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ゴディバジャパンの売上を2倍にした弓道の教え ―『ターゲット』

投稿日:2016/11/05更新日:2019/04/09

『ターゲット』は「道」の書である。あのゴディバを舞台としたとってもスウィートな「経営道」の話だ。

茶道や華道、武士道などに見られる伝統的な「道」は、シンプルでありながら時に深遠なものだが、本書でゴディバジャパンのジェローム・シュシャン社長は、弓道の精神に基づいたチャレンジを通してビジネスにおける「道」を平易に描いている。

一見対極にあるビジネスと弓道などの伝統文化の世界を矛盾なく融合させ、実際に確かな成果を上げ続けているところに最大の妙味があろう。

社長就任以来5年間でゴディバジャパンの売上が2倍になり、今や全世界のゴディバの売上の3分の1を占めている。この飛躍の根底には弓道の教えがあったという。売上2倍を目標として掲げたものの、無理を押して達成したわけではなく、ビジネスに必要なプロセスを正しく行った結果として売上2倍という数字が付いてきたのだ。弓道でいう「当てるのではなく、当たる」「正射必中」(正しく射られた矢は、必ず的に当たる)という考え方の実践である。

みなさんの中には消費者として、以下のようなゴディバのマーケティング施策に馴染みのある方もいるだろう。

■Product
・世界の有名アーティストによるバレンタインのパッケージデザイン
・売上が落ちる夏期の商品開発(アイスクリームやショコリキサー等)
・低価格帯商品の拡充(ラッピングチョコレート等)

■Place
・47都道府県すべてに直営店出店(2014年鳥取県がラスト)
・コンビニエンスストアでのバレンタイン商品の販売

■Promotion
・テレビCMの開始
・MY GODIVAキャンペーン(ギフトではなく自分へのご褒美としてのゴディバ)
・GODIVA LOVE & HUGキャンペーン(店頭に置いた等身大のジェントルマン人形をハグしてもらい、人形を抱きしめる力で愛情を数値化したイベント)
・GODIVA SURPRISE MESSENGERキャンペーン(バレンタインデーに購入者に代わり自転車でプレゼントを届け驚きと喜びを演出する日本限定の企画)
・新しいホワイトデーキャンペーン(お返しではなく自主的に贈り物を楽しむ日にしようとする企画)

これら一連の施策は、的である消費者の心(喜びや感動)と一体化したところから生み出され、「的を狙ってはいけない」「的と一体になりなさい」というある弓聖の教えにしたがったものでもある。消費者との距離をなくし、自然と「当たる」状態を作ったのだ。

しかも弓道では単に矢が的に当たれば良いというわけではない。「体配」といって一連の姿勢の流れや所作、さらには射手の風格・品格まで問われる。ビジネスに置き換えると、売上・利益という結果だけではなく、結果を出すまでのプロセスや会社のモラル、マネジメントのあり方も重要なのだ。「お客様に幸せを届けるゴディバの経営は、ハッピーマネジメントでなければなりません」とする著者の言葉と実践にすべてが表れていよう。

「道」の書だけに、最後は「射即人生」「ビジネス即人生」と人生論も展開している。「一射絶命」(その場そのときをかけがえのないものと悟り、一瞬の行動に全力を尽くす)という弓道の激しい言葉に射抜かれる人も多いのではないだろうか。

秋の夜長、ゴディバのチョコレートでほっこりしながら「道」の世界を堪能すれば、忙しい毎日にうるおいと味わいがもたらされ、「一射絶命」の素敵な行動変容が期待できるはずだ。
 

『ターゲット ゴディバはなぜ売上2倍を5年間で達成したのか?』
ジェローム・シュシャン(著)
高橋書店
1300円(税込1404円)

 

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