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キャリア教育における反転学習の効能は?

投稿日:2020/03/25更新日:2020/08/19

前回に続き、「eラーニングアワード 2019 フォーラム」の中で行われたセミナー「大学と企業をつなぐ――反転学習による学生の新たなキャリア教育」の内容をお伝えします。(全2回)

反転学習を行った学生の反応まとめ

寺内:ここで、今回の「グロービス学び放題フレッシャーズ」を使った実践女子大学との反転学習の取り組みについて、受講者の皆さんに回答いただいたアンケートやインタビュー、修了テストの結果を分析しましたので、皆さんに共有したいと思います。

まず、1つ目。「デジタル教材は一日あたりどの程度の学習量であれば継続できると感じますか?」。75%以上が5分から20分という数字を選択しました。コメントも、短時間で学びたいとか、端的に学びたいという流れがあります。

これまでは、机の前に座って30分ないし1時間学ぶのが学習のイメージでした。今の世代の方の学習スタイルとしては、5分10分でサクッと学ぶことを望んでいるのが見えています。

2つ目。「デジタル教材は主にどの時間帯で利用しましたか?」。夜や夕方など帰宅後の活用が多かったと思います。一部の方は、授業の前にパッとやるような学び方をされています。

3つ目。「デジタル教材の学習方法として最も学びたいと感じる方法は何ですか?」。「グロービス学び放題フレッシャーズ」が、テキスト、音声、動画、SNSそれぞれで学べるような形式を提供しているので、それを体験していただいた上で回答いただいています。

意外だったのは「文章を読む」が1番多かったことです。今、動画学習ってすごく盛んになってきていますが、しっかり学ぶのは文章がいいと。ただし、ずっと文字を見ていると疲れるので、動画とかがいいと思う部分もあると。あるいは、別に動画じゃなくてもいいと。結構、学び方も多様化してきているなと、すごく感じます。

そして4つ目。「デジタル教材は主にどのような場所で利用しましたか?」。1番は交通機関です。自宅で学ぶよりは、交通機関の中で学ぶ流れが出てきています。

面白いのが「通信量が気になる」っていうコメントが多かったことです。反転学習とかモバイルラーニングとかマイクロラーニングをやるとついて回る話ですが。交通機関で学ぶということは、Wi-Fiがない環境で学ぶことにもなるので、データ通信量が軽い文章で学ぶっていうところと紐づいていることが見えてきました。動画もいいけれど、やっぱり通信量が軽い文章もいいねというところですね。

ここからはより深く分析した結果をお伝えします。高得点の方は、1日あたりの継続できる学習量が10分から30分でも全然いいよと。そうじゃない方は10分以下や5分以下。能力によって大きなギャップがあることが見えてきました。

それから、「デジタル教材は主にどの時間帯で利用しましたか?」でも、差が出てきました。高成績を取られた方は朝の時間に主に活用していて、そうでなかった方は深夜とか夜型でした。やっぱり朝学ぶ方は成績がよくなりやすい、ところは見えてきました。

学習方法に関してですが、高得点取られた方は文章で学びたい。一方でそうじゃなかった方はSNSを使って学びたいと。その方にインタビューをしてみると、「自分で考えるよりはほかの人に教えてもらいたい」「ほかの人がやっているから自分もやる」といったコメントがあり、外発的な動機付けが必要な方だと感じました。つまり、能力によって学び方を変えていかなければいけない時代なんだと思います。

それから、「高得点受講者と他の受講者の総学習時間平均」。高得点を取られた方は4時間オーバーで、そうじゃない人は短かったです。

あと、「どのようなデジタル教材であれば積極的に使ってみたいですか?」。大きく4つキーワードが出てきました。学び方、学習時間、通信量、ゲーム性です。学び方でいうと、テキストや動画といったベーシックなところを押さえながら、漫画形式とか続けられるような内容だといい。学習時間は短く。データ通信量も極力軽く。それからゲーム性。テストの点数を競ったり、ポイントみたいなのがあるとやると。

続いて、「反転授業は学習上効果的だと感じますか?」。効果的だと感じるという方は、勉強した上で授業を聞くと頭への入り方がスムーズ、分かった状態で来ると関心が持てるといったコメントがありました。

一方で、効果的だと感じない方がどんなこと書いているか。「予習する時間があるなら他に充てたい」「やる時間が取れなかった」など、そもそも時間が取れない。それから「読んでおかないと知らない単語が出てきたときに授業についていけない」とか。やってきた方はすごく理解が深まる。そうじゃない方は講座が理解できないといった、二極化が進んでしまう問題はありました。

キャリア教育における反転学習の効能は?

深澤:私の方では、キャリア教育の視点で得られたことを3つにまとめてみました。今回の講座は、「なぜこのコマがあるの?」「なぜこのゲストの話を聞いてもらうの?」っていう目的がしっかり伝わるよう設計したつもりです。

3つ目に関しては先ほどお話した通りですが、私が色々なお立場の素晴らしいゲストをお呼びしたとしても、それが教員の自己満足に終わっていたら何もならない。学生にとって、今後の人生にどう役に立つのかということまで考えることが大切であったわけです。

今、大学の授業に事前事後学習が求められていますが、その組み立ての難しさを非常に感じています。提示した分自主的に学び授業に活かした学生と、逆にそれが負担になってしまった学生がいて、二極化してしまった。これを来年以降どうするか、考える必要があります。

寺内:最後に、これからのキャリア教育に必要なことと、大学と企業をつなぐためにやるべきことをお話しします。まず、社会人教育者側の視点では、学生さんの価値観を大事にしたほうがいいなと思っています。人材も少なくなってきている中、結構難しいビジネスを彼らに背負わせざるを得ないような状況になってきます。

その中で、彼ら彼女らが活躍するためには、本人たちの価値観ときちんとマッチするかたちで、教育なりビジネスなりを与えられなければいけない。なので、どんな価値観を持っていて、どんなことに興味があるのか、企業側も理解した上で人材と向き合っていくっていうのが、1つ目。

もう1つ目は、「新人だからまだ早い」っていう言葉を使う時代じゃなくなってきているという印象です。新人だからビジネスマナーやビジネス文章を学ばせればいいよね、ではなくて。彼らデジタルネイティブの人たちが新しいビジネスを自立的に楽しくつくっていけるように、レベルの高い学びや成長の機会を企業側が積極的に提供をしていくことがすごく重要なのかなと。

深澤:先の見えない時代に、どう学生を送り出すか。特に、私の担当している文学部で学ぶリベラルアーツは教養としてはものすごく重要だと思っていますが、それがどう社会で活きるかを考えること、それがキャリア教育の1つの役割だと思っています。

専門科目を、どうトランスレーションして社会の学びの1歩につなげるか。そのためには、これからも産学連携が必要です。それも、仕組みと中身を進化させていくことで、どれだけ即戦力として活躍できる学生を育てられるか、が重要な課題だと思います。

相反する想いを整合させていく

参加者:深澤先生から見て、「予習をできなかった」学生さんは、何が要因だと思いますか。

深澤:今回、私自身の反省として、事前事後学習のフォローが十分でなかったことが挙げられると思います。学び方が分からなかった学生に対するフォローをもう少し丁寧にできればよかったと思います。

参加者:グロービスの研修を受けた際、受講生同士でメールのやり取りをすることが勉強になった経験があります。そういったメールなどを上手く活用する方法はありますか。

寺内:「グロービス学び放題フレッシャーズ」の中では、SNSを使って皆で自分の意見を出し合って、学びを深めていく仕組みを取り入れています。これはまさに、グロービス経営大学院がやっているグループワークの仕組みを、デジタルサービスの中で取り入れようと考え、取り組んでいます。おっしゃる通りソーシャルラーニングは、これからの学びにおいてはすごく重要なテーマだと思います。

参加者:管理者側からの各学生のモニタリングはできるんでしょうか。

寺内:「グロービス学び放題フレッシャーズ」は管理画面をご用意しています。誰が何をどれぐらいやってどういうコメントをしたかなど、モニタリングすることができます。その情報を元に今回の分析をさせていただいた次第です。

参加者:キャリア教育を評価するうえで、長期的なキャリアを追跡調査するのでしょうか。

深澤:実はまさにそこが課題で、昨春、入学時から30歳まで学生をフォローするシステムを導入しました。何をこの学生が学んだかを、学内、学外、サークル、全て入力してもらい、全てデータ化していきます。さらに学生とのコミュニティも作りましたので、どんなコミュニケーションでも取れるようになってきています。いわゆるエンロールメントマネジメントの考え方です。

とはいえ、そこにどれだけ教員が時間を割けるか。今回の件も87名だったからできなかった部分もあり、40人だったら全く違う結果が出たと思います。来年、ここの人数を絞って進捗をフォローすることに時間を割ければ、全然違う結果が出るかもしれません。

大学生一人ひとりを個別に細かく見ていきたい一方で、キャリア教育をなるべくたくさんの学生に受けてもらいたい。この相反する想いをどう整合させるか、考えながら進んでいければと思っています。

寺内:本日はご清聴いただき、ありがとうございました。

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