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アフリカにおける国際奉仕活動への参加報告~(1)小学校復興プロジェクト始動

投稿日:2010/08/09更新日:2024/11/24

「アフリカにおける国際奉仕活動~小学校復興プロジェクト参加者募集」というイベント告知をYPO(Young Presidents’ Organization)という世界的な経営者のネットワークのウェブサイトで発見した。時期も8月5日から10日で、ちょうど子供達の囲碁の全国大会の後である。妻にそのURLを送り、どうしようかと打診した。「こういうのに家族で参加するのもいいかもね」という返答をもらい、早速家族全員で参加申し込みをした。

囲碁の全国大会が終わった翌日の8月3日の夕方4時に自宅を出て、家族7人で成田からシンガポールに7時間かけて南下し、2時間のトランジットで、シンガポールから11時間かけてインド洋を超えてヨハネスブルグに飛んだ。ヨハネスブルグで4時間の待ち合わせをして、ジンバブエの空港に向かった。ジンバブエの空港に着いたのは、現地時間の14時過ぎ、ホテルに着いたのは15時過ぎであった。時差7時間を考えると、自宅を出てから現地に到着するまで、30時間かかった計算となる。

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チェックインしてから、部屋から外を見る。ホテルは高台に立っているので、見晴らしが良くて気持ちがいい。窓の外は、一面の平原である。一切の人工物に邪魔されることもなく、山に遮られることもなく、地平線まで見渡すことができる。タンザニアのセレンゲティは、草原だったが、こちらは密度の低い林という感じである(あるいは疎開林の連続とでも表現しようか)。林と言っても豊かな緑ではなく、乾燥しているからか、枯葉色に薄い緑がところどころに混じっている感じだ。

このホテルが立つ高台を降り切ったところに池がある。そこに交代々々で動物が集まってくるのである。最初は、象の群れである。その次は、バッファロー。そしてインパラである。夕刻になると、太陽が地平線に溶け込んでいく様を仰ぎ見ることができる。夕焼けで空が赤く染め上がり、青かった天空が静かに黒へと転換していき、満点の星が現れるのである。

到着日は、ゆっくりと大自然を体感しながら過ごし(僕は溜まりに溜まったメールに応対して)、早めの夕食を取り、就寝することにした。

プロジェクトの開始より一日早く到着したのが幸いした。丸一日かけて、時差と長旅の疲れを取ることができるのである。翌日の午前中も、近くのクロコダイル養殖所に見学に行ったり、プールで泳いだりして、のんびり過ごした。僕らのプールの上空をハゲワシが50羽以上舞っている。午後一時になるとホテルの従業員が、エサをあげるのだ。ハゲワシが高度を下げて、一斉にエサに跳びつく様は圧巻である

知らぬ間に、世界から経営者の家族が終結してきていた。僕らは、遅めの昼食を取り、オリエンテーションにジョインした。

冒頭にこのプロジェクトの説明があった。

「このプロジェクトの名称は、Isikolo Projectである。Isikoloとは、現地の言葉で学校を指す。荒廃した学校を建て直すことが目的である」。

「荒廃した学校」と言うと日本では、秩序が荒廃した学校を指すが、こちらでは、まさに文字通り物理的に荒廃した学校を指すのである。最貧国に所属するジンバブエは、人口1000万人ほどの国である。ムガベ大統領が1980年に権力を掌握してから、30年間圧政が続いてきた。民主的な選挙を二回経て敗北したにも拘わらず、軍の力をバックに、大統領の座に居座り続けてきたのだ。その失政もあり、経済は混乱し続けた。職もない。後で聞いたのだが、失業率は、何と80~90%近くにもなるという。一人当たりのGDPは、500ドル程度である。何と日本の1/80だ。

「経済混乱の結果、小学校の建物は荒廃した。天井は無いし、壁にはひび割れ、ドアは壊れ、窓は割れたままだ。トイレは壊れ悪臭を放ち、全く使用できない。机や椅子も壊れたままで、人数分も無い。教科書に至っては、一冊を45人で使う状況である。今回建て直すことになったバオバブ小学校の場合、全校生徒が1000名いるが、もともと造られたときは350人規模だった。物理的に教室が足りないから、殆どの授業は、青空のもと木陰で行われる結果となる」。

主催者の説明は、スライド・ショーとともに進んでいく。目に映る写真は、かなり絶望的な状況のものばかりだ。そして、説明が続く。

「もちろん、僕らが建物をつくりなおす技術も無いし、4日間でできることも限られている。そこで、今回徴収した参加費の大部分を寄付に回し、かなり建築が進んでいる。僕らがやることは、仕上げの部分となる。つまり、ブロックの積み立て、ペンキ塗り、あるいはバスケットコートの増設や幼稚園の遊具の修復等である」。

今回の対象となるバオバブ小学校は、比較的裕福な地域に位置するので、NGOの援助から取り残されてしまっていたのだ。ただ、この経済状況だ。一カ月に30倍となるハイパー・インフレーションが発生し、親がお金を貯めて文具を買おうとしても、追いつかないのだ。そこに追い打ちをかけたのが、エイズ禍である。1000人の生徒の25%、つまり250名が孤児だという。エイズによって両親が亡くなってしまったのだと言う。

「このプロジェクトの目的は、子供たちの面倒を見て、学校を建て直し、コミュニティを支えることである」、との説明があった。

オリエンテーションが終わり、参加者全員でザンベジ川のクルーズに出かけた。川の淵には、象が戯れ、バッファローが水を飲みに訪れ、川の表面からは、カバが顔を出す。川の中にはワニが潜んでいると言う。

船内を見渡す。参加者は、70名強である。全部で21家族が世界各地から集結した、半分が大人、半分が子供だ。子供も4歳(我が家の5男)から23歳までと幅が広い。アジアからは、僕らのみの参加だ。日本代表、アジア代表のつもりで頑張らねばと、意を強くした。

2010年8月8日

ジンバブエのホテルにて執筆

堀義人

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