変えたのか。品川女子学院の漆校長が聞く。(肩書きは2016年11月23日登壇当時のもの)
<動画冒頭をテキストでご紹介>
漆氏: 思い付く人は1万人、それを言葉にする人は100分の1の100人、そしてそれを行動に移す人はそのまた100分の1の1人という話を聞いたことがあります。今日は思想を行動に移した3人の方からお話を聞いて、皆さんのビジョンが今日1日の行動に移るようなセッションにしたいと思います。
それでは早速ですが、慎さんから、今、自分がしている取り組みを、今日のテーマに沿って3分~5分くらいでご紹介いただけますか。
慎氏: どちらも団体名(五常・アンド・カンパニー株式会社/認定NPO法人 Living in Peace)が長くてすみません、慎です。「お前誰だ」という感じの方もいらっしゃると思うので説明しますと、私が仕事でやっているのも、NPO活動、パートタイムでやっているのも「機会の平等」です。
人が生まれた時に背負った色々なものがあると思うのですが、それによってその人の運命が決まるような世の中は、私はすごく嫌なんです。途上国ですと今も25億人の人たちは、金融機関を使ったことがないのです。お金を借りられない、貯められない、送れない、保険に入れないという人たちが人類のだいたい3分の1弱、当たり前に存在するわけです。それをゼロにしたいと思い、民間版の世界銀行を作ろうということで会社を作りました。
私がなぜ、今のこの金融の仕事をやったかというと、もともと修行を積んで、モルガン・スタンレー、ユニゾン・キャピタルという会社で働いた後で、30代からやろうとしたんです。金融の仕事は年を取ってからやる仕事ですから、30歳でもまだ若いのですが、やっています。
今はカンボジア、ミャンマー、スリランカの3万人の人たちに金融サービスを届けています。会社を始めて2年半です。社員がだいたい今、250人くらいいます。
それをしながら、実はモルガン・スタンレー時代から、ずっとNPOをやっていました。それがLiving in Peaceで10年目になります。主に何をやっているかというと、国内の子供、特に親と育つことができない子供たちの支援です。皆さんご存じか分かりませんが、今、国内に5万人くらい親と一緒に育っていない子供たちがいます。その子供たちは里親家庭や施設で暮らしているのですが、5分の1が高校を中退するんですね。今、このご時世、高校中退すると行き場がないわけです。そういった子供たちが一人でも減るように、施設の環境を変えるとか、里親を支援するとか、そういったことをずっとやっています。(この続きは動画でご覧ください)