『Z世代マーケティング 世界を激変させるニューノーマル』―新たな主流を知るだけでない、広く深い顧客理解の足掛かり

Z世代の実態は?

Z世代といえば2021年のユーキャン新語・流行語大賞でトップ10入りするくらい近年のバズワードとなっているが、実態についてはそれほど知られていないことも多いのではないか。ということで、Z世代の親世代にあたる私が勉強のつもりで手にとったのが本書である。

本書は世代研究を行う米国のシンクタンクが、昨今話題のZ世代について研究した結果をまとめたものである。邦題は『Z世代マーケティング』と銘打たれているが、原題は『Zconomy: How Gen Z Will Change the Future of Business—and What to Do About It(筆者訳:Z世代はビジネスの未来をどう変えるか、それに対し何をすべきか)』で、広くZ世代の概要と、顧客および労働力としてのZ世代との向き合い方について述べられている。以下にそのいずれにも通じるZ世代の特徴を整理したい。

Z世代の特徴

Z世代とは、本書の定義によれば、おおよそ1996年から2012年に生まれた世代を指す。2022年に10歳から26歳になる人たちにあたるが、ざっくりとしたイメージとして小学生~大学生と捉えられるだろう。この世代は、生活の隅々にまでデジタルが浸透した初めての世代だそうだ。本書にはZ世代の特徴としていくつかのキーワードが載っているが、その1つがスマホである。

Z世代はインターネットに接続するデバイスがスマホ中心であり、1日6時間以上も触れているそうだ。日本でも最近の中高生、あるいは小学生が個人として初めて所有する電話は既にスマホのはずで、スマホからインターネットの世界に足を踏み入れていく。

スマホといえば、最近こそ大画面化が図られているものの、せいぜい画面の大きさは5、6インチ、操作も指使いによるタップやフリックが中心となっている。これらスマホの持つ機能的な特徴は、文字がズラッと並ぶよりもパッと見でわかりやすいビジュアルコンテンツを好んだり、操作が簡単で短時間で完結するサービスを支持したりというZ世代の嗜好に繋がっていると考えられる。こういった嗜好はZ世代に続くアルファ世代(2010年以降生まれの世代)にも受け継がれていくそうで、すなわちZ世代がこれからの世の中の新たな主流になりつつあることから世間的な注目を集めているわけである。本書には他にもZ世代の趣味嗜好について述べられているので、是非手にとってみてほしい。

顧客を理解するということ

さて、この本を読んでいて気づいたことがある。仕事柄、多くの企業のマーケティングや新規事業開発に触れることがあるが、対象とする顧客理解をどこまで徹底的に行っているだろうか、ということだ。

マーケティングにせよ新規事業開発にせよ、顧客理解が全てといっても過言ではないが、顧客の表層面だけをすくい取って理解した感じになるという光景はよく見られる。例えば、顧客がインタビューで口にした言葉を捉え、それをそのままニーズと受け取ってしまったことはないだろうか。実際には、その言葉が発せされた裏側にある顧客を取り巻く環境であるとか習慣などに踏み込んで深い欲求を探索すべきであるにもかかわらず、だ。

もちろん時間やその他制約により、本書のようなシンクタンクレベルでの調査まですべきとは限らない。しかし、それでも本書からは、Z世代への理解を深めるのみならず、顧客を理解する広がりや深さのレベルについても感じ取っていただきたいところだ。

Z世代マーケティング 世界を激変させるニューノーマル

著者:ジェイソン・ドーシー、デニス・ヴィラ 訳:門脇弘典 発行日:2021/10/06 価格:2,090円 発行元:ハーパーコリンズ・ジャパン

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