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夏休みに読みたい書籍 2024――「いま」知りたいテーマの3冊

投稿日:2024/08/08更新日:2024/08/16

連休には、読書でリフレッシュや新たな発見をしてみませんか。
グロービス経営大学院の教員が、「この夏に知りたい・身に付けたいテーマ」でオススメの書籍をご紹介します。これまでの長期休暇にオススメの書籍シリーズはこちら

※夏休みに読みたい書籍2024「時間のあるときに改めて読みたい・考えたいテーマ」編はこちら

世の中をいつか変える、量子コンピュータの可能性

推薦者:嶋田 毅(グロービス経営大学院 教員)

昨今、さまざまな技術進化が人々の生活やビジネスの在り方を大きく変えている。

その典型がAIや生成AIである。ただ、これらは進化しつつも実はコモディティ化している。使うのは当たり前で、結局それを使って何をするかの方がはるかに大事ということである。
一方で、AIのように昨今見聞きする機会の増えたトピックでありながら、コモディティ化にははるかに遠く、実用化に向けて科学的ブレークスルーを多く必要とするのが量子コンピュータである。一部にまだ懐疑的な声はあるものの、数十年後、ひょっとすると十数年後には現在の生成AI程度の位置に来る可能性のある注目技術である。

その原理や、本書が発売された2022年時点での開発状況や大手IT企業の取組み、さらにはそれがどのような問題を解決しうるかをコンパクトにまとめたのが本書である。数多くある解説書の中で、単純すぎもせず専門的すぎもせずまとめた1冊となっている。

2章の「しくみ」のパートは、数学が苦手な人が理解するのは難しいだろう。とはいえ、大学の教養課程レベルの数学や物理の心得のある人には読み応えがあると思うので、ぜひチャレンジいただきたい。

多くの人にとって読みやすく、また関心があるのは3章の「世界をどう変えるのか」だろう。今の世の中の仕組みや安全保障の状況を一気に変えるかもしれないのがこの技術だ。本書の内容をすべて理解するのは困難かもしれないが、新技術をめぐる競争の雰囲気だけでも掴みとっていただきたい。

ゼロからわかる量子コンピュータ
著:小林 雅一 発行日:2022/6/15 価格:924円 発行元:講談社

実践的なAI活用に「音声」を加えてアップデート

推薦者:許勢 仁美(グロービス経営大学院 教員)

「生成系AI、使ってますか?」

こんなスモールトークがされるようになって久しい。
あなたは冒頭の問いかけに、よし来た!と反応するタイプだろうか、ドキッとするタイプだろうか。

どちらの方にとっても、実践的なAI活用のアップデートに役立つ一冊を紹介しよう。

本書は、音声認識技術とAIがビジネスの世界をどのように変革しているかを分かりやすく提示してくれる。企業が持つ3つの情報資産と言われる、テキスト、画像、音声のうち、音声は、テキストや画像に比べて「AI活用の事例はまだ少ない」「まだスタートしたばかり」として、「大きなチャンス」「競争力を伸ばす」と説明している。

著者は、音声AI解析の会社を経営している人物だが、まさに企業の競争力向上のパートナーとして、音声データの価値、活用事例、活用の仕組みについて平易に語りかけてくれるのだ。

ちなみに、高等教育におけるデータサイエンスの教科書として普及している「データサイエンス入門シリーズ」の第9巻は『テキスト・画像・音声データ分析』で、 社会で求められるデータサイエンスの応用3分野として各分野の専門家が説いていることからも、この分類の妥当性は頷ける。

「テキストと画像はいろいろ試したから、次は音声かな」という方にも、「テキストと画像は出遅れたから、先んじて音声に」という方にも、一読をお勧めしたい。パラパラとめくって図表を眺めるだけでも、大きな潮流をつかめるはずだ。

音声×AIがもたらすビジネス革命 VOICE ANALYSIS
著:會田 武史 発行日:2024/7/2 価格:1,760円 発行元:幻冬舎

「コスパ」「タイパ」だけではない、これからを生き抜くための指針とは?

推薦者:山臺 尚子(グロービス経営大学院 教員)

本書は「ネガティブ・ケイパビリティ」の価値に焦点を当てる。
無駄な時間を削り、早く分かりやすく、何でも解決することが良しとされることに危機感や限界を感じている人、「コスパ」や「タイパ」が重要な指標になりつつある昨今に、いささか食傷気味の人には読んでいただきたい一冊だ。

私たちは、仕事や人生のあらゆる場面で、情報収集、分析、計画立案、スピーチをするといった「明らかな問題に対して物事を処理する能力」である「ポジティブ・ケイパビリティ」を駆使してきた。

ポジティブ・ケイパビリティは、能力を発揮すべき状況や問題を理解し、それを行うための方法や学び方を知っていることが前提である。半面、この前提が成立しない場合、ポジティブ・ケイパビリティだけでは問題に対処できない。そこで「ネガティブ・ケイパビリティ」の出番である。

ネガティブ・ケイパビリティとは、真実に近づくために、目的と意思を持ちながら、安易に結論を出さない、不確実性を許容する力のことである。見通しが立たず、困難な状況下でも考え続けることができ、多様で矛盾した考えを受け入れることもできる。知的寛容さとも表現される。 

人間の脳は不確実性を嫌うように進化してきたという。人は予測困難な状況を本能的に脅威と感じ、思考停止や逃避、あるいは分かりやすく短絡的な解決策に飛びつく。
迅速だが安易な思考、効率化や省力化を積み重ねた先にあるのは、完璧主義、白黒思考、許容力の低下といったところだろうか。いずれも、私たちの自由な発想や生き様を狭め、束縛するような息苦しさを感じずにはいられない。

即座の行動や反応が求められる今だからこそ、知っていることと知らないことの間で耐え忍ぶことができる、ネガティブ・ケイパビリティに注目したい。創造性や新しい学びのためには、知っている領域から、居心地が悪く逃げ出したくなるような領域にも一歩を踏み出さざるを得ない。ネガティブ・ケイパビリティは、創造性や新たな学びの扉を開く鍵となるだけではなく、自分らしい幸福な人生の基盤づくりにも通じるのではないか。

本書は、これからの時代をしなやかに生き抜くための指針を示したものとも言えるだろう。

答えを急がない勇気 ネガティブ・ケイパビリティのススメ
著:枝廣 淳子 発行日:2023/2/25 価格:1,980円 発行元:イースト・プレス


GLOBIS学び放題でも『達人の一冊』シリーズほかで、グロービスの教員や研究員によるおすすめ書籍をご紹介しています。

また、今回取り上げたテーマについてより深く知りたい方はこちらもご覧ください。

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