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水平思考でクリエイティブな仮説を作ってみよう

投稿日:2017/11/18更新日:2019/04/09

『ビジネス仮説力の磨き方』から「常識や前提をリセットするテクニック」を紹介します。

仮説は常識的なものばかりでは面白くありませんし、ビジネスに与える影響も限定的になります。時には皆を驚かせるようなクリエイティブな仮説がビジネスを大きく推進させるのです。クリエイティブに考える方法論の代表的なものに「水平思考」があります。これは、「常識や前提を疑う」「違う見方をしてみる」「何かと組み合わせる」等のテクニックを用い、斬新なアイデアを得ようというものであり、クリエイティブな仮説作りにも非常に効果的です。特に、それまで業界や社内で常識とされてきた事柄を疑ってみることは、劇的なブレークスルーを生み出すことが少なくありません。

たとえば『ブルー・オーシャン戦略』などでも取り上げられた1000円カットのQBハウスは、それまで理容店の常識だった「髭を剃ったり洗髪をするのは当たり前」等の常識を打ち破ることで独自のビジネス展開につなげていったのです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

◇    ◇    ◇

常識や前提をリセットするための具体的なテクニックを紹介しましょう。これらは、先にご紹介した情報のカルティベーションの段階で行っても非常に有効です。

極端な仮定の質問をしてみる

1つのやリ方として、
「50%のコスト削減をするためには何か必要か」
「価格を3分の1にすることは可能か」
「1人当たりの売上げを3倍に増やすためには何か必要か」
など、一見無理っぽい質問をあえてしてみるというやリ方があります。花王が1994年にスタートさせた「コスト1/2、時間1/2プロジェクト」も、無理に思えるぐらいの目標を達成しようともがくなかでイノベーションが生まれることを意図しており、そうした試みの1つと言えるでしょう。

こうした飛躍は「改善の積み重ね」で実現することは困難です。なにかしらのブレークスルー、飛躍が必要となり、必然的に、それまで当然だと思っていたことの見直しを迫ります。

たとえば、私か学生だった80年代は、ちょっとしたカジュアルウェアの価格は、男性用のシャツで3000円から5000円程度するのが普通でした。ここで、「シャツの価格を半額程度の1900円にするためにはどうすればよいか?」と考えてみることで、
「流通を中抜きできないか」
「売れ残りの少ないベーシックなデザインに絞り込めないか」
「縫製を人件費の安い国に持っていけないか」
という仮説が生まれてくるのです(言うまでもなくこれは、90年代にファーストリテイリングがユニクロで実行したことです)。

せっかくですので、ぜひ「カジュアルシャツの価格を500円にするためにはどうすればよいか」あるいは、「(ブランド物ではない)カジュアルシャツで1万円以上の価格を実現するためにはどうすればよいか」を皆さんなりに考えてみてください。なにかしらの常識を取り払う必要があるはずです。

また別のやり方としては、「もし何々がなかったら」「もし何々が手に入ったら」という「もし」の世界を想像してみるというやり方もあります。特に、そのビジネスの前提となっているような重要なポイントについて「もし」を考えてみるといいでしょう。たとえば広告代理店であれば、「もしテレビがなくなったら」を考えてみるのです。

ばかばかしい質問をしてみる

「なぜこんな機能がついているんですか?」
「なぜこの手順を踏まなくてはならないのですか?」
「なぜこれである必要があるんですか?」
といった、そもそもを問うタイプの質問です。

往々にして、「皆がやっているから」「昔からそうだから」というだけで、顧客にとって意味のないことが多いものです。また、1回「なぜ」と聞いたところ、もっともらしい答えが返ってきたとしても、何回も繰り返して「なぜ」を掘り下げると、本質的な理由は実はつまらないものであった、ということも多いものです。

この質問は、自分自身、まったくの新人や素人になりきってすることが重要です。あるいは実際に、新人や素人の意見を聞いてみることも有効でしょう。企業経営において、アウトサイダーであるコンサルタントの力を借りる1つの目的もこんなところにあります。

否定形を作る

これもしばしば紹介される思考テクニックですが、うまく使うと非常に有効です。たとえば、アイスクリームの新商品企画について考えてみましょう。まずは、「アイスクリームは○○だ」という文章をいくつか作り、その否定形が成り立たないか考えてみるのです。

すぐに思いつく属性を10個以上は挙げ、その逆を考えるだけで、ユニークな仮説を生み出すきっかけとすることができます。ここでは、例として7つ挙げました。ぜひ、残り3つ以上は考えてみてください。

「アイスクリームは甘い」→甘くないアイスクリームは作れないか?/ニーズはないか?
「アイスクリームは果物味が多い」→野菜味のアイスクリームは作れないか?/ニーズはないか?
「アイスクリームは冷たい」→冷たくないアイスクリームは作れないか?/ニーズはないか?
「アイスクリームは夏に食べるものだ」→冬に食べたくなるアイスクリームは作れないか?/ニーズはないか?
「アイスクリームには容器が必要だ」→容器不要のアイスクリームは作れないか?/ニーズはないか?
「アイスクリームは常温においておくと溶けるものだ」→常温でも溶けないアイスクリームは作れないか?/ニーズはないか?
「アイスクリームはダイエットの敵だ」→ダイエットに優しい(加速する)アイスクリームは作れないか?/ニーズはないか?

(本項担当執筆者:嶋田毅)
 

『ビジネス仮説力の磨き方』
グロービス経営大学院/嶋田毅  (著)
1600円(税込1728円)

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