Part1はこちら:特別企画:ミドルリーダー座談会 -期待役割と陥りがちな思考の罠とは?
Part2はこちら:特別企画:ミドルリーダー座談会 -ビジネスシステムを高度に理解する思考・コミュニケーションとは?
ミドルリーダー育成のキモは「情報」と「役割」を与え戦略を考えさせること(藤井)
荒木: 前回、ミドルリーダーがより良い仕事をしていくためには、自ら問いを立てていく姿勢や、思考力、コミュニケーション力が重要であるというお話が出ました。では組織として、そうした人材をどう確保するか、或いは育成するか、といった疑問が湧いてくるのですが、藤井さんは人事の立場で、この点、何か工夫されていますでしょうか。
藤井:まず前提として、どのような人材が必要かは組織の文化やステージによって異なると思います。「会社が決めたことを黙々とやってほしい」というところもあるかもしれません。ただ、環境変化が激しい現在では、指示がなくとも自ら考え、想いをもって行動し続ける人材が必要だ、と私は考えています。
その上で、育成の観点で気を付けていることは、指示し過ぎない、安易に答えを与え過ぎない、そして自発的な行動を頭ごなしに否定しないということです。たとえば、様々な研修でスキルや知識を習得しても、職場に戻って実践し、そこで上司から行動を否定されたら、その後、実践しなくなってしまうかもしれません。そのため、職場の風土自体も、まず自発的に考えさせ、そして失敗しても、それを許容するような文化にしていかなければならないと感じています。そうした、研修や育成という枠にとどまらないアプローチが必要と考えているのですが、具体的な方法論については、まだまだ試行錯誤している段階です。
あとは学びや成長への意欲の醸成も大切と考えています。「研修をやりますから来なさい」ではなくて、自ら学びたい、成長したいと思って貰うこと。それが私たちの部署にとっての最終ゴールと言いますか・・・私たちは「みずから学ぶ組織を創ることがミッションだ」と考えています。人材開発部がなくても社員が自ら学ぶべきことを見つけ、自発的に学び合うことがゴールだと。ですから部内では「自分たちが必要なくなることを目指そう」と言っています(笑)。
荒木:組織や環境に依る、との言及もあったように、戦略論だ何だと頭でっかちになって四の五の言う前に歯を食いしばってやるべきことをやれ、という側面もあると思います。考えることを強く推奨した結果として、確実に回すべきオペレーションが疎かになるという懸念についてはいかがでしょう?
井手:グーグルや3Mは、業務時間の何%かを自由な研究テーマや活動に割いて良いとする「20%ルール」「15%ルール」といった制度を設けていることで知られていますが、そうした制度設計や目標管理次第でコントロールは可能ではないかと思います。
藤井:確かに。グーグルの「20%ルール」など、、「やるべきこともやった上で、好きなこともやっている」という働き方を実現させていますよね。余談ですが、技術者にとって「やりたいことができる」ことはとても魅力的です。優秀な技術者を採用したいのであれば、やりたいことをやれる環境を作らなければならないし、それが結果として会社の利益となるような素晴らしいものを開発してくれることに繋がります。人によって何が主たるモチベーションになるかは異なりますが、彼らの自己実現を支援することが会社のためにもなるケースが多々あると思います。もちろん、会社にとっての価値を創出することなく「好きなことだけをやっていたい」というような我儘まで聞くのは違うかと思いますが。
戸津:そちらのほうが多いのかなとも思いますしね。
荒木:皆さんの周囲や、ひょっとしたら部下の中にも、部分最適を指向したり、「それは自分の仕事ではない」というような言い方で閉じた仕事をする方もいらっしゃると思います。そうした方々にはどんな働きかけをされているのですか?
戸津:前回、原体験という言葉も出ましたが、やはり成功体験を持たせることが肝になるかと思います。変化をどう楽しませるかも大切です。変化の過程では失敗することもありますし、そこで再度、殻にこもってしまうということも往々にしてありますから。
日々、心がけているのは、考えさせるための問いかけをすること。「どうして自チームの売上目標は3000万円と設定されているのだろう?」と考えた結果として、「3500万円もいけるな」という自信を持たせる。そして、+500万円も売り切ったという成功体験を持たせることで考えることや工夫することの魅力が腹に落ちてくるのではないかと思うわけです。「言われたことをやって、上司に褒められた」ということを喜びにする価値観から、いかに「言われた以上のことを自分でやった」自信を喜びとする価値観に切り替えていくか。その環境をいかに整えるかに留意しています。
藤井:戸津さんの仰る通りと思います。自信を喪失すると人は十分な成果が出せなくなってしまいますから。自信がない人には「あなたにはできる」、「今回は半分しか目標達成できませんでした」には「半分も達成したんだ」。コミュニケーション時の表現には十分に配慮します。
あと私が個人的に工夫しているのは、会社の経営に関する方針や情報をこまめに伝えること、です。最初は「教育部門には関係ないんじゃない?」と思われるかもしれませんが、「今回の子会社設立には、これこれこういう全社的な意図があって・・・」といった情報量をまずは増やすことにしています。
それから、個々のメンバーの割り振りは、担当の事業部門を明確にする形にしています。「あなたは○○事業部の育成支援をしてください」とすることで、「自分は事業部のために働いているんだ」という意識を強く持ってもらうためです。そのことで現場をしっかりと理解したサポート部門を目指していきたいと思っています。
戸津:情報量を増やしたり、担当を持たせることで、視点を増やしたり、視座をあげさせたりということは、すごく重要と私も思います。絶対に必要ですよね。
藤井:結果として、私のところにも現場の情報がたくさん入ってくることに繋がるんですね。他部署の社員が誰に訊いたらよいのかわからないことや、「これってどうやって計算するんでしたっけ?」みたいな実務レベルのことだとか・・・情報が入ってくるを通り越して、悩み相談室みたいになったりもしていますが(笑)。
戦略論に裏付けられたファシリテーションの実践こそ、ミドルの腕の見せ所(井手)
井手:前職での工夫になりますが、既に自分なりに整理した戦略やプランについても、「今、うちの部署にこういうお題が来ていてさ、、、どうしようか」という形で、私のグループのメンバーに問いを投げかけていました。メンバーが知らない情報は「今はこういう状況みたいだよ」などと適宜インプットしながら情報の格差を無くし、色々なアイデアが上がってくるのを待つのです。そして出てきたものに対して、「それは確かに良いけれど、実は競合もやっているらしくてさ・・・」などと言いながら、最初に自分が考えた戦略やプランに近づかせていくわけです。
荒木:まさにファシリテーションですね。
井手:そうですね。「これをやってくれ!」といった命令口調で仕事を依頼するのではなく、適宜ファシリテーションし、「お題の背景や本質」、「外部環境の変化」、「リソース等の自社の事情」などへの理解を深めてもらいながら、一歩一歩思考のプロセスを辿ってきてもらうのです。そうすると、アイデアの具体性も増しますし、「ああ、なるほど。じゃあ、方法はこれしかないね」と、辿りついた打ち手への納得感も高まります(一同笑)。また、打ち手の本質を理解していますので、担当レベルの個々の判断の時に、結論がぶれなくなります。そうすると安心して任せられるので、権限委譲の幅も増え、組織の決定スピードも高まります。
藤井:それって理想的ですよね。「これは自分たちで考えたことなんだ」という意識を持つようになりますから。
井手:そうなのです。あと、もう一つの工夫は会議体の設計ですね。私はある新規事業の企画グループを管轄しており、メンバー約20名を“技術”や“営業”などの4つのチームに分けていたのですが、その状態でそれぞれのチームとミーティングを行うと、各チームの企画内容に関して、徐々に部分最適が生じてくるのです。それを防ぐため、週に1回、半日程度の全体会を設けていました。これは、会議体としては、ものすごく非効率な方法です。でも、「非効率だけど、あえてやるから」と話したうえで、1人1人の報告に関するやりとりを皆で共有していました。
心掛けていたのは、私と担当との1対1の対話にならないように会議を運営すること。「今の件、どう思いますか?」などと、他のメンバーに投げかけながら、グループ全体で解を出すのです。例えばサポート担当からの「その加入条件だと説明しづらいので、なんとか削除したい」という要望に対し、技術担当から「この条件を外すと、こういうお客様からのクレームが想定さえるので難しい」などの議論が出てきたりする。そこでまたメンバーに「どうしようか?」と投げかけると、営業担当から、「申込書の工夫で対応できるかも」といったアイデアが生まれてくる。トップダウンで決めることに比べて、一見すると非効率なのですが、部門横断での全体最適化が図られる上、手戻りが無く、メンバーの納得感も高い。スピード感が必要な企画部門ほど、こういう方法が有効でした。
戸津:共有が進まないですからね。
藤井:確かに、最初にそれをしっかりやっておけば、あとは早く進みますよね。
井手:そうなのです。当初は「やろうね」と決定したことが、現場との調整の結果「こういう新たな理由でNGでした」と、1週間後に話が元に戻ってしまうこともありました。しかしそこで動揺せず、皆で「どうしようか」と、意見を集めながらさらに策を詰めていく。その繰り返しで、「こう考えればいいのだ」という“思考の型”のようなものが、だんだんメンバーに定着していきます。まぁ、ファシリテータとしては、どんな議論の展開になっても、正しい方向に連れて行くために、自分の中でのロジックの整理は終えている必要があるのが大変なのですが。。。
荒木:今のお話は、戦略論からはかけ離れているように見えて、実はかなり高度な戦略論ですね。部下の話を聞きながらも、肝心なところを外さないようにするには下敷きとしてリアルタイムで戦略や戦術を最適化していく思考が必要となるわけですから。井手さんのお話の表層にポーターやら5 Forcesといった小難しい言葉が出てきているわけではないですが、戦略思考とコミュニケーションスキルが血肉としてあるから初めて成立するものと感じました。
ここで重要なのは、考えることと、それをコミュニケーションすることがセットになっている点ですね。リーダーが自分だけで“お絵描き”をして、「こんなふうにやることにしたから」と言うだけでは組織は動かない。だから周囲を巻き込み、納得感を醸成しながらモチベートしていくプロセスが必要になるわけだし、そのための会議だから、井手さんにとって時間投資する価値があるのですよね。
井手:まさに投資ですね。
戸津:少し遠回りに見えても、「これは投資なんだ」と信じられていることが絶対条件になりますね。そうでないと、業績に追われて時間が足りなくなると、「余計なことを考えずに、とにかく言ったとおりにやれ」という考えになり、リーダー自らで部下が考えない組織風土を醸成することに加担していくことになってしまいますから。
藤井:「考える」という行為は、ある意味、複数のオプションを発散的に持つことにもなります。ですから、その拡散したものを適切な方向に収れんさせる、強引な格好ではなくクローズすることが大事ですよね。それができるリーダーでなければ、部下のアイデアに引きずられるだけになってしまいます。もしくは、「皆で考えろというから考えて、このプランしよう、と決めたのに、なぜ最後にリーダーが引っくり返すのですか?」といったことにもなりかねません。
井手:最終的な解への納得感を高めるために、PEST分析や3C分析とかいったことが役に立つと思っています。「自社」「競合」「市場」というただ3つの分類項目に、単に情報を整理するレベルではありません。3Cというのは本気でやろうと思ったら物凄く奥が深いですよね。自分自身が「もうこの解しかないよね」と思えるところまで考えつくさないと、メンバーを「先」に連れていくことはできないと思っています。
経営レベルの視野を持つことで説得力、交渉力は飛躍的に増す(藤井)
荒木:そろそろまとめに入りたいのですが、改めて「理想的なミドルリーダー」を皆さんはどのように定義されますか?
藤井:二つ挙げたいと思います。一つは、初回にもお話ししましたが自分の役割理解に関すること。自分に求められている成果が何なのかを経営の視点からきちんと自己認識出来るということです。二つ目は、机上の空論ではなく実践的な考え方と行動が出来ること。ミドルというのはなんといっても現場に一番近い訳ですから、評論家的に批評するだけではなく、実践力も兼ね備えている必要があります。無論それは、実践に移る前段階でしっかりとした戦略思考でものを考えていることが前提になります。
荒木:経営視点から自らの期待役割や成果を理解するというのは、本当に重要だと思います。単に鵜呑みにするのではなく、自ら解釈して戦略を自分のものにしていくということですね。ちなみに藤井さんは人事というキャリアはご自身で選ばれたものだったのですか?
藤井:いいえ、きっかけは違うんです。現在3社目ですが、大学卒業後に入社した1社目は、ジョブ・ローテーション制度の中でまず現場に入りました。日系の老舗ホテルです。そして1年間であちらこちらの現場をまわった後に人事部へ正式配属の辞令を受けました。同期入社は66名おり、ほとんどが現場へ配属になる中、なぜか人事へ、と。そこから人事というキャリアがスタートしました。
そこからは自身のキャリアの中で最も長い分野が市場価値になると考え、人事での経験を軸に2社目は外資系企業に転職しました。そして、「日系と外資ともに経験したから3社目はベンチャーだな」ということで今に至ります。
荒木:ミドルリーダーとしてのご経験の中では過去に手痛い失敗などもありましたか?
藤井:嫌なことはすぐに忘れてしまうので失敗を覚えていないんですよね(笑)。ただ、MBAの勉強をするまで、戦略論はほとんど活用できていませんでした。「マーケティングのフレームワークは知っているけど・・・」というレベルです。
その当時を振り返ると、仕事の仕方やものの考え方が内向きだったようには思います。もともと管理部門というのは社内にサービス提供していくわけですから内向きになりがちですよね。ですから、人事制度ひとつをとっても、当時は対象者と自部門のメリットというWin-Win関係ばかり考えていました。そこを一歩引いて、会社が今どういう状況にあり、その中でどういった人事施策を取るのが最適かというようなフレームで考えることは出来ていませんでした。説得する相手と自分の立場という関係性が主眼となっていたのだと思います。
荒木:分かる。すごくよく分かります。
藤井:ですから、「どうやって相手に『うん』と言ってもらおうか」と。でも、本当は「うん」と言ってもらうにしても、もっと高い視点からお話ししたほうが納得してもらえるんですよね。しかしそういうことを知らないうちは、小さな範囲のことばかりを一生懸命こねくり回していたのかなという気がしています。それで「出直してこい」というような感じになったりして(笑)。やはり1対1の場面でも、こちらが経営レベルの視野を持って臨むことによって、説得力、交渉力は飛躍的に変わるように思います。これが実感値です。
ミドルがどんな視界を持つかによって社内のコンフリクトが変わる(戸津)
荒木:では、戸津さんはいかがでしょうか?
戸津:現場の代表であり、経営の代表でもあるということです。現場に向けては経営の代弁者として、経営に向けては現場の代弁者として、間をつないで行くことが重要な役割と考えます。
そこで大切なのことは、言われたことを右から左へとそのままに言うのではなく、解釈し、相手に伝わる言語で伝えることだと思っています。接着剤やアジャスターのような役割ですが、この役割がないと「組織が本当に回らなくなってしまい、これらの役割は必要不可欠なもの」という認識は常に持っています。
私自身、現在の会社でミドルのポジションにいた際は、上に意見ばかり言っていました。いわば、「喧嘩を売っていた」と思います。噛み付くし、ぎゃあぎゃあ文句を言うし、上司にしてみればうるさかったと思います。自分自身も当時は「何故この人とソリが合わないんだろう」とか、「お客さんや現場がこう言っているのに、何故この人は自分勝手なことばかり言うんだ」と、葛藤していました。当時は上司も私もお互いが十分納得していたとは言い難いですが、部署が変わり、環境が変わり、現在の立場になって思うことはあります。
先ほど藤井さんも言われたように、経営層と現場のあいだに立っている人間に全体を見回す力があれば、社内に余計なコンフリクトや軋轢は発生しません。共通の理念や理想、あるいは目標へ向かって円滑に動いていくため、ミドルの人たちがどのように立ち回っていくべきなのか。そこが機能しているか否かで組織の力が大きく変わってくるということは、今の立場になって初めて気付かされた部分です。
ミドルリーダーは、単に部下から慕われる兄貴肌や親分肌というだけではいけませんし、逆に上の言うことを下に向かって強制的に落とすだけの存在でもいけない。あらゆる領域のど真ん中にいることを自ら認識し、複眼的に状況を捉え、考え、行動することによって、本人の将来像も相当に変わっていく時期なのではないでしょうか。ですから可能な限り、あがいておくと良いのではないかという気がします。
井手:一番面白いポジションですよね。
戸津:そう。そうですよ。一番面白いと思います。
荒木:色々な関節を同時に動かすような面白さといったところでしょうか。
戸津:そうですね。自分の力で動かせる関節と他人の力で動かされてしまう関節の両方があるという・・・(笑)。あがいているときは大変ですが、ゆくゆくは絶対に自身の力となって返ってきます。それは個人的な経験も通じ、感じていることです。
アラームを適切に上げられるミドルリーダーになる(井手)
荒木:では最後に井手さん、いかがでしょう。
井手:そうですね。これまでの議論と重なりますが、やはり一つは、全社戦略を理解したうえで、部門長として部門の戦略に翻訳できるということでしょう。そして二つ目は、それをメンバー対して適切にコミュニケーションすること。彼らの中から戦略やプランが生み出されたような演出を行い、納得感を醸成できることが理想です。
さらに実践段階において、部門スタッフの能力の違いを把握し、適切にマネージすることも求められます。沢山のスタッフがいる環境では、どうしても個々人の能力に差異がありますので、そこを適切に組み合わせながら部門全体のアウトプットを最大化しなければならない。仮にあまり優秀ではない人であっても、どんな仕事によって満足させ、能力を伸ばし、本人の身の丈の1.2倍の仕事をしてもらうかが大事です。「結局はモチベーションの問題だよね」というような安易な言葉に逃げず、様々な仕組みや仕掛けを作っていくことが必要です。
それともう一つ。先ほど藤井さんからあった「ミドルは下の代弁者」というお話にも関連すると思うのですが、”アラームを適切に上げる”という役割もあると思います。
「この売上は達成できるかもしれない」と、上司が勝手に期待していたとして、適切なコミュニケーションを取らないまま、達成できなかったら全体に穴が空きます。たとえば「何月までにシステムを納品します」と言って、それが出来なければすべてがそれに引きずられてリリースも遅れてしまいます。ですからアラームは可能な限り早く上げることが必要です。
そのためには、日頃のコミュニケーションも重要になります。日ごろから信頼があれば、「あいつがアラームを出しているということは、本当に難しいのだろうな」と思ってもらえる。さらに単なる「お手上げです」ではなく、「あと二人ください」とか、「あとこれだけ投資させてください」とか、具体的な打開策を提案することも求められています。それこそが「下の代弁者」になるのだと考えています。
戸津:本当にそうですね。
何と言うか・・・ミドルとして働いているときにこそ、本当に仕事と向き合うというか、意識の転換を迫られる瞬間がやってきます。それは、「自分が怒られたくないから」とか「納期に遅れても最後は上司が何とかしてくれるから」というところから、「全体のために」「このプロジェクトのために」という風に発想が変わる瞬間です。そして全体のために、という発想を持っていればこそ、とにかく早くアラームを上げることが大切という動きにもなる。ミドルの時期の本質はそこにあるのかもしれないなぁ、と伺いながら強く思いました。
最後まで状況を隠したり、揉み消そうとするミドルもいるんですよ。しかし良いミドルはその辺がスピーディーなんですね。それが出来る人たちは(元々そうであった方もいるのかもしれませんが)、ミドルという責任の中でそういうことに気付き、変わった瞬間がどこかであったのではないかなと私は想像しています。