堀 義人/グロービス経営大学院 学長
<100の行動14>
インフラ・プロジェクトに政府のトップセールスを!
韓国はUAEの原発、中国はブラジルやカリフォルニア州の高速鉄道プロジェクトなど、海外でのインフラ事業の争いは熾烈である。インフラ整備市場は、日本の経済成長戦略に重要になる。海外のインフラ案件をより増やすための5つの提言(視聴時間4分16秒。肩書は2015年4月のもの)。
【ポイント】
1. 政府のトップセールスを!
安倍政権は「インフラシステム輸出戦略」を決定。2020年に約30兆円の受注目指している。2013年海外でのインフラ受注額は前年比約3倍の約9兆2600億円。首相のトップセールスが25件、閣僚が42件。トルコのシノップ原子力発電所の建設計画(約2兆円)、インドのデリー・ムンバイ間の貨物専用鉄道敷設工事(約1,100億円)などのプロジェクトは、相手国の親日感情を醸成し、日本外交の長期的な戦略に貢献できる。
2. 日本が強みをもつ分野で先進国向けのインフラ・プロジェクト推進を! 官民連携の徹底強化を
2011年 三菱商事、産業革新機構、日揮等オーストラリアの上下水道事業は欧州の水メジャーに競り勝った。今後の推進分野は「原子力、鉄道、水事業」の3つとなる。
3. 発展途上国への経済協力支援と信頼関係の構築のため、円借款制度の拡充を!
JICAによる円借款と技術支援により、発展途上国の暮らし・文化面での向上と、日本との太い信頼関係、経済的な結びつきの構築が可能になる。
4. 企業のリスクテイク支援のため、JBICの公的金融機能とNEXIのリスク補填能力の強化を!
JBIC(国際協力銀行)による融資とNEXI(日本貿易保険)によるリスク補填により
民間プロジェクトは推進される。
5. インフラ・プロジェクト輸出の担い手となる人材育成、企業・地方自治体等の支援を!
住友商事の電力事業による発電量は中部電力を超えている。また東京都は2011年にハノイ市より水道事業システムを受託している。企業や自治体が世界のインフラ・プロジェクトに参画すればインフラシステムの輸出が進む。