大塚家具に見る資本提携で考えるべきこと 

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大塚家具かつて家具業界の覇者であった大塚家具が揺れている。

8月8日の朝日新聞は「買手候補は事実上、貸会議室大手のティーケーピー1社に絞られた」、さらに11日付けの日本経済新聞は「大塚家具が台湾の企業連合と資本・業務提携の交渉」と報道した。大塚家具では、「財務基盤強化のための資本増強や、事業シナジーを生む業務提携について様々な選択肢を多面的に検討している」としながらも、報道内容は同社が発表したものではないとしている。

大塚家具では2018年8月7日に業績見込みの大幅下方修正を発表し、2018年12月期の最終損益は34億円の赤字となる見通しとした。3期連続の赤字となる。6月末の自己資本比率は236億円の総資産に対して60.7%と高く、また39億円に上る現預金・投資有価証券を保有しているが、資産の多くは在庫であり、このまま赤字が続くと資金繰りに問題がでてくる。このため、「継続企業の前提に関する注記」(ゴーイングコンサーン)が決算短信に記載された(参考:大塚家具のGC注記には何が記載されているのか?)。これは、業績や財務の悪化などで企業継続の前提に重要な不確実性が生じた場合に、投資家に注意を促すことが目的である。

「資本提携」とは、企業が、他の企業とお互いの株式を持ち合い、協力関係を強化することである。相互に株式を持ち合うことが多いが、企業がもう一方の企業の株式を取得するだけの場合もある(この場合は「資本参加」という)。一般的には、支配関係を伴わない低い出資比率で資本関係を持つことを意味する。

「業務提携」とは、企業が、他の企業と業務上の協力関係を築くことである。資材の調達や物流、技術開発、販売促進、人材の交流など、提携内容は多岐にわたる。業務提携と同時に資本提携が行われる場合も多い。

大塚家具が発表している通り、(1)財務基盤強化のための資本増強、(2)事業シナジーを生む業務提携、ということで、資本提携を伴う業務提携を目指しているものと思われる。

伝統的な商慣習と生活様式と地縁関係とに守られた家具業界において、商圏を広げ、規模の経済を推し進め、伝統的な業界の力学も変えながら成長を続け、ついには家具業界の覇者となった大塚家具。しかしながら、少子化、住宅の洋風化による家具需要の低下、そしてニトリやイケアのような新しい業態の家具・インテリア企業が台頭していく中で、業績は低迷し、ついに2015年には経営方針を巡り、親子での経営権争奪戦にまで発展した。娘の大塚久美子氏が勝利したものの、経営改革は進まず、3年連続の赤字となる見込みである。

大塚家具

事業の展開方向を検討するフレームワークとして「アンゾフの事業拡大マトリクス」がある。これは事業拡大の方向性を、(1)市場軸(既存市場vs.新規市場)、(2)商品(既存商品vs.新規商品)の2軸で考える手法である。大塚家具の場合、市場軸としては、「国内vs.海外」、商品軸としては「既存の家具vs.家具以外の商品」の2軸で検討することになる。

父親である大塚勝久氏が大塚家具の経営権を失った後に選んだ道は、「匠大塚」を設立し、企業規模を縮小しながらも、従来の「既存市場+既存商品」の方向性を追求することであった。

今、大塚家具に残った久美子氏が模索しているのが、資本提携と業務提携を軸とした業績の立て直しであろう。一つの方策が、台湾の企業グループである「能率集団」を窓口とする企業連合と提携しての「新規市場+既存商品」の追求。もう一つの道が、貸会議室大手のティーケーピーと連携しての「既存市場+新商品」への展開である。大塚家具は家電量販大手のヨドバシカメラとの提携も模索しているとの報道もあるが、その目論見は、家電量販でありながら住宅事業への事業展開を図ったヤマダ電機を見据え、家電量販店と連携した住宅関連事業への展開(既存市場+新商品)であろう。

どちらの方向に進むにせよ、提携交渉は、大塚家具の将来の姿を大きく変える意思決定につながる。 

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