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新年度に読みたいおすすめ書籍5選――2024

投稿日:2024/03/31更新日:2024/04/05

今日から新年度がスタート。組織を含め環境が変わったり、新たなスタートを切ったり学びを始めようとする方も多いのでは。
今回は、グロービス経営大学院の教員がオススメする新年度に読みたい書籍を5冊ご紹介します。前回の冬休み版はこちら


幸せを求めるのに遅すぎることはない

推薦者:嶋田 毅(グロービス経営大学院 教員)

最近、ウェルビーイングが話題になるなど、改めて「幸せ(な人生)とは何か」ということに注目が集まっている。本書は80年以上(!)にわたってハーバード大学で連綿と続けられてきた骨太の研究である「ハーバード成人発達研究」によってもたらされた成果であり、TEDトークでも人気を博した内容を詳細に記したものである。ページ数はやや多いが参考になる部分も非常に多い。

本書のメッセージは極めてシンプルである。幸せとは金銭的、社会的成功といった外的な成功以上に、良好な人間関係によってもたらされるというものだ。
誰しも人生、良い時もあれば苦しい時もある。それこそが人生である。しかし、そうした長いプロセスの中で良い人間関係を構築できている人こそが、幸せを最も感じるのである。そしてその鍵は注意と気配りにあるという。

「人間関係はどうも苦手」という人もいるかもしれない。しかし、それを求めるのに遅すぎることはないというのが著者らの主張だ。
本書は、人生の後半における学びや成長の機会を重視している。何歳であれ、どんな人間であれ、内面の充実や人間関係の深化にもっと目を向け、それを実現することは可能なのである。その詳細な方法論や工夫については本書に譲るが、人生がますます長くなり、またテクノロジーが人々の生活を大きく変える中、良き人生を送るうえで参考にしたい1冊である。

グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない
著:ロバート・ウォールディンガー、マーク・シュルツ  翻訳:児島 修  発売日:2023/6/20 価格:1,870円 発行元:辰巳出版

新しいチャレンジは「〇〇〇」のタイミングでこそ上手くいく

推薦者:松井 孝憲(グロービス経営大学院 教員)

新年度の時期、何か新しいチャレンジを始めようと考える人も多いと思う。
そんな読者へ向けて、新しいことを始める「タイミング」の大切さを知らせてくれる一冊を紹介しよう。

新しいチャレンジを始めるに際し、これまでのビジネス書籍は「何をやるべきか?(What to)」や「どうやるべきか?(How to)」を論じてきた。それに対し本書は、新しいチャレンジを始めるタイミング、すなわち「いつやるべきか?(When to)」に着目し、私たちがより良く生きるヒントを教えてくれるのである。

例えば「1日の中でどんな仕事をいつやるのが効率的なのか?」「物事の始め方・中間・終わり方にはどんな考え方を持つと良さそうか?」など、普段の生活の中で仕事/キャリア/人間関係についての判断や意思決定をする場面は無数にある。そんな場面において本書は、判断を「いつやるか」によって同じ努力でも大きく成果が変わることを実証的に示している。

“人生100年時代”といわれるように、私たちの人生はますます長くなる。その中で、新しいチャレンジややりたいことは(特に成長意欲の高い読者であれば)たくさん出てくることだろう。それゆえ、どのタイミングで何にチャレンジするのが良いのか、何をどんな順番でやってみるとより良い人生を送れるのか、まさに私たち自身の人生設計に「When?」と問うことは欠かせなくなってきている。本書には、そんな人生設計の重要なヒントが随所に散りばめられている。

そして本書では、まさに新年度を迎えた私たちに示唆深いメッセージが提示されている。
すなわち「新しいチャレンジは、区切りのタイミングでこそ上手くいく」のだ。新年度というのは、まさに「区切り」にピッタリではないだろうか?
本書を読んだ人々は、まさにその読み終えたタイミングで、新しいチャレンジを始めるきっかけを掴めるはずだ。

When 完璧なタイミングを科学する
著:ダニエル・ピンク 翻訳:勝間 和代 発売日:2018/9/6 価格:2,420円 発行元:講談社

人間の複雑さや可能性の中で意思決定・行動するためのヒント

推薦者:金子 浩明(グロービス経営大学院 教員)

この本、『経営学とはなにか』というタイトルから受ける印象と実際の内容が少し違う。

まず、学生や研究者向けの学術書ではない。また、古今東西の経営理論を紹介している辞書的な本でもない。著者の伊丹氏による経営学の定義は「経営者やリーダーの経営についての思考を助けるための学問」である。

伊丹氏いわく、経営者やリーダーに求められるのは「組織の人々の行動を導き、行動の結果として生産的で成果が上がるようにすること」だ。伊丹流の経営学は「人」を中心に据えており、人間の組織の複雑さ、人間の不完全さや成長の可能性を前提にした「人間臭い経営学」だと言える。

この本は、リーダーが「人を通じてことを成す」ために、より正しい意思決定、より正しい行動をするためのヒントについて書かれている。ちなみに、著者は「正しい」という言葉を「論理的に筋が通っている」という意味で用いている。そのため、本書は「経営に関する論理思考力」を高めたいリーダーに最適な本である。

経営学とはなにか
著:伊丹 敬之 発行日:2023/5/18 価格:2,420円 発行元:日本経済新聞出版

いま日本企業が模索すべき戦略に触れることができる一冊

推薦者:星野 優(グロービス経営大学院 教員)

日本の製造業が、加速するグローバル化、そしてエコシステム型の産業構造の中でいかに再興すべきかに関するヒントに溢れた、“ものづくりのバイブル”とも言える一冊。

本書の特徴は2つ。1つは、理路整然とした議論の流れだ。①自社が持つコア領域(“クローズ”)は何か、他社に委ねるべき領域(“オープン”)は何か、そしてその境界線をいかに引くのか、という著者が提唱するビジネスモデルを全体像として示した上で、②シスコシステムズなど欧米企業4社の勝ちパターンの肝を紐解き、③日本の製造業に対する示唆を具体的に語っている。
「事実やデータ→解釈→提言」という思考パターンは読み手にとって納得感が高く、400ページ以上ある本書もスイスイと読み進めることができる。

もう1つは著者の主張を印象的な言葉や言い回しで繰り返し説明している点。自社のコア領域からサプライチェーンに向けて強い影響力を持たせる「伸びゆく手」、自社が経営資源を集中すべき領域と他社に委ねる領域とを、自社に優位になるように事前に設計する「企業と市場の境界設計」など。キャッチーなフレーズを頻発させることにより、筆者が提唱するモデルの肝を強調する効果を狙っている。

本書は、IoTの台頭、急拡大する国際分業などの事業環境変化を背景に、2015年に約10年ぶりにほぼ全面改訂されたもの。以降さらに10年ほど経過しているが、未だに通用する示唆に溢れた内容なので、製造業のみならずサービス業に従事するビジネスパーソンにとっても大いに参考になるのではないだろうか。

オープン&クローズ戦略 増補改訂版
著:小川 紘一 発行日:2015/12/1 価格:2,420円 発行元:翔泳社

思想家たちの正議論に「リーダーの判断基準」を学ぶ

推薦者:舞田 竜宣(グロービス経営大学院 教員)

リーダーには、技術的な能力だけでなく、哲学的な信念が求められる

哲学というのは、私たちがどのように生きるべきか、そして世界はどのようなものであるべきかについて深く思索する学問である。京セラの創業者であり、日本航空の再生に成功した稲盛和夫氏は、経営の判断を下す際の重要な基準として「人として正しいこと」を掲げていた。

しかし「人として正しいこと」とは何かを明確にするのは、非常に難しい。自分の考えが「独善」でないか。そんな迷いに苛まれることもあるだろう。
その答えを見つけるひとつの方法は、古今東西の優れた思想家たちの正義論に学ぶことである。これにより、私たちは複雑な現代社会を生き抜くための羅針盤を得ることができる。

本書では、ソクラテスやアリストテレスといった古代の哲学者から、カントやベンサム、ロックといった近代の思想家、さらにマイケル・サンデルのような現代の哲学者まで、幅広い時代と地域にわたる哲学的思想を分かりやすく整理している。

この本を通じて読者の皆さんには、自分自身の哲学を探求し、それを磨き上げていくことを期待している。

正義とは何か: 現代政治哲学の6つの視点
著:神島 裕子 発行日:2018/9/19 価格:968円 発行元:中央公論新社


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