夏休みにキャッチアップしたいオススメ書籍ーーテクノベートを理解するための5冊

これからのビジネスにはテクノロジーに関するリテラシーが必須です。グロービスでは、テクノロジーを通じたイノベーションが起こる「テクノベート時代」に合わせ「テクノベート科目」を創設しています。この記事ではテクノベート科目担当教員を中心にテクノベートを理解するためのオススメの本5冊をご紹介します。

『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』

推薦者:難波美帆(グロービス経営大学院 ソーシャルメディア・コミュニケーション担当教員)

2017年12月、上海で開店したばかりのスターバックス・リザーブ・ロースタリーに連れて行ってもらった。店内を行き交う素敵なお兄さんに声をかけ注文。その場でスマホで決済。お兄さんの腰につけた機械からするするとレシートが出てきて、ドリンクが完成するとスマートフォンに通知が届く。何もかもがおしゃれで、スマートで、日本でのスターバックス体験はすっかり色褪せてしまった。

本書では、そのさらに先をいく中国コーヒーショップ事情などを具体例に、「リアル世界がデジタル世界に包含されたOMO型」のビジネス世界を紹介し、何が起きているのか、デジタルによってビジネスはどう変化しているのかを解説している。圧巻は、IT企業アリババが設けるUED大学学長が2017年12月に語ったというビジネス、デザイン、デジタルの関係を説明した『UX の5段階』という方法論だった(p.99〜)。彼らは2006年の0段階から、既に第5段階に進んでいる。日本のビジネス界は、ようやく第1段階を認識して第2段階を目指しているにすぎない。7payの撤退にひるんでいる場合ではないのだ。デザイン、テクノロジー、ビジネスのエコシステムを使いこなす中国ビジネスは追いつけないほど先を行き、我々は彼らのプラットホームに乗っかり「隷属」するしかなくなるのかもしれない。

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る
著者:藤井 保文、尾原 和啓 発行日:2019/3/23 価格:2376円 発行元:日経BP

『予測マシンの世紀 AIが駆動する新たな経済』


推薦者:吉田素文(グロービス経営大学院 テクノベート・ストラテジー担当教員)

人工知能(AI)に関するニュースを目にしない日はないほど、様々な分野で活用が進んでいます。そんな中、漠然とした不安や疑問を感じている方も多いでしょう。本書はAIの本質を「予測マシン」と捉え、その進化・普及が我々の日々の判断・行動、企業の戦略、社会の在り方にどう影響を与えるのか、豊富な具体例と共に詳述しています。

AIがさらに行き渡った社会において、自社のビジネスはどう変わるべきか、そして我々の仕事はどうなるのか、機械(AI)と人間が協働するようになる社会において人間はどのような役割を果たすべきか、そしてAIの普及はどのような課題・問題を生じ得るのか。漠然とした不安を明確な問題意識に転換し、自分で考えるうえで基本となる理解をしっかり得られる一冊。

予測マシンの世紀  AIが駆動する新たな経済
著者:アジェイ・アグラワル、ジョシュア・ガンズ、アヴィ・ゴールドファーブ 訳者:小坂恵理 発行日:2019/2/6 価格:1836円 発行元:早川書房 

 

『爆速!アルゴリズム 毎日の生活がみるみるうちに変わる』

 

推薦者:許勢仁美(グロービス経営大学院 デザイン思考と体験価値担当教員)

私たちを賢く幸せにしてくれるもの、そんなものがあるのなら、誰だって知りたい。知りたくない人なんていないだろう。本書の原題には、まさに、「〇〇は私たちをいかに賢く幸せにしてくれるか」。そして、〇〇に入る言葉は「アルゴリズム」だ。ここでいうアルゴリズムは、何かを行う際の段取りや手順といった意味合いで使われ、本書を読めば家事などの日常生活の中でアルゴリズムを既に活用していることがわかる。さらに本書には日常的な仕事をやり遂げるための、よりよい方法を考えるヒントが散りばめられている。

特筆すべき点は、ビッグデータといわれるように、処理する仕事量が桁外れに大きくなった場合に適した方法を考えるヒントが含まれていることだ。「コンピュータはどうやって情報を処理しているのか(どうやって指示すると期待通り処理してくれるのか)?」「ビッグデータを扱うときの処理速度への影響は?」といった疑問に、12のストーリーで応えてくれる。コンピュータについても、アルゴリズムについても、人間は人間らしく理解すればいいのだ。改めてストーリーのパワーを感じる一冊でもある。

爆速! アルゴリズム 毎日の生活がみるみるうちに変わる

著者:アリ・アルモッサウィ 訳者:吉田三知世 
発行日:2019/3/29 価格:1620円 発行元:東洋経済新報社

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』

 

推薦者:梶井麻未(グロービス経営大学院 テクノベート・シンキング担当教員)

近年、「AIが人類を滅ぼす」「シンギュラリティが到来する」といった論調が散見され、「自分の仕事がAIに奪われるのではないか」といった危機感を持たれている方も少なくないかもしれません。しかしそもそも、AIとは何か、AIのできること・得意なことやできないこと・限界とは何かを正しく理解しているでしょうか?

本書の著者は、東大合格を目指すAI「東ロボくん」の育ての親。本書では前半でAIの可能性と限界について解説し、後半では実は人間の読解力が落ちているという衝撃的な報告もまじえながらAIと人間との関係の在り方について述べています。2019年ビジネス書大賞を受賞しているだけあり、内容もわかりやすく、AIとは何かを正しく理解し、これからのAIと人間との付き合い方について考えたい方に、おすすめの一冊です。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち
著者:新井紀子 発行日:2018/2/2 価格:1620円 発行元:東洋経済新報社

『ZERO to ONE 君はゼロから何を生み出せるか』

 

推薦者:金子浩明(グロービス経営大学院 テクノロジー企業経営担当教員)

ピーター・ティールはシリコンバレーの立志伝中の人物だ。イーロン・マスクらとペイパルを創業し、現在はエンジェル投資家、ベンチャーキャピタリストとして絶大な影響力を誇る。
この本はティールが母校スタンフォード大学で行った講演録である。そこで彼は一貫して聴衆を挑発し続ける。例えば、ビジネスに競争なんて必要ないんじゃない?ポートフォリオを組んでリスクヘッジするなんて何の意味がある?(流行りの)リーンスタートアップで、事業がうまくいくと思ってる?など。

彼の主張は筋が通っていて、ビジネススクールで教えていることの盲点を突いている。特に、これから起業を目指す人にとっては最良の一冊となるだろう。しかし、読者がもしコンサルタントや大企業での出世を目指しているならば、この本は劇薬である。

ZERO to ONE 君はゼロから何を生み出せるか
著者:ピーター・ティール、ブレイク・マスターズ 序文:瀧本哲史 訳者:関美和 発行日:2014/9/25 価格:1728円 発行元:NHK出版

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