キャンペーン終了まで

割引情報をチェック!

ロングテール現象とは - インターネットが変えた販売の常識

投稿日:2025/07/04タイマーのアイコン 読了時間 6分

ロングテール現象とは、主にインターネットを通じた販売において、あまり売れないニッチな商品の売上げの合計が、大ヒット商品の売上げを上回るようになる現象のこと。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

ロングテール現象とは

ロングテール現象とは、主にインターネットを通じた販売において、あまり売れないニッチな商品の売上げの合計が、大ヒット商品の売上げを上回るようになる現象のことです。
従来の店舗販売では、商品の2割(人気商品)が全体の売上げの8割を占めるという「パレートの法則(80-20の法則)」が常識でした。しかし、インターネットの普及により、この常識が覆されるようになったのです。
この現象は、販売数量を多い順に並べたグラフの形が、恐竜の長い首(ヘッド)と長い尾(テール)に似ていることから「ロングテール」と名付けられました。2004年にアメリカの雑誌「WIRED」の編集長だったクリス・アンダーソン氏が、AmazonやNetflixの成功例を説明する際に使ったのが始まりです。

なぜロングテール現象が重要なのか - ビジネスの新しい可能性を開く

ロングテール現象が注目される理由は、従来のビジネスモデルを根本的に変える可能性を秘めているからです。この現象を理解することで、企業は新しい収益源を見つけ、より多様な顧客ニーズに応えることができるようになります。

①小さな市場の大きな価値を発見できる

これまで見過ごされてきた小さな市場や特定の顧客層が、実は大きな価値を持っていることが分かります。一つひとつの商品の売上げは少なくても、それらを集めることで大きな収益を生み出せるのです。

②リスクを分散した安定経営が可能

ヒット商品に頼らない収益構造を作ることで、特定の商品の売上げが落ちても全体への影響を抑えられます。多様な商品を扱うことで、市場の変化に強いビジネスモデルを構築できるのです。

ロングテール現象の詳しい解説 - デジタル時代の新しいビジネスルール

インターネットの普及により、従来の店舗販売の制約が取り払われ、新しいビジネスの可能性が広がりました。ロングテール現象は、この変化を象徴する重要な概念として、多くの企業に影響を与えています。

①従来の店舗販売との大きな違い

従来の実店舗では、売り場面積や在庫スペースが限られているため、売れ筋商品を中心に品揃えする必要がありました。商品を置くスペースには家賃がかかり、売れない商品を長期間置いておくことは経営上のリスクになるからです。
そのため、多くの小売店では「パレートの法則」に従い、売上げの大部分を占める人気商品に集中して販売戦略を立てていました。これは効率的な方法でしたが、同時に多様な顧客ニーズに応えることが難しいという課題もありました。

②インターネットが生み出した無限の売り場

インターネットの普及により、この状況が一変しました。オンライン販売では、物理的な売り場の制約がほとんどありません。商品をデータベース上に登録すれば、実質的に無限の商品を扱うことができるようになったのです。
また、在庫についても革新的な工夫が生まれました。商品を実際に保管せずにデータベース上にのみ登録する「ドロップシッピング」や、地価の安い場所に大規模な倉庫を設置することで、在庫コストを大幅に削減できるようになりました。

③成功企業の具体的な取り組み

Amazonは、この現象を最も効果的に活用した企業の一つです。膨大な商品データベースを構築し、顧客の検索や推薦システムを通じて、ニッチな商品と顧客を効率的に結びつけています。
Netflixも同様に、メジャーな映画だけでなく、特定の趣味や興味を持つ視聴者向けの作品を豊富に取り揃えることで、多様な顧客ニーズに応えています。これらの企業は、少数の大ヒット作品に依存せず、多様なコンテンツの組み合わせで収益を上げているのです。

ロングテール現象を実務で活かす方法 - 実践的なアプローチ

ロングテール現象を理解したら、次は実際のビジネスにどう活かすかが重要になります。この現象を活用することで、新しい収益機会を見つけ、競合他社との差別化を図ることができます。

①EC事業での戦略的活用

オンライン販売を行う企業にとって、ロングテール戦略は非常に有効です。まずは、自社の商品データを分析し、売上げの分布を把握することから始めましょう。
人気商品だけでなく、あまり売れていない商品も含めて総合的に見直すことで、新しい収益源を発見できる可能性があります。特に、検索機能や推薦システムを充実させることで、顧客が求めるニッチな商品を見つけやすくする工夫が重要です。
商品の説明文を充実させ、関連商品を提案する仕組みを作ることで、顧客の潜在的なニーズを掘り起こすことができます。また、顧客のレビューや評価を活用して、商品の価値を分かりやすく伝えることも効果的です。

②デジタルコンテンツ事業での応用

動画配信サービスや電子書籍、音楽配信などのデジタルコンテンツ事業では、ロングテール現象を特に活用しやすい環境があります。デジタルコンテンツは在庫コストがかからないため、多様なコンテンツを提供することが可能です。
顧客の視聴履歴や購入履歴を分析し、個人の興味や嗜好に合わせたコンテンツを提案することで、ニッチなコンテンツの価値を高めることができます。また、クリエイターとの協力により、特定の分野に特化したコンテンツを充実させることも効果的です。
マーケティング戦略としても、大衆向けの宣伝だけでなく、特定のコミュニティや趣味の分野に焦点を当てたプロモーションを行うことで、ニッチな顧客層を効率的に獲得できます。

参考ページ

MBA経営辞書「ロングテール現象」|GLOBIS学び放題×知見録

  • GLOBIS学び放題×知見録

    編集部

    ビジネスパーソンの役に立つコンテンツをお届けすべく、取材、インタビュー、撮影、編集などを日々行っています。

関連動画

学びを深くする

記事に関連する、一緒に学ぶべき動画学習コースをまとめました。

関連記事

合わせて読みたい

一緒に読みたい、関連するトピックをまとめました。

サブスクリプション

学ぶ習慣が、
あなたを強くする

スキマ時間を使った動画学習で、効率的に仕事スキルをアップデート。

17,800本以上の
ビジネス動画が見放題

7日間の無料体験へ もっと詳細を見る

※ 期間内に自動更新を停止いただければ
料金は一切かかりません

利用者の97%以上から
好評価をいただきました

スマホを眺める5分
学びの時間に。

まずは7日間無料
体験してみよう!!

7日間の無料体験へ もっと詳細を見る

※ 期間内に自動更新を停止いただければ
料金は一切かかりません

新着記事

新着動画コース

10分以内の動画コース

再生回数の多い動画コース

コメントの多い動画コース