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東芝の社債問題で学ぶ、社債の格付けメカニズム

投稿日:2017/01/13更新日:2019/04/09

米国の原子力発電事業での巨額損失問題に揺れる東芝。昨年末に巨額損失が発覚し、東芝の社債格付けは「投機的水準」に引き下げられた。

社債とは、一般の事業会社が、その事業資金を銀行からの融資(間接金融と呼ばれる)という方法ではなく、債券(あらかじめ支払う金利や満期日が定められた借用証書)を発行して直接資本市場から幅広く資金を集める方法(直接金融)である。

社債は、定期的に金利そして元本を社債の保有者に支払うわけだが、投資家にしてみれば、その元利金の支払いがどの程度確実かというポイントが社債を購入する際の重要な判断基準となる。元利金の支払いが確実であれば金利は低くてもよいが、あまり確実でなければその分高い金利が欲しいということである。その社債の元利金の支払いの確実性をアルファベットでもって評価したものが格付けである。

格付け機関としては、ムーディーズ社やスタンダード&プアーズ社、日本では格付投資情報センター等が著名である。スタンダード&プアーズ社の場合、最上級がAAA(トリプルA)で、AA(ダブルA)、A(シングルA)、BBB、BB、Bと格付けが下がっていく。このうち、BBB格以上の社債が「投資適格社債」と呼ばれている。BB格以下は、元利金支払いの確実性がBBBに比べかなり劣ることから「投資不適格」つまり「投機的水準」の社債(ジャンク・ボンド)と呼ばれる。

格付けの決定要因は業種毎に異なり、それらの決定要因のウエイトも業種毎に異なるが、「インタレスト・カバレッジ・レシオ」「有利子負債比率」「キャッシュフローの安定性」はどの業種でも共通して重視される。そのほか、売上規模やコーポレート・ガバナンスについても全業種で共通して考慮される。

インタレスト・カバレッジ・レシオとは、営業利益に受取利息と受取配当金を足したものを支払利息・割引料等で割ったもので、金利だけを支払うと仮定した場合、今の何倍まで借入金ができるかという指標であり、企業の短期的な借入能力を表している。有利子負債比率とは、自己資本に占める利払いや返済が必要な有利子負債の比率であり、長期的にどの程度まで借入ができるかの指標である。最後に、キャッシュフローの安定性は、利息そして元本を支払う返済原資であるキャッシュが、どの程度安定的に生み出されているかである。

これらの3つの指標は、まさに企業が借入金をそのスケジュールどおりに支払えるかどうかを判定するにあたってきわめて重要であり、格付け会社が指標として重要視しているゆえんである。

  • 斎藤 忠久

    グロービス経営大学院 特別教授

    東京外国語大学英米語学科(国際関係専修)卒業
    米国シカゴ大学経済学部留学
    フランス・リヨン大学経済学部留学
    米国シカゴ大学経営学大学院修士課程修了(High Honors)
    学位:MBA

    株式会社富士銀行(現在の株式会社みずほフィナンシャルグループ)を経て、株式会社富士ナショナルシティ・コンサルティング(現在のみずほ総合研究所株式会社)に出向、マーケティングおよび戦略コンサルティングに従事。その後、ナカミチ株式会社にて経営企画、海外営業、営業業務、経理・財務等々の幅広い業務分野を担当、取締役経理部長兼経営企画室長を経て米国持ち株子会社にて副社長兼CFOを歴任。その後、米国通信系のベンチャー企業であるパケットビデオ社で国際財務担当上級副社長として日本法人の設立・立上、日本法人の代表取締役社長を務めた後、エンターテインメント系コンテンツのベンチャー企業である株式会社アットマークの専務取締役、株式会社エムティーアイ(東証1部上場)取締役兼執行役員専務(CFO)を経て、現在グロービス経営大学院特別教授(ファイナンス理論)。

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