G1サミット2012 第12部 分科会
瀬尾傑氏×津田大介氏×夏野剛氏 「ネットメディアは政治を変え得るか」
ネットメディアの普及に伴い、情報は一部のマスメディアが独占して発信するものから、個が発信しインターネットを通して伝播していくものへと変質した。アラブの春ではツイッターやFacebookが大きな役割を担った。日本でも、3.11を機に日本の官邸や官公庁もツイッター導入に踏み切り、多くの政治家がニコニコ動画で会見を行うようになっている。だがインターネットを選挙活動に使えない現況では、ネットメディアが本当に政治を変え得る位置にあるのかは、まだ見えない。ネットメディアが生み出す新たな政治の形とはどのようなものか。メディアの第一人者たちが議論する。(文中敬称略。肩書は登壇当時のもの)。
瀬尾傑 講談社「現代ビジネス」編集長
津田大介 ジャーナリスト メディア・アクティビスト
夏野剛 慶應義塾大学 政策・メディア研究科 特別招聘教授
本荘修二 本荘事務所代表 多摩大学客員教授(モデレーター)
2012年2月12日 於:青森
【みどころ】
・既存メディアがネットメディアによりリアルに批判される、これはメディアが変わるチャンス(瀬尾)
・どのソーシャルメディアも利用者1000万人を超え、ネット利用者の2~3人に一人が使用している。情報発信をするとリターンを得る時代になった(津田)
・マスメディアは復興報道に「飽きる」が、ネットメディアは「飽きない」(津田)
・決済と情報閲覧ができる、善意を金銭化するのがソーシャルメディア(津田)
・個人の情報収集能力において、人類が最も進化したのがこの15年。個人の発信能力も増大した(夏野)
・テレビで編集された映像では政治家の発言の意図が伝わらない、ネットで全放映のほうが本当の人柄、深い話が出る(夏野)
・ネットメディアは補完的な存在、他の報道も併せて判断することが必要(夏野)
・一般の人が政治に意見できる場の提供、同時に政治家がうまくそれらを拾える仕掛けが必要(津田)
・ネット上の声を特別にわけるのはおかしい。あくまでも国民の声(夏野)
・マスメディアは個人の発信を進めてこなかったが、ネットによって個人のブランドが可能になるとジャーナリズムの底上げに(瀬尾)
・マスメディアでは優秀な記者が外で稼げる場がなかったが、有料メルマガ等で新しい活躍の場ができつつある(津田)
・デジタルコンテンツの市場は日本国内で約1兆円。その延長で有料メルマガ等、政治家への小口献金ができるのでは(瀬尾)
・面白いコメントをした人とコンタクトをとる、議論参加を促すような仕組みがほしい(津田)
・ソーシャルメディアは人材発掘装置でもある(夏野)
・ネットは見識、ネットワーク、人間力持つ人の力を何万倍にもする(夏野)