前原外相辞任に思う 

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「前原外相、辞任の意向 外国人から献金」。とても残念だ。前原さんに友人として電話して、「絶対に辞めるべきではない」と何度伝えようと思ったことか。「たった20万円の外国人からの献金程度で、日本の外向けの顔たる外相を辞めるのは国益に反する」というのが、その理由だ。

最近思う事には、永田町やマスコミの論理と、僕(ら)の感覚とには、格差が生じている気がする。僕の感覚では、「人間は完全ではない。多少のミスがあっても、大枠として良いリーダーであれば、その職にいて欲しい」、だ。野党が政局的に攻めることは、理解できる。マスコミが騒ぎ立てるのも、そういう性質なのだろう。

だが、その風圧に耐え忍び、何が正しいかを訴え続けることも必要であろう。日本では、「法令順守」への期待が過度にすぎる。郷原先生が書いた『「法令遵守」が日本を滅ぼす』ではないが、細かい法律よりも、「社会の要諦」の方が重要だ。多少献金を貰っても、政策が左右されなければ問題はない。

日本は、もっと大らかになっても良いと思う。夜中に裸でわめこうが、未成年がお酒を飲もうが、駐車違反をしようが、多少のスピード違反をしようが、外国人から20万円の献金を受けようが、大局から考えたら、大きな問題ではない。

僕がリーダーとして判断する時には、以下順番で判断する。(1)会社にとって良いか、(2)倫理的にどうか、(3)社会の要諦に合っているか、だ。法律は、常に変わるし、いちいち全てを覚えていられない。しかも、省令が出たり、課長通知が出たり、行政指導があったり、条例があったりで、正直言ってよく分からないのだ。

だからと言って法令を順守しないわけでは無い。当然、弁護士に相談し、関係省庁ともコンタクトをして遵守はする。ただ、それよりも、前述の倫理観、社会の要諦の方が重要だと思っているのだ。悪法でも法なので、当然従う。ただ、どこかで、知らぬ間に法を犯していたり、法の見解の不一致があったりする可能性は否定できないのだ。

だか、そんな細かいことを気にするよりも、大局を考え、判断する方が重要なのだ。同様に、日本のリーダーたる政治家に望むことは、細かい法令を守ることよりも、「日本を良くすること」なのだ。細かい法律など、「日本を良くすること」よりも重要度が下がるのだ。

リーダーは、清廉潔白である必要は無い。モニカと浮気しようが、偽証罪に問われようが、クリントンは辞めなかったではないか。世の中を良くする力があれば、多少の故意でない法令違反は、どうでもいいのだ。

歴史を振り返ると、法令を破りまくった坂本龍馬が世の中を変えたではないか。ルールや価値観を変えた織田信長が、戦国時代を平定した。清廉潔白なだけでは、日本をなかなか変えられないのだ。

清廉潔白でいい子の政治家よりも、大局を考え日本を良くする政治家を望むのだ。もちろん両方あればそれに越したことはない。だが、残念ながら清廉潔白さと、世の中を劇的に変える力とは、両立できない場合が多いのだ。

マトリックスを書けば、よくわかる。いい子で、世の中を変えられない政治家と、多少不真面目だけど、世の中を変える政治家のどっちがいいのだろうか。僕は、当然後者を選ぶ。多くの国民も同様だと思う。残念ながら、今のマスコミや世論は、後者の政治家やリーダーを潰し続けた。日本に残るのが、前者のみとなるのでは、あまりにも情けないではないか。

今回の外国人献金の場合は、謝罪すれば済む問題だと思っていた。自民党時代の事務所経費の問題、政策秘書の問題も、大きな問題とは思えない。問責決議案が出たからと言って、職を辞める必要は無いし、小沢一郎氏も、検察が二度も調査をして潔白と出ているのだから、民主党を離れる必要も無いと思っている。

野党やマスコミが騒ぎ過ぎるのだ。もうこういうのを辞めるべきだ。正直言って国益に反すると思う。自民党の言い分では、彼らが政権をとっていた時に、やられたことをやり返しただけということだが、このままでは、仮に自民が次に政権をとっても同じことをされるであろう。もうこういうクダラナイことは、やめにすべきだと思う。そのためにも、次のコラムで、「御破算選挙」を提言することとする。

今回は躊躇してしまったが、次回からは、僕は迷わず友人に、「こんなことで辞めるな」と直言することにしよう。


2011年3月7日
三番町の自宅にて執筆
堀義人

 

京都大学工学部卒、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。住友商事株式会社を経て、1992年株式会社グロービス設立。1996年グロービス・キャピタル、1999年 エイパックス・グロービス・パートナーズ(現グロービス・キャピタル・パートナーズ)設立。2006年4月、グロービス経営大学院を開学。学長に就任する。若手起業家が集うYEO(Young Entrepreneur's Organization 現EO)日本初代会長、YEOアジア初代代表、世界経済フォーラム(WEF)が選んだNew Asian Leaders日本代表、米国ハーバード大学経営大学院アルムナイ・ボード(卒業生理事)等を歴任。現在、経済同友会幹事等を務める。2008年に日本版ダボス会議である「G1サミット」を創設。2011年3月大震災後に、復興支援プロジェクトKIBOWを立ち上げ、翌年一般財団法人KIBOWを組成し、理事長を務める。2013年6月より公益財団法人日本棋院理事。いばらき大使、水戸大使。著書に、『創造と変革の志士たちへ』(PHP研究所)、『吾人(ごじん)の任務』 (東洋経済新報社)、『人生の座標軸』(講談社)等がある。

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