「何を考えるべきかを考える」
皆さんの会社の会議風景を思い浮かべながら、少し想像してみてください。会議のテーマは、「新卒採用の応募者が思うように増えない。どうすればよいか?」。皆さんの会社なら、どんな意見が交わされるでしょうか。
最初は、応募者が伸びない要因に関する意見を次々に出ていたのが、次第に…
「新卒に頼るのではなくて、中途採用をもっと強化すべきでは?うちの部の中途社員はみんな優秀だよ」
「質の良い社員を採用するために、インターネット経由での応募をやめるのはどう?最近の学生は、他社に出したエントリーシートをコピー&ペーストしているだけでしょ」
「面接官に出すうちの部署の社員数、他の部よりいつも多くない?営業なのだから繁忙期への配慮をお願いしたいのだけど」
といった発言が乱れ飛ぶ状態に。そして、いつの間にか時間は過ぎ去り、結論は次回の会議に持ち越し。このような会議に参加した経験があるビジネスパーソンは、少なくないのではないでしょうか。
どうしてこんな会議になってしまうのでしょう?どんな問題が隠れているのでしょうか?
一言で言えば、参加者それぞれが「考えるべきこと」を考えていないから。
自分の関心ごとにひも付けて話をしてしまう
私たちは常に自分の関心ごとに最大の注意を払っている生き物です。放っておくと何事もすぐに自分の関心ごとにひも付けて話をしてしまうのです。本来、ビジネスにおいて交わすべき会話は、常に「今ここで、考えるべきこと」にフォーカスが当たったもののはず。友人同士のたわいないおしゃべりとは、明確に区別する必要があるのです。
確かに先ほどご紹介した会議での意見は、みな「採用」に関わるものです。しかし、本来答えを出すべきテーマと"全く関係のない話ではない"ところが問題なのです。「考えるべきこと」にフォーカスが当たっていないまま聞いていると、テーマとは外れた意見であることに気づかずに、やり過ごしてしまう危険があるのです。
今回、論理思考の基礎スキルのひとつ目としてご紹介したのは、「何を考えるべきかを考える」。まずは「今ここで考えるべきことは何か?」と書いたポストイットをパソコンの画面脇に貼り付けて、常に自分に問いかける癖を付けることから始めてみてください。
次回は、自分の意見に説得力を持たせるために、最低限押さえておくべきことをご紹介したいと思います。