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星野佳路・星野リゾート代表が語る「優れたリーダー」になるためにすべき5つのこと

投稿日:2016/12/01更新日:2019/04/09

G1U-30フォーラム2016
第1部全体会「日本・世界を動かすリーダーになるためには Ⅰ ~今後求められるリーダーとは~」

「100年後に旅行業は世界で最も大切な平和維持産業になっている」。こう予測し、次なる100年の旅産業の変革に取り組む星野リゾート代表、星野佳路氏。この夏「塔の日本旅館」をコンセプトにした「星のや東京」をオープンし、世界に通用する日本旅館づくりに挑む。海外へと舞台を広げる星野氏は、日本・世界を動かすために求められるリーダー像をどのように描いているのか。
米国でホテル経営を学び、日本の旅館業界の危機を前に31歳で家業を継ぐことを強く決意。社員一人ひとりが主人公となって“おもてなし”を実現する組織をつくり「リゾート運営の達人」として手腕を振るってきた。任せれば、人は楽しみ、動き出すという。「マネジメントはサイエンス」と数々の経営の定石を心得、組織のあるべき姿を考え抜いてきた星野氏が、“世界で勝つ”リーダーについて語る。(肩書きは2016年11月5日登壇当時のもの)

<動画の全文書き起こし>

星野佳路氏:皆さん、こんにちは。よろしくお願いします。最初に私、20分、時間をいただいているので、ビジネスの分野において「リーダーシップ」って何だったんだろうなということを振り返って、皆さんに少しお伝えしたいというふうに思っています。

「リーダーシップ」に必要な5つの要素

じゃあ早速、意外に細かいことを今日はお話したいと思っているんですけど「リーダーシップ」という中で、私は海外の投資家とも仕事をしてきたり、それから日本の国内でも、特に地方でいろんな仕事をしてきたりしてるんですが、その分野を5つぐらいに分解して、今日は「リーダーシップ」ってこういう要素が重要なんじゃないかなっていうことでお話ししたいと思います。

1、共感を得るコミュニケーション力

まず第1が、やっぱり何と言ってもリーダーシップで欠かせない点というのを一番最初に押さえると「コミュニケーション」なんですよね。「コミュニケーション」は、もちろん日本語でのコミュニケーションも大事なんですが、恐らく堀さんがダボス会議に行ったときに衝撃を受けたっていう話を含めて、やはり英語ですよね。この英語のコミュニケーションが、私の日本の地方で仕事をする上でも、すごく重要だったわけです。それは、私たちの旅館やリゾートの多くが、海外のファンドが投資してくれていたりとか、または2005年に私どもはゴールドマン・サックスが日本に投資するときの運営パートナーに選んでいただいたりなんていうときに、なぜ星野リゾート、当時、まだまだ力がなかった私たちを選んでくれたのかというと、一つは私たちの「英語でのコミュニケーション力」っていうのが、ほかの旅館やほかのホテルに比べて、やっぱり高かったっていうことはあると思ってるわけです。彼らとやはり対等の立場で戦っていくためには、またはパートナーシップを組んでいくためには、直接コミュニケーションができる国際性みたいなところは、私は欠かせない能力で非常に大事なんじゃないかなっていうふうに思っています。よく言われるんですけど、ユーモアのセンスって結構、コミュニケーションの中で大事なんですよね。ですから、皆さん、自分がユーモアがある、ないっていうふうに少し思ってるかもしれませんが、自分が友達と話してるときには、大笑いしながらいろんなことを会話しているんですよね。意外にそこの人間性を発揮する部分のコミュニケーション力っていうのはすごく大事だっていうふうに私は思ってまして、単に英語でコミュニケーションができるとか、単に日本語でしっかりとものを伝えることができるっていうだけではなくて、共感を得るコミュニケーション力っていうのが、実はリーダーシップを発揮する上で私は不可欠な要素なんじゃないかなって、これを第1の要素として挙げたいなというふうに思ってます。

2、事実を正確に把握する力

じゃあ、第2番目。意外に「事実を把握する」って、すごいリーダーシップに大事だなと僕は思っているんですよね。事実っていうのは、数字だったりとか、それから後から考えてみたときの正しさだったりとか、それからその人の言っていることの信頼性みたいなところにすごく関わってくる部分で、私も長い仕事をしていて、実はいろんなコミュニケーションを取ってきたんですけど、自分でちょっと後悔のあるセッションや会議があったり、それから自分の中で今日はうまくいったなとかっていう、すごく信頼を得ることができたっていうこともたくさんあるんですけど、その差を見てみると、やはり自分の準備ですよね。事実をいかに正確に把握して、数字を頭に入れていて、そして相手と話すときに感覚だけではなくて、事実に基づいて自分の発想を伝えることができる。
リーダーシップっていうのは自分の考えと発想に、皆さんに共感してもらって、何となくグループや組織がそっちの方向に向いていくっていうことをリーダーシップっていうふうに、私はビジネスの世界では定義しているんですけど、そのときに実態を理解している、事実を分かっている、数字で把握しているなんてことは、すごくリーダーにとって大事な要素なんじゃないかなと思っています。なので、皆さんもいろんなところでいろんな機会に自分のリーダーシップを発揮しなきゃいけないんですけども、それっていうのは何かカリスマ的な能力とかっていうこと以外に、意外にこの事前の準備や事実の把握なんてことに心掛けてみるといいんじゃないかなというふうに思っているわけです。

3、決断する力

3つ目で私が思っているのは、実は「決める」っていうことなんですよね。私の会社の中でも、いろんな総支配人がいたり、マネージャーがいたり、時にマネージメントポジションにスタッフを抜てきしたりするんですけども、私自身もそうなんですが、一緒に仕事をしている組織の構成員、働いている人、それからチームメンバーがやっぱりストレスを感じるのは、物事が決まらないときなんですね。皆さん、組織の上に立っていて、決まるんだったら早く決めたほうがいいっていうふうに思うと思うんですよ。皆さん、なぜ決められないかっていうと、正確な答えが、本当にこれでいいのかっていう迷いがあるときなんですね。誰もがこうすれば売り上げが上がるとか、こうすれば戦略的に競争に勝てるなんてことは分からないわけですから、どんなに情報を集めても、どんなに検討しても、どんなにコンサルタントの意見を聞いても、本当に確信を持って、そして自分がこれだっていう自信が持てるものに出会うことっていうのは非常に少ない。それがリーダーとか、責任あるポジションに人が置かれているときの環境なんですよね。つまり、限られた情報と、限られたデータと、それから決断する環境の中で、十分じゃない中で、自分は何らかの決断を出していかなきゃいけないっていうのがわれわれの置かれているポジションなんですね。
一番うまくいかない経営者、または総支配人、マネージャーっていうのは、私もこの仕事を25年やってるんでよく分かってるんですけど、実はものを決めない人なんです。なかなか決めない人なんですよね。もうちょっと検討しようとか、もうちょっと情報を集めようとか、もうちょっとマーケットの調査をしてみようとかって、ものが分かんないときに市場調査してみようって僕らのビジネスではよくあるんですけど、市場調査を永遠にして、どんなにお金かけても結局何が正しいか分かんないっていうことはよくあるんですよね。意外にチームが結束して、いい結果を出していくときっていうのは、早く決めているマネージャーっていうのが多いんですよね。物事を決めることによるストレスのなさっていうんですかね。これだ、右だ、左だ。「間違ってもいいから、ある程度の検討をしたら、ものを決めようね」というふうに、私は社内で話しているんですけど、本当に100%正しいことにこだわるんではなくて、時間内にものを決める能力っていうんですかね。こっちやってみようということを決められる能力っていうのが、意外にリーダーシップにとって私はすごく大事なんじゃないかなっていうふうに思っています。結局、こうすれば必ず勝てるっていう策に出会っているわけではなくて、みんなの共感を得て、気合が入れば、何とかそれを乗り越える、それが実態だと私は思ってるんですね。なので、正しいことにたどり着くよりも、みんなが共感できて、すぐに一致できるもので、ものを決めていくっていうことが、意外に早く成果を出す上ですごく大事なんじゃないかなっていうふうに思っています。

4、率直さ

4つ目が、私の中で大事だなと思っているのは、実は「率直さ」なんですね。組織のトップが迷っている、または自分たちのリーダーが何か考えているときに、会社の場合は特にそうなんですけども、会社のスタッフっていうのは必ず経営者を尊敬する面も持っているし、同時に疑う面も持っているんですね。疑う面を持っておるっていうのは、あの人、何か私たちに話してない情報があるんじゃないかとか、それから自分たちに共有してくれてない大事なことを持ってるんじゃないか。そこが皆さんのリーダーシップの強さを少し揺るがすっていうことが、私の過去の経験の中でもよくありました。いかに率直であるべきかっていうのが、すごくチャレンジングなことなんですけど、私の中ではすごく大事なことだったんですね。迷っているなら迷っているっていう姿をちゃんと見せるっていうことがはすごく重要です。それから困っているなら困っておるっていう姿をしっかりと伝えることも大事なんですね。何も隠したりする必要はないし、何も自分が弱いことを無理に繕う必要もないと私は思っていまして、右かもしれない、左かもしれない、自分はどうしていいか分からないっていうときには、そういうふうに伝えるっていうことは、すごくリーダーシップにおいて大事だと私は思ってます。
それから右のほうに行こうと、今まではこっち行ってたんだけど今度こっちにやっぱりかじを切らないとうまくいかないよねっていうふうに思っているときには、あまり長く隠さないってこともすごく大事だと思ってるんですね。私は会社の意思決定をしてから発表するまでの時間を極力短くしています。極力短くする理由は、やはり意思決定をすると、何となくそれが伝わっていくんですね。何となく会社の中で伝わっていく。例えば最も信頼しているスタッフに伝えると、最も信頼してるスタッフは最も信頼してる部下がいるわけですね。最も信頼している部下は最も信頼してる同僚がいるんですよね。ですから、いつの間にかだんだん最も信頼している人たちの間だけでも伝わってって、それが長い時間を置けば置くほど、実は大きな意思決定が知らない間にスタッフに伝わってるんですね。皆さんがリーダーとして意思決定することを人から聞くっていうのは一番嫌です。本人から聞きたいんですよね。本人から聞きたいし、本人から率直に話をしてほしいんですよね。ですから、そういう意味では、私は決めたことは早く発表すると。人事もそうですし、戦略もそうですし、意思決定もそうなんですけど、できるだけ決めてから発表するまでの時間を長く持たないっていうことも、すごくくだらない話なんですけど、意外にリーダーシップを、皆さんへの信頼を勝ち取るためにはすごく大事なことなんじゃないかなと思って、これは世界に出てってもそうだと思うんですね。世界に出てって、やっぱり何か隠しているんじゃないかっていうのは、すごく大きな信頼の揺らぎにつながっていくところがあるので、ぜひそれも何となく注意してもらって、決めたら発表すると。迷っているときには迷っていると言うと。そしてできるだけ早く、迷っていながらも、間違ってもいいから意思決定すると。リーダーについていこうという人たちは完璧なリーダーを期待してるんではないんですよね。リーダーそれぞれにも、長所もあり、欠点もあることは、みんな分かっているわけです。ですから、完璧なリーダーを期待してるんではなくて、やはり自分に対して誠実なリーダーを期待してるんですね。それが信頼関係になっていくわけですから、率直さ、意思決定の早さ、そしてそれを貫く一貫性みたいなところがすごく大事なんだろうと思ってます。

5、質素倹約

最後に5番目なんですけど、実は私、25年も経営していまして、常に社員から見られていることを感じているんですね。見られているっていうのは、会社の戦略がこうだとか、会社の方針はこうだと言っていても、本当にあの人、本気でそれを目指しているのかしらっていうふうに、常にチェックされてるんですね。私が社員を評価する以上に、社員たちは経営者を評価しています。それは何か点数になったりとか、評価制度の評価ではなくて、あの人って自分が言っていることを本気でやろうとしてんのかしらっていうような評価なんですね。会社の場合は、実は利益を上げていかなくてはいけないですね。私たちは社員のことを考えながらでも、経営者の一番の、要求されているのは、収益を上げていく、会社を成長させるっていうことだと思っています。なので、そんなことは社員も分かっているんですね。売り上げを上げ、費用をコントロールし、そして利益を最大化する。これが経営者にとって一番大事なのであって、社員の一人一人の給料を本当に高めようなんていうことが一番大事なわけではないっていうことも分かっているわけです。彼らは、利益を上げていく、会社の競争力を高めていくために、大事な社員をしっかりと報酬を与えていくっていうことはもちろん大事なんですけど、順序から言うと、利益最大化が経営者の役割だっていうこともよく理解してくれているんですね。そこで、私は皆さんに、ぜひビジネスの、これからリーダーシップを発揮する方々にお伝えしていきたいのは「質素倹約」なんですね。これが意外に効くんです。やっぱり見ているんですよね。あの人、費用を節約しろって言うし、あの人、利益上げろって言うし、あの人、会社のここにすごくお金を節約して使っていると。だけど、自分の生活はどうなんだということは、必ず問われるんですよね。ですから、スタッフの目から見て、やはり私たちは、日本人の観点、理念とか価値観なのかもしれないっていう方もいるんですけど、意外に私たちは世界で仕事をしていても、質素倹約っていうのは効きます。効きますっていうのは、見ているし、そういう姿勢をやはり評価してくれるっていうことが、皆さんのリーダーシップにとって非常に私は大事なんだと思うんですよね。
結局、自分は会社を経営する、収益を上げる、投資家に対してリターンを返す、だけど、社員の仕事をする環境も大事だし、同時にこの会社が果たす社会的な役割も重要だというようなことを、経営の理念に対してしっかりと言うというのは、もちろんマネージメントを勉強したなら誰でもできることなんですね。ただ、一番その人の本性が現れるのは、その人たちが、その経営者がどんな生活しているかとか、どんな車乗ってるかとか、どんな時計してるかとか、そういうことが実はかなりを語ってしまうわけですね。なので、つらいことかもしれないんですけども、本当のリーダーシップを発揮するっていうのは、自分自身が身の丈に合った生活をし、社員との親近感を、いかに自分自身を律することによって近づけていけるかっていうようなことが、いざというときにリーダーが力を発揮する上ですごく役に立つ、信頼してもらえるっていうことに私はつながるんじゃないかなっていうふうに思っています。

というようなことで、今、5つお話しして、大体時間がタイムアップになってきたので、具体的な非常に細かいスキルなんですけども、参考にしていただければなと思ってます。どうもありがとうございました。 

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