「偏った視点」に気づかない
先日、とあるファミリーレストランにランチを食べに訪れました。注文を終えて一息ついた頃、後ろの席に座ったママ友たちのこんな会話が耳に入ってきました。
Aさん:中学受験どうするの?
Bさん:えっ?まだうちは小学3年だから…。
Aさん:もう遅いぐらいよ。早く子供に合った塾を探しておいたほうがいいわよ。受験準備に早すぎるってことはないらしいから。
Bさん:そうなの…。どうやって塾を選んだの?
Aさん:そうねぇ。一番大事なのは先生ね。最近は親が授業を見学できる塾が多いから、自分の目で先生の教え方をチェックすることね。あとは、クラスの人数。個別指導が流行りだけど、手取り足取り先生が教えてしまうところが多いらしくて、自分で考える力が育たないと思って避けたの。でも、大人数だとついていけない時のサポートに困るから、1クラス10名程度の規模のところを選んだわ。あとは、授業の時間帯ね。うちは女の子だから、親が送り迎えできる時間でないと厳しいから。
Bさん:なるほどねー。早速、主人に相談してみるわ。
さて、皆さんなら2人の会話にどんなツッコミを入れるでしょうか。
そもそも「受験する必要があるのか?」という話がすっ飛ばされていますし、受験準備をするにしても「塾以外の方法はないのか?」も気になりますね。ただ、今回注目したいのは、塾選びの判断基準の部分。Aさんは3点挙げていますが、この3つの判断基準に"偏り"があるという点です。
誰の立場で考えているのか
Aさんは「子供に合った塾を探しておいたほうがよい」と言っていますが、この3つの判断基準で本当に子供に合った塾は見つかるのでしょうか。この3つは誰の立場で考えたものなのでしょうか。
子供の立場に立って考えてみると、例えば「学力に合っているのか?」「楽しんで通えるのか?」など、違った判断基準が見えてくると思います。もちろん各家庭によって優先順位は変わってくると思いますが、ここでのポイントは偏った視点で考えていないか。考え得る判断基準をできる限り洗い出した上で、優先順位をつけているかどうかなのです。
何かを判断する際、私たちは無意識のうちに自分の考えたいように考えてしまっているものです。"偏った視点"は、他人の会話を聞いていると気づきやすいのですが、自分が話す立場になると気づきにくいもの。意図的に立場を変えて考える癖を付ける必要があるのです。
今日から皆さんにやっていただきたいことは、「立場を変えて考える」ことです。例えば、「親」の立場で考えたのであれば、次は「子供」の立場で考えてみる。「先生」であれば「生徒」の立場で、「賛成」であれば「反対」、「上司」であれば「部下」などなど。また、上司も「直属の上司」、「直属の上司以外」なども考えられますね。こうした立場を切り替えるパターンを持っておくことで、強制的に視点を変えて考えることができるのです。客観的な視点を持って考えるための必須のスキルですので、ぜひ使ってみてください。