「正しく考える」ことにこだわるグロービスが満を持して送る実践ドリル―『入社1年目から差がつく ロジカル・シンキング練習帳』

20年以上に及ぶグロービスの「正しい考え方」を教える営み

グロービスは古くから「正しく考える」ということ、あるいは「正しい考え方を教える」「考え方を考える」ということに非常にこだわってきた組織です。ベストセラーとなった『考える技術・書く技術』(ダイヤモンド社)の翻訳監修に携わったのを嚆矢として、考えることに関連するものだけで10冊以上の書籍を上梓してきました。

また、経営大学院としてはあまり前面に取り上げられない「クリティカル・シンキング」(かなりの部分、ロジカル・シンキングが占めていると考えていただいて構いません)をいち早くカリキュラムに正式に取り入れて科目化し、グロービスを代表する人気科目へと成長させてきました。

そしてその背後では、単に演習問題を変えるということにとどまらず、学生や受講生の反応や定着度合いを見ながら、常に教え方も進化させるという営みを20年以上続けてきました。それをグロービス内で担当するのが「思考ファカルティグループ(思考FG)」です。「正しい考え方」に関連する科目群に責任を持つ教員たちです。

本書は、現在そのFGグループでリーダーを務め、長年「正しい考え方」について教えてきたグロービス同僚の岡重文が、ドリルという新形式で論理思考のエッセンスを伝え、定着させることを目指した一冊です。

2年間のトライアルで思考力強化に効果のあった厳選ドリル20題

本書のベースとなったのは、2年前から岡が作成し、クラスの中で学生や受講生の反応を見てきた25個のドリルのです。「ちょっとしたことだけど、大事なこと」をどうすればしっかりと記憶に定着させることができるかという問題意識の下、インターネット上で回答ができる10分程度の演習を作成していったのがそのスタートです。当初はその25個のドリルをモニターの学生に25日間連続で解いてもらったといいます。その営みを2年間続け、バージョンアップもする中で、思考力強化のための手段として手応えを感じたものを20個ピックアップし、加筆修正して改めて書籍化したのが本書です。

具体的な章立ては以下のようになっています。

CHAPTER1 まず「根拠」から考える
CHAPTER2 「何が起こっているか」正しく認識する
CHAPTER3 「数字」に仕事をさせる
CHAPTER4 上手く「伝え」、上手く「聞く」
CHAPTER5 コンピュータを味方にする
卒業試験

それぞれのCHAPERには4つのLESSONがあります。つまり計20のLESSONと卒業試験で論理思考を身に着けるという構成になっています。そして各LESSONは基本的に以下のような構成をとっています。

・問題提起
・基本的な解説
・演習
・解説
・ステップアップの解説(さらに一段上を行くためのTips)
・まとめ

当然ではありますが、本書で皆さんにぜひチャレンジいただきたいのが各LESSONの中の演習です。もともと10分程度で回答することをイメージしていますので、まずは10分とは言わないまでも数分は考えてみてください。正直、筆者も多少てこずったものもあります。逆に、一見非常に簡単なように見えて、考え出すと奥の深い演習もあります(その奥の深さはステップアップの解説でも味わうことができます)。

各演習のすぐ下には解説がありますが、何も考えずにそれに飛びつくのは得策ではありませんし、せっかく本書を手に取った効果が半減してしまいます。中高生の時の数学の演習同様、「解けると感じた」のと、「実際に最後まで解き切れる」には大きな差があります。ぜひ演習は「多分こういうことだろう」で済ますのではなく、腰を据えて数分は考えてみましょう。別解を考えるのも非常に効果的です。また、解き終わった後に解説と比較し、自分の思考の癖を再確認することも、メタ認知能力を高めたり実務で活かしたりするうえで役に立ちますので、ぜひ挑戦してください。

小職も何冊か「正しく考えること」あるいは「効果的に考えること」に関する書籍を出したことがありますが、そうした書籍の執筆者ですら毎回新しい発見があるのがこの分野です。今回も、本書をお手伝いする中でいくつかの発見がありました。

ロジカル・シンキングをこれから勉強しようという方にも、すでに勉強したけどさらなる定着を図りたいという方にもお勧めの1冊です。

入社1年目から差がつく ロジカル・シンキング練習帳
著者:グロービス 執筆:岡重文 発行日:2020/6/26 価格:1760円 発行元:東洋経済新報社

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