チャート=わかりやすいと思い込んでいませんか?

『ビジネス数字力を鍛える』から「本当にチャートはわかりやすいのか」を紹介します。

パワーポイントの資料などを見ていると、「これでもか!」とチャート(図表)を詰め込む人がいます。その努力は認めますが、残念ながら、かえって見にくかったり、言いたいことが伝わらないものも多数見かけます。また、「その程度だったら、わざわざチャートにするまでもないのに」と思うものも少なくありません。確かに文字ばかりが続く資料は問題かもしれませんが、チャートが過剰、またチャートの細部に対する注意がはらわれていない資料は、かえって本人の評判を落としかねません。難しいことではありますが、どのようなチャートをどのくらい入れればいいのか、チャートのどこにこだわるべきなのかといったことに強い意識を持つことが、「ビジネス数字力」をあげるうえで必須の要件なのです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

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本当にチャートはわかりやすいのか

最後に、逆説的ではありますが、そもそも図や表(チャート)はわかりやすいものなのか、考えてみましょう。

多くの方が、わかりやすくするために、チャートを作るという作業をしているはずです。会社の上司からも、文字で書かずチャートにしろ、と指示されることはよくあることではないでしょうか。しかし、ここで一度、考えてみましょう。

皆さんの中で、本当にわかりやすいチャートを見たことがある方は、どのぐらいいるでしょうか。そのときはなんとなくわかった気にさせられたけれど、後から冷静に考えるとよくわからない、といった経験はありませんか。

チャートは、文字に比べ、膨大な情報を伝達、表現できます。そのため、実はチャートを描くことも、読み解くことも、本当は難しいのです。

表1

例えば、矢印一つをとってみても、図に示したようにいろいろあります。しかもそれぞれ瞬間的に与える印象は異なります。加えて、実線か点線か、あるいは線の太さの違いなども、異なった印象を与えます。矢印だけでも無限に種類があるのです。

皆さんは普段、どのように使い分けているでしょうか。意識してそれぞれの違いに意味を持たせているでしょうか。反対に、チャートを読むときはどうでしょう。その形の違いは意図されているものなのか否か、考えているでしょうか。

先の図の横軸を見てください。実線で描かれたものが、「視覚的に与える印象の強さ」としていちばん強いということに異論のある方はあまりいらっしゃらないかと思います。では、点線はどうでしようか。細かい点線と粗い点線、どちらの印象が強いですか? このあたりは線の長さにもよるでしょうし、個人差があるところかもしれません。作り手と受け手で、異なる印象を持つこともありうるわけです。

このように考えてくると、チャートとは本当にわかりやすいものなのか、と思えてなりません。一歩間違えれば、読み手に誤解を与えてしまうこともありうるのです。本当にわかりやすいチャートは、慎重に作り込まないとできないものだということを頭の隅に置いてください。

パワーポイントでチャート(スライド)を作るときの注意点を図にまとめましたので参考にしてください。

表2

(本項担当執筆者:グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長 田久保善彦)

『ビジネス数字力を鍛える』
グロービス経営大学院/田久保善彦 (著)
1728円

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