G1サミットのボード・ミーティングで、次のG1サミットの会場の議論をしていた時に、「では、来年は青森屋にしましょう」とほぼ決まりかけた時に、辰巳琢郎さんが、「アルツ磐梯で最初に開催した時に、10年は続けると決めた。できたら10年間は違う場所で開催することを検討してはどうか」と発言された。
星野さんが、「では、是非沖縄の八重山諸島を検討して欲しい」と強く訴えられた。以前から星野さんより、「来年はぜひ沖縄で」と言われてきたのである。そこでその場で僕が、「では、視察に行きましょう。3月28日から行けますので」と宣言した。すると、星野さんが、即座に会社のG1サミット担当者にメールを送り、僕の沖縄の八重山諸島の視察ツアーが決まったのだ。何と言うスピード決定。
新たに開設された、G1サミットのフェイスブック上のグループでは、「次の会場として洞爺湖のウィンザーホテル洞爺がよいのでは」、との意見も出ていた。そこで、視察班を、北と南とで二つに分けて実施することにした。僕は、ウィンザーに宿泊したことがあるから大体雰囲気はわかっているし、星野さんとの関係もあったので、南に行くこととなった。
そして、3月28日の朝6時半の石垣島直行便に乗り、3月7日に開港したばかりの新石垣空港に降り立ち、離島ターミナルまでタクシーで向かった。そこで、星野リゾートの櫻井さん、堀圭吾さんと合流し、先ずは西表島行きのフェリーに乗った。上原港まで片道50分弱。かなり揺られた。
上原港に着くと、星野リゾートのニラカナイ西表島のスタッフが迎えに来てくれていた。ホテルに入り、昼食を済ませて、チェックインしてから、視察ツアーが始まった。先ずは館内を観て周り、会場となりうる施設をチェックしてから、町の公民館「わいわいホール」までマイクロバスで向かった。
そして、ホテルに戻り、砂浜を視察した。そこで、写真をフェイスブックに上げた。仕事をしている(ふり)シリーズが始まった。
(視察の仕事をしている(ふり)の風景@星野リゾート・ニラカナイ西表島)
この時点では、会議場の施設がほぼ全く無いに等しいので、正直言って沖縄八重山諸島でG1サミットが開催できるとは思っていなかった。じゃ「なぜ視察に行ったのか?」と言われると、「冒頭のボード・ミーティングの空気を察してくれ」、としか言いようがない。星野さんからは、「来年は沖縄八重山だ。小浜島と西表で一泊ずつどうか?」と言われ続けてきたからだ。
そこで、照れくささも加わって、「仕事をしている(ふり)」となったのだ。
白浜のビーチを視察した後は、夕方にヤエヤマ・ボタルの視察だ。夕暮れ時にホテルを出て、山の麓に車を停めて、山道を歩く。辺りがだんだん暗くなってきた。「ヤエヤマ・ボタルは、本州にあるゲンジボタルと違い、薄緑色の強い光を放ち、点滅のスピードが早い」と道中に説明を受けた。そして、観測地点に着くと、もう既に何匹かの点滅が見え始めていた。あたりが真っ暗になった。ホタルが数百といて、飛び回っているのだ。これは、壮観だ。まさに、大自然が創りだす「イルミネーション・ショー」だ。近くに飛んできたホタルを何度か手の平に乗せて楽しんだ。
1時間ほどホタルと戯れ、ホテルに戻った。軽く部屋に戻り着替えた後に、食事会だ。そこでサプライズが待っていた。僕のバースデーを祝ってくれたのだ。とても嬉しい。
(誕生日ケーキ@ニラカナイ西表島)
ツイッターでも以下呟いた。本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。
「FBのメッセージに既に100通以上の誕生日メールを頂きました。感謝です。とても一つ一つに返信ができないので、この場を借りて、お礼申し上げます。本日で51歳です。50歳の時よりも、成長した自分でありたいと思います。日々、人生を楽しんでいます。みんなで素晴らしい人生を謳歌しましょう。」
(翌日のツイート)
「誕生日にFBでもらったコメントを全て読み「いいね!」でお返しして、メッセージでもらったお祝いの言葉にも全てに目を通しました。今の僕があるのは、数多くの友人達との出逢いとサポートのお陰だと再確認しました。物理的に皆さんとは誕生日に会えていないですが、FB等を通して、こうやって繋がっていると嬉しくなります。ありがとうございます」。
翌朝9時から奥西表の視察が始まった。先ずは、星野リゾートのプライベートビーチ的なイダの浜を観て、舟の上からサンゴ礁を楽しみ、そして、マングローブの原生林がある仲良川に入り、カヌーを降ろして、マングローブ探検カヌーだ。
仕事をしている(ふり)その2。西表のマングローブの視察へ。雪合戦の代わりに、カヌーのレースができるかも。
カヌーで、マングローブのトンネルをくぐり抜けた。桟橋に舟をつけて、ホテルに戻り、チェックアウトして、次は由布島に向かった。水牛で島に渡る有名な場所だ。
(仕事をしている(ふり)その3。ディナー会場候補地の由布島に水牛車に乗って向かうところ。)
ここで、ディナー会場にすることができそうな気配はあった。だが、いかんせん会議ができないのだ。そう思い詰めながら、西表島の大原港から、竹富島に向かった。
竹富島に着き、先ずは昼食だ。星野さんの御好意でランチを頂き、「星のや」の施設を見せてもらった。通常は星のやでは、視察など全くできないのだが、今まで星野リゾート各地でG1サミットをやってきた実績もあり、特別にご配慮頂いた。
食後に、星のやオリジナルの泡盛だ。仕事をしている(ふり)その4。星のや 竹富島でオリジナル泡盛のテイスティング中。
その後、竹富島市内観光だ。竹富島の観光資源は、文化だ。「竹富島憲法」と「竹富島景観形成マニュアル」があり、家の造りが統一されているのだ。魔除けの石碑である石敢當(いしがんどう)があり、サンゴ礁の石で囲まれ、赤瓦の屋根にシーサーを祀っていた。
そして、白浜のビーチがあるコンドイ浜に向かった。
(仕事をしている(ふり)その5@竹富島コンドイ浜。ビーチサイドアクティビティを思案中。ビーチバレーかな~)
竹富島を離れ、石垣島経由で小浜島へ向かった。今回、八重山諸島のうち4島を訪問しているが、思ったよりも離島間の交通の便が良い。いつかは、竹富島、小浜島、西表島の星野リゾート3施設使ってのG1サミットを開催してみたいと思う。だが、セッション会場が無いのだ。そこが悩みだ。ちなみに、尖閣諸島は、この北100kmに位置する。余計にこの地で開催してみたい気持ちが増してくる。
小浜島に到着。バスで、リゾナーレ小浜島に向かう。この日に、由布島を入れたら5島、回ったことになる。西表島、由布島、竹富島、石垣島、そして小浜島だ。僕にとっては、29年ぶりの小浜島だ。前回来た時は、君島十和子さん(旧姓;吉川)他と一緒だった。彼女はまだデビュー前の高校生で、僕は大学4回生だった。懐かしい。僕は「遊び人」ではあるが、君島十和子さんとは、そのような関係は全く無いのだ。ま、機会があれば、後日説明をしよう。
さて、その夜は、ホテルでイタリアンだ。星野リゾートの美味を堪能させてもらった。
翌30日の朝。視察最終日だ。リゾナーレ小浜島で、朝起きて仕事していたら、通信状態が良くないので、電波を求めて仕事をしていたら、気がついたらすっぽんぽんで、ベランダでキーボードを叩いていた。これこそが、リゾートだ。
小さな船にのり、「幻の島」のアクティビティ視察に向かった。天気は、曇り。そして、太陽が顔を出したり隠れたり、熱すぎず寒すぎずで、紫外線が少ない最高のコンディションだ。15分ほど揺られて、「幻の島」浜島に到着。僕が29年前に来た時は、「幻の島」のネーミングは無かった。なぜ「幻」かと言うと、満潮時には水没し、干潮時のみに、砂浜が現れるからだ。29年前と比べると、多少砂が増えた程度か。相変わらず美しい。
(仕事をしている(ふり)その6――小浜島沖の「幻の島」浜島にて、アクティビティの視察中。僕にとっては29年ぶりの上陸。)
ここで、暫く船長さんと会話を楽しみ、「お魚畑」へと向かった。このネーミングも絶妙だ。両方とも観光業を営む船長さん達がつけた名前だ、と言う。
仕事をしている(ふり)その7――小浜島沖の「お魚畑」にて、珊瑚と熱帯魚の視察中。もうそろそろ「ふざけるな。仕事なんかしていないだろ」という声が聞こえてきそう。。
本当に珊瑚が美しい。僕も、豪州のグレート・バリア・リーフやカリブ海などそこら中で潜ってきたが、ここのサンゴ礁が、世界で最も種類が豊富で、カラフルで美しい。何よりも楽しい。僕にとっては、このツアーで始めて泳ぐことができた。泳げるのと、珊瑚を楽しみながら魚と戯れられるのと、視察の仕事ができるのとで(ふり?)、一石三鳥だ。
この石垣島と西表島との間は、どうやら北半球で一番大きく、世界でも豪州に続く珊瑚の集積地だと言う。この地域を「石西礁湖(せきせいしょうこ)」と呼ぶらしい。素晴らしい!
この八重山諸島は、日本で人が住む、最南端且つ最西端である。最南端の島が波照間島で、最西端が与那国島だ。双方とも八重山諸島に位置する。気候は温暖だし、島々の配置がハワイっぽいし(石垣島がオアフ島で、西表島がハワイ島で、小浜島がマウイ島かな?)、そして中国・台湾に近いから、これから更に発展するであろう。
さて、小浜島に戻り、ランチの前後にリゾナーレ小浜島を視察した。相変わらずセッションができる会場が無い。苦肉の策で絞り出した、「小中学校の体育館はどうか?」と言う発想も、否定されてしまったら、もう方法は、残っていない。お手上げだ。
3島の離島の視察を終えて、小浜島の港から石垣島に向かう事になった。
(仕事をしている(ふり)その8。小浜島視察を終えて、石垣島へ向かうところ。地産地消の紅芋アイスの味を確認中。ウマイ!)
石垣島に向かうフェリーの中で、エメラルド色に輝く海を見ながら、考え始めた。「何か発想の転換はできないか?」と。「そもそも会場を3島に求めない発想はないのか?」、「この便利な離島フェリーネットワークを使えないか?」、「3つの個性がある島を有効にオフサイトとして使えないか?」。
そこで思いついたのが、3つの島をオフサイトの分科会会場として使ってはどうか、というものだ。テーマは、竹富島は文化、西表島は自然、そして小浜島はマリンスポーツだ。それぞれ個性があって面白い。朝11時過ぎに出て、昼間はそれぞれのアクティビティを楽しみ、夜の食後に、ナイトセッションを開催できる。分科会であれば、人数も少なくなる。であれば、レストラン等を会場にすれば良い。そして翌朝の第一便で石垣島に戻ってくれば良いのだ。
構想が浮かび始めた。テーマは、「日本最南西端の島々から、国防・観光そして日本の未来を語る」ではどうか。メイン会場は石垣島とし、それぞれの3つの島をオフサイトとして使う発想だ。石垣島のホテルであれば、全体会も分科会も開催できそうだ。日程的には、以下だ。
初日 石垣島へ移動。石垣島のホテルにてレセプション
2日目 終日セッション。午前中全体会、ランチ・ガーデンビュッフェ、午後分科会。夜は、和を重んじた着物ナイト(ゆかたもOK)。その後、15ぐらいのナイトセッションに分かれて議論
3日目 朝8時から10時まで分科会セッションを石垣島にて行い、午前11時のフェリーで3つのオフサイトの島へ
竹富島:
昼間:テーマは文化 竹富島水牛車散策と星のや(宿泊は、星のや竹富島)
ディナー後のナイトセッション:テーマは政治か?
西表島:
昼間:自然。由布島水牛車とマングローブ・カヌー。夕方にヤエヤマボタルの集積地を散策(宿泊は、ニラカナイ西表島)
夜:テーマは経済経営?
小浜島
昼間:海 「幻の島」と「お魚畑」による珊瑚と熱帯魚観賞
夜:テーマは、文化・社会? (宿泊は、リゾナーレ小浜島)。
夜は、それぞれの宿にとまり、テーマに分かれて討議した後に、4日目の朝8時台のフェリーで石垣島へ戻る。
朝10時から全体会
15時近くに終了。その後、東京、大阪、名古屋へ向かうのだ。
フライトスケジュールは別途確認が必要だが、これであれば、今までとほぼ変わらない程度の討議時間を確保できる。しかも、日本の最南西端の島々に、日本のリーダーを招くことができるのだ。この地域の観光にとってもインパクトがある。尖閣諸島は、この北100kmだ。当然、国防を語り、観光も語るのだ。これは、面白い!
そう思うと石垣島のホテルでの打ち合わせにも力が入る。
(仕事をしている(ふり)その9。石垣島でバリバリ本気モードで打ち合わせ中。)
空港に向かう帰路、タクシーの運転手にわざわざ港まで向かってもらい、海上保安庁の巡視船の視察をさせてもらった。
(仕事をしている(ふり)その10。尖閣諸島をパトロールする海上保安庁の巡視船、みずきの激励・視察。)
夜10時過ぎに石垣島から帰宅した。もしも来年のG1サミットが沖縄八重山諸島で行われることとなれば、今までの視察が全て無駄にはならないことになる。仕事をしている(ふり)は、実は本気モードの仕事だったのかもしれない。
これから、G1参加者に投票してもらい、臨時ボード・ミーティングを開催して、来年の開催地を決めることになる。さあて、どこに決まるのか、楽しみだ。候補地は、北海道、青森屋、そして、八重山諸島だ。
皆さんは、どこがいいと思いますか?
2013年4月1日
バンクーバーに向かう機内にて執筆
堀義人
追伸: 翌日朝、英語のMBAの入学式を行った。13カ国から35名の入学だ。僕は、羽織袴姿で、英語でスピーチした。凄く優秀な方ばかりだ。午後1時半からは、日本語のMBAプログラムの東京校の入学式だ。全部で300名超だ。今度は、日本語でスピーチする予定。創造と変革の志士よ、頑張ろう!
(仕事をしている(ふり?)のその11――グロービスの英語MBAの入学式の風景。羽織袴で、入学式が始まる前に撮りました。)