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プレゼンの説得力:あなたの主張には「思い」がこもっていますか?

投稿日:2017/03/18更新日:2019/04/09

『グロービスMBAクリティカル・シンキング コミュニケーション編』から「自らの主張に思いを込める」を紹介します。

巷によくあるプレゼンテーション関連の書籍は、往々にしてロジックを重視し過ぎるきらいがあります。しかし、社内で新規事業を提案する、あるいはベンチャー創業者が人を説得するという場面において、一番効くのはロジックとは限りません。むしろ、多少ロジックに飛躍があっても、本人の強い思いが込められていれば、ある程度は人の心は動かせるものです。ただ、その思いが単なる自己満足では、多くの人には響きません。どれだけ社会的意義があるかということも含め、人の心を揺さぶるような熱い思いを自分の中で熟成することが、結局は人を動かす原動力になるという点は意識したいものです。同時に、自分の主張が、他人にとって「これなら力を貸してあげたい」と思えるかどうかを冷静に見る目を養うことも大切です。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

◇ ◇ ◇

自らの主張に思いを込める

プレゼンテーションや交渉術について書かれた書籍を見ると、これまでに述べてきたような、相手の分析や、コンテンツのロジックやストーリーライン、あるいはデリバリー(実施)にフォーカスを当てているものが非常に多い。

それらももちろん重要だが、本書では「主張に思い、情熱、真剣さを込める」ことの大切さを、同じくらい強調したい。「強烈な内発的動機を持つ」と言い換えてもよい。ここではそれらの要素を総称して「思いを込める」と表現する。それこそが、相手の共感を引き出すカギとなることが多いからだ。そしてそれが説得のレバー(琴線)と共振したとき、そのパワーは計り知れないものとなる。

もちろん、思いが強すぎて空回りしてはマイナスである。しかし、自分の言葉を信じ、情熱を持って説得してくる相手に対して、人はプラスの感情を抱くものだ。ある大手メーカーの最高技術責任者は、部下からの提言を判断するにあたって、「内容はもう信じている。見るのはどこまでやる気があるかという相手の目だ」と話している。

どれだけコンテンツがしっかりしていても、相手のレバーも押さえ、感情に配慮したところで、自分の思いが強くなければ、なかなか人を動かせないのだ。

なお、私的な思いだけでは、なかなか相手に響かない。図に示したような社会性を帯びた思いのほうが、相手の規範とも共振しやすく、大きなパワーを持ちやすい。

構想段階から求められる思いの強さ

思いを込めるというのは、最後のライティングやデリバリーの段階のみのテクニックの話ではない。プレゼンや交渉の準備段階、構想段階から求められるべきものだ。実は、そうした段階から強い思いを持っておくことは、下記のようなメリットをもたらす。

(1) 集中力やエネルギーが高まり、好奇心の強化や能力開発、そして創造性へとつながる。これはさまざまな研究でも支持されている。強い思いがあるからこそ、知識や情報を貪欲に吸収し、それまでに誰も考えつかなかったような新しいアイデアやビジョンが生まれてくる。

(2) 思いは行動を促す。特にビジネスを大きく変えるような提案は、デスクで考えているだけではなかなか生まれない。実際に現場に出て顧客の動向を見たり、さまざまな人々と議論をしたりするなかで、その種が育っていく。これは意外に面倒くさいものであり、強い動機がなければなかなか実行できないものだ。行動することは、新しいアイデアの仮説検証のスピードを速めることにもつながり、最終的にはコミュニケーションの説得力を強めることにもなる。

(3) 強い思い(を持っている人)は、それが空回りしていない限り、常日頃から人を惹きつける効果がある。そこには会社の同僚だけでなく、顧客や外部パートナーも含まれてくる。彼らがもたらしてくれる情報や新たな視点は、新しいアイデアを生み出し、ブラッシュアップしていくうえで大きな力となる。

では、どうすればこうした思いを強められるのか? 我々は、「自分の心の声を聞く」ことが最も重要だと考えている。強い思い、あるいは内発的な動機は、人に与えられるものではない。あくまで自分で強め続ける必要がある。そして思いを強めるための最大のポイントは、自分が真にやりたいことを発見するとともに、自分を駆り立てる質問を自らに繰り返すことだ。以下のような質問を、自分に投げかけてみるとよい。

「自分は何をしたいのか? 何をしているときに生きがいを感じられるのか?」
「そもそもこの会社に入ったとき、自分は何をしたかったのか?」
「なぜ自分はこれをやりたいのか? やれるのか? やり続けられるのか? ほかの人を巻き込みたいのか?」
「自分の人生にはどのような意味があるのか? 神(もしくはそれに相当するもの)は自分にどのような使命を課したのだろうか?」
「自分が死んだとき、悔いが残らないようなキャリアを送っているか? 家族や友人に誇れるような仕事をしているか?」

これらの質問の根源には、自己実現、自己成長、自己発見の「機会」を見出そうとする意志がある。その機会には、図に示したようなものがある。


 

機会を活用した思いの強化は、一度で終わる話ではない。何度も何度もさまざまなことにチャレンジし、振り返り、自問をすることで、思いは私的なものから公的、社会的なものへと質を変えながらパワーアップしていくのである。

(本項担当執筆者:グロービス出版局長 嶋田毅)

 

『グロービスMBAクリティカル・シンキング コミュニケーション編』
グロービス経営大学院  (著)
2800円(税込3024円)

  • 嶋田 毅

    グロービス経営大学院 教員/グロービス 出版局長

    東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。
    グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

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