インターネットで顧客を購買に向けて動かす鍵とは? 

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インターネット先日改定・発売になった『改訂4版グロービスMBAマーケティング』から「インターネットの普及による購買意思決定プロセスの進化」を紹介します。

マーケティングの有名なフレームワークにAIDMA(Attention-Interest-Desire-Memory-Action)やAMTUL(Attention-Memory-Trial-Usage-Loyalty)に代表される、顧客の態度変容モデルがあります。これらは現在も使われている汎用的なフレームワークですが、インターネットの時代になって現われた新しいフレームワークやコンセプトもあります。その代表が、今回紹介するAISASやZMOTです。

昨今のIT環境に鑑みると、これらもマーケティングに関与する人にとっては知っておかなければいけない重要な考え方と言えます。いずれも、ネット上での情報共有や評判が顧客の購買行動に大きな影響を与えることを大前提にしています。これらのモデルを有効に活用し、適切な打ち手をどんどん試していく必要があるのです。そしてその際には、KPIを測定しPDCAを回しながら改善を図るのも、今や当然の営みと言えるでしょう。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

◇    ◇    ◇

インターネットの普及による購買意思決定プロセスの進化

購買意思決定プロセスは、製品特性や流通チャネルの形態などによっても異なり、様々なものが提唱されている。特にインターネットの普及に伴う商流と消費者の購買行動の変化に合わせたモデルのうち、ここでは代表的なものを2つ紹介したい。

1つ目はAISASだ。AIDMAモデルから欲求(Desire)と記憶(Memory)を省き、注目(Attention)、興味(Interest)、検索(Search)、行動(Action)、情報共有(Share)の各プロセスで構成したモデルである。2つの「S」が組み込まれていることがAISASの大きな特徴だ。

例えば、消費者がテレビ番組の美容家電特集を見て魅力的な新製品の存在を知り、グーグルで検索し、アマゾンや楽天のサイトで製品のスペックや価格、ユーザーのレビューを見て購入を決定し、購入後の満足体験をSNSで友人たちとシェアするといった具合だ。

2つ目は2011年にグーグルが発表したZMOTだ。このモデルはP&Gが提唱したFMOT、つまりFirst Moment of Truth(最初の真実の瞬間)が下敷きとなっている。これは、「消費者は店舗に陳列された製品を目にした最初の3秒から7秒の間に購入を決定する」という考え方でマーケティングを行うべきだ、というコンセプトをキーワード化したものだ。

グーグルはこの考え方を発展させ、FMOTの前にZMOT:Zero Moment of Truth(ゼロ段階の真実の瞬間)という「インターネット上での情報収集」があることに着眼した新たなフレームワークを生み出した。

広告や友人との会話などから興味を持った商品をモバイルで検索し、eコマースサイト、レビューサイト、比較サイト、SNSから情報を得ることで購買の意思を固める(ZMOT)。その後、店舗や、場合によってはそのままeコマースで購入し(FMOT)、実際に製品を体験する(SMOT:Second Moment of Truth)ことを通じて製品への評価を固め、その評価をSNSやレビューサイトで共有することにより、別の新規顧客のZMOTにつながっていくというモデルである。

ZMOT

AISAS、ZMOTのいずれも、消費者がインターネット上で情報収集することで購買の意思を固め、購買・使用体験を共有することで製品に関する情報が流通していくという点で共通している。企業は、インターネット上の情報量が加速度的に増し、かつモバイル端末により、いつでもどこでも情報を収集できる時代であることを念頭に置き、コミュニケーション戦略を構築する必要がある。

(本項担当執筆者:花崎徳之 グロービス・コーポレート・エデュケーション マネジング・ディレクター)

東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。
グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

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