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ダボス会議2011~(8)番外編:エピソード集

投稿日:2011/02/04更新日:2024/11/26

ダボス会議への関心が高かったので、ざっくばらんに、ツイッターで呟いた内容を交えながら、ダボス会議で印象に残ったシーン・エピソードを綴っていくことにした。

注:○がついているのが、後から追加したエピソードです。それ以外は、ツイッターでの呟きです。

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<ダボス前>

今晩の深夜の羽田発の便で、欧州へ出発。これから、パリ、チューリッヒ、ダボス、ジェッダ、リヤドの欧州・中東の歴訪の旅だ。その間、スピーチや会合が目白押しだ。この機会に、日本代表の一員として、日本の良さを世界に知らしめて来ようと思う。では、行ってきま~す。(^^)/

○機内で、映画を2つ観る。『ソーシャル・ネットワーク』と『ウォール・ストリート』だ。昨年は、ダボス前に、『アバター』を観た。今年は、ソーシャル・ネットワークがダボスの話題の一つになりそうなので、必ず観てから行こうと決めていた。

HECでの学長との会食と、スピーチを終えて、ホテルに戻った。海外のビジネススクールでスピーチをするのは、久しぶりの気がする。日本人学生は、皆一様に嬉しそうだった。僕が、ハーバードの学生だった時を思い出しても、日本人のスピーカーが来ると嬉しかったものだ。

タクシーでパリ国際空港に向こう。朝9時前の遅い朝陽が、コンコルド広場のオベリスクと観覧車の彼方から誇らしげに昇る。今は、凱旋門だ。同じ朝陽が、照らしてる。

空港に行く途中、ホテルにコートを忘れたことに気付く。折り返す時間もない。ダボスは寒い。思い切り落ち込む。こういう時こそ、ポジティブ・シンキングだ。新しいコートを買うチャンスをもらった、と思い直す。でも出費が気になる。

空港に着く。通り過ぎる男性のコートをチェックする。「どうせならば、今まで買ったことが無いデザインにしよう」と思い始める。楽しくなってきた。チェックイン後に、ショップ情報を仕入れ、買い物を始める。ソルド(セール)のため半額で購入。日本のアウトレットより安い。満足してゲートで呟いている僕は、何て単純なのかと思う。

○ゲートで、日本政策投資銀行の竹内さんに会う。初めてのダボス会議の参加だ、と言う。「秘書がネットで検索して、僕のダボス会議に関する過去ブログを読んで、暖かい格好とスノーブーツを買ってきた」、と教えてくれた。「ブログを書いたことが役に立った」、と嬉しくなった。

チューリッヒのホテルに着き、部屋で日韓戦を観ながら仕事をしている。音声はドイツ語だが、全く仕事が手につかない。日本は、よく戦っている。1-1で前半終了。今日は、日本が勝ちそうな気がする。もうそろそろ外出しなければ……。投資家とのアポは、キャンセルになったが、もう一件入っている。

たった今ホテルの部屋に戻ってきた。後半、延長と映像が観られないつらさ。海外だとワンセグも無いしね。友人からの実況中継に頼りながら、移動した。先方との面談中も気が気じゃない。でも韓国に勝って良かった。是非決勝も撃破して、優勝して欲しい。決勝戦は、ダボスからサウジへの移動中になりそうだ。

ダボス会議に比べ、この直前会議は、こぢんまりしているので、友達もつくりやすく、意見も自由に言えて面白い。僕は、明日の早朝のブレックファストセッションで登壇してから、チューリッヒよりダボスに移動する予定だ。

さぁて、今から共同議長を務める国際会議のレセプションに参加してこよう。この会議は、「ホラシス年次総会」と呼ばれ、昨年より、ダボス直前にチューリッヒ空港のホテルで開催されている。僕の友人が主催していることもあり、昨年同様今年も参加することにした。

今、ダボス直前会議のレセプションから戻ってきた。2時間立ちっぱなしは、さすがに疲れた。予想通り、日本人は僕一人だ。日本代表の気持ちで、緊張感を持って臨みたい。サッカーは、アジアNo.1をかけた勝負だ。当然、グロービスもアジアNo.1を目指す。皆がこの気があれば、日本は良くなる。

ダボス直前会議@チューリッヒで、登壇した。英語でのパネルに、だんだん慣れて来ていることが、自分でも良くわかった。アラブ連盟の事務総長が参加した世界経済のセッションに参加して、いまからチェックアウトして、ダボスに向かう事にする。

<1日目>

○ダボスに向かうバスの中。ロシア美人の方と同席。情報交換をする。日本から持ってきたお菓子を食べながらピクニック気分だ。アルプスの景色が美しい。

ダボスに到着。シャトルに乗りながら、街中を眺める。懐かしいスキーリゾートに戻って来た気分だ。部屋にチェックインして、アンパッキングして、会場に向かう予定。

○今年のホテルは、ホテル・ダービー。初めて3ツ星ホテルをアサインされた。僕が泊まれるホテルで、自分のダボス会議におけるポジションがわかる。かなり出世した。だが、それでも部屋はかなり狭いし、エレベータも無い。

○メイン会場の中に入っても、さっぱり会議室の位置関係がわからない。今年からダボス会議のメイン会場が増設され、新しい部屋が多く増築されていたからだ。コングレス・ルームという大会議場も、2倍以上の大きさになっていた。

○ヒューマン・ライツ・ウォッチの代表と待ち合わせる。ダボスでの初めての事前アポを入れた会合だ(いわゆるバイラテラル・ミーティング)。ダボスでの事前アポの入れ方等のノウハウを逆インタビューする。来年からは積極的に活用しよう、と決める。

ダボスの夜、川口順子さんと2人で車を待っている最中に、ジョージ・ソロスが車から降りて来たので、握手をする。その後に車を降りて来たのが、ペプシコーラのインド人女性CEOのインドラ・ヌーイ氏だ。今や、世界の女性で5本指に入るパワー・リーダーだ。

<2日目>

○朝6時に起きて、メールチェックや仕事をして、朝7時にホテルを出る。最初の会合が、僕が所属している「世界の成長企業(GGC)」というコミュニティのボードミーティングだ。この会議の参加者は10名強だが、本当にグローバルだ。新興国からは、中国、インド、南アフリカ、タジキスタン、クウェート、ベトナム、メキシコ。先進国からは、米国、英国、ドイツ、スイス、そして日本だ。

○「何でダボスに行くのだ。氷点下20度の寒い真冬に、部屋も10平米程度しか無い中に、閉じ込められていて何が楽しいのだ」という意見を聞いた、とボードメンバーから紹介があった。皆も共感しながらも、ダボスの魅力を知ってしまったので、笑って受け流していた。

○ダボスのミーティングで発言するのは、本当に大変だ。皆が自分の存在を誇示したがるからだ。その中で、ひるまずに果敢に発言する。黙っていても喋るチャンスを与えてくれやしない。ダボスは、弱肉強食なのだ。

○東アジアに関するブレストでも、議論に積極的に参加した。上品で英語が堪能な女性がいるなと思っていたら、インドネシアの大臣だった。今年の東アジア経済サミットは、インドネシアで開催される予定なので、その準備に来ていた様だ。

○ランチは、インフォシス主催のプライベートな会合に参加する。久しぶりに美味しい食事を頂く。後で紹介があったが、シェフは、インド料理で初めてミシェランの星をもらった人だ、と言う。どうりで美味しいと思った。

○僕がパネラーを務めたMindful Leadershipというテーマのセッションは、実に面白かった。リーダーとしては、頭脳的な意思決定に加えて、マインド、つまり心の面でのリーダーシップが必要だ、という内容だ。

○パネルが終わったら、『EQ こころの知能指数』の著者のダニエル・ゴールマン氏がアプローチしてきて、「非常に良かった」と言ってくれた。僕は、「EQの本には、EQの高め方が入っていない。グロービスのMBAでは、使命感を醸成することを目的としている」と言うと、「是非一度話がしたい」、と言われた。後日、会議場で再会したので、意見交換する。次の本には、僕の名前が出てくるかもしれない。

○IMFのセッションで、フランスのクリスティーヌ・ラガルド経済・財務・産業大臣が登壇。ドイツのメルケル首相とは対照的に、エレガントでお洒落であった。ドイツとフランスのお国柄の違いか。

<3日目>

○朝7時半からJapanに関する朝食セッションだ。ホテルの一室で開催された後に、竹中平蔵さんの車に便乗させてもらう。ダボスでは、ホテルからメイン会場の移動が大変なので、VIPのみに送迎用の車が与えられる。新しく増築されたメイン会場には、会場の下にVIPが直接アクセスできるように車寄せができていた。車を降りて会場に入り、セキュリティー・チェック・ポイントまでたどり着く。

○僕が、コートを脱いで、帽子を取り、全ての荷物をカゴに入れて、セキュリティを通ろうとしたときに、ふと竹中さんを見る。何と竹中さんは、コートを着て荷物を持ったまま、探知機を通過していた。「立場によって、セキュリティの度合いが違うんだよ」と、竹中さん。ダボスは、格差社会なのだ。(^^)

○朝9時から「デジタル時代の外交方針とは。ウィキリークスから何を学ぶのか」、に参加。パネルの外務大臣達の意見に唖然。皆、ネットの脅威をあまり感じていないのだ。チュニジアやエジプトであの出来事が起こっているにもかかわらず、だ。同様にニューヨーク・タイムズのトップも、「ネットは、しょせん落書きや根も葉もない噂ばかりだ」とのご意見。立場によっては、発言が変わるものだと痛感。

ランチに向かうときに、欧州No.1のVCを創ったハーバード同窓の友達と、ホテルのセキュリティの列の前で偶然に出会う。ずっとアポ入れしようと思っていたが、連絡がつかずに困っていたところだ。ビックリしながらも、抱き合って再会を喜んだ。

○ランチ・タイムには、「クラウド・コンピューティング」のセッションに参加した。印象的だったのは、欧米のジャーナリストの方が、自己紹介の際に、「20世紀の花形職業だったジャーナリストです」と自虐的に、発言していたこと。もう意識は、そのようになりつつあるようだ。

昼食後、一旦ホテルの部屋に戻る。朝から激務なので、少しゆっくりすることにした。とは言ってもメールが溜まっているし、下着の洗濯も必要だしで、あまりゆっくりできない。そう言えば、インドのビリオネアでもあるウィプロの創業会長のアジム・プレムジ氏も、出張中、自分で下着を洗濯すると記事で読んだ。妙に親近感を覚えた。

○18時半からダボス会議の主催者から依頼を受け、ビデオ・インタビューを受けた。テーマは、「ダボス会議での学び」に関して、だ。15分ほどインタビューを受けた、この映像は、DVDとしてまとめられ、参加者全員に配られると言う。VIPの何パーセントが見るのだろうか。ちなみに、僕はこの手の映像を、帰国後観たことがない。

<4日目>

朝9時からの中国に関するセッションに参加した。豪州の前首相で現外相のケビン・ラッド氏、元ハーバード学長のラリー・サマーズ等が登壇する。僕の友人がモデレーターを務めるセッションで、中国で放映される予定だ。僕も発言を求められたので、自分の意見を述べる。約2億人の中国人が見るのだと言う。

○ケビン・ラッド外相と再会した。パネル後、挨拶をしに行ったら、僕のことを覚えていた。思えば、彼との出会いが、G1サミットの始まりだった気がする。

(参考コラム:豪州首相との対話「第二の明治維新を期待する」 )

○菅総理のスピーチをツイッターしている間に、ツイッターにレスが入る。「堀さんいま映ってましたよ」。僕も返事をする「知らなかった。本日初めて、PCを持参してきました」。他にも次のツイートが。「ダボス会議のWeb中継を見ていたら、うちのボス堀義人が映っていた。赤いネクタイでパソコンを持ち込んでいる。しかしリアルタイムで世界が映像や文字でつながり、すごい時代だと改めて実感。。。」

○シュワブ氏主催の菅総理歓迎ランチの司会進行を、カルロス・ゴーン氏がジョーク満載で行っていた。ゴーン氏があれだけ明るい人だとは知らなかった。

○Japanセッションの前に、トイレに行く。僕の横が菅総理、その隣が福山内閣官房副長官だ。用を足しながら、会話が弾む。「スピーチがとても良かった」と伝えると、とても嬉しそうだった。トイレから出た後に、外国人の参加者が菅さんに、”Great Speech”と握手を求めて来た。菅さんは、とても気を良くして、あの得意の笑顔が満開となった。

○Japanセッションが始まった。パネラーは、海江田万里経済産業大臣、JICA理事長の緒方貞子さん、小島順彦三菱商事会長、チャールズ・レイク・アフラック会長だ。ここのモデレーター(アメリカ人?)の質問が適切だった。

「開国と言いながら、なぜこのセッションは、日本人記者だけにオープンにしようとするのか」。「S&Pが日本の国債を格下げたが、どう思うか」「20年前であれば、このセッションはもっと大きな部屋で、満員で開催されているであろう。その点をどう思うか」「以前日本には、海外から学びに来る人が多かった。今や、その人々が中国に行ってしまっている。その若者に、何て呼び掛けるか」。

僕らが、これらの質問に堂々と答えられるようにしなければならない。

○今回菅総理のスピーチの骨子を書いた田坂広志さんは、ダボス会議に来られながらも、セッションには殆ど参加されなかった。田坂さんのような方が、重要なスピーチに関与するのは、とてもいいことだと思う。

○韓国の参加者に、「フィナンシャル・タイムズの広告を見た」、と言われた。グロービスのポジションは、世界的にも確実に上がってきていることを実感した。

○ヘリコプターに乗り、アルプス越えだ。007のジェームズ・ボンドのテーマ曲が、頭の中で鳴り響く「タ~ラ、タ~タ~」だ。

○チューリッヒ空港に着く。美女2人が車でお迎えだ。「毎日100機のプライベート・ジェットがダボス会議期間中に、離着陸した」と目を丸くして話してくれた。サルコジ大統領は、フランス軍のヘリで。メドベージェフ大統領は、スイス軍のヘリで移動。後の参加者は、ダボスに車で移動したらしい。

○日本の政府専用機も見せてもらった。「今回来た専用機の中では、一番大きい。どうして二機来るのか良く分からない」、と。僕のためにわざわざ折り返して、専用機の近くまで連れて行ってくれた。日の丸を尾翼につけたジャンボ機が二機仲良く待機していた。

○ヘリコプターに乗る前から、サッカーのアジア大会の決勝が始まっていた。前半を終わって、0-0のまま。後半へ。乙武さんのツイッターをフォローしながら、戦況を見守る。チューリッヒを出てロンドンに向けて搭乗した時には、延長戦に入っていた。

○ロンドン到着。祈るような気持ちで、ツイッターを開く。ヤッター! 日本勝利! おめでとう!! 気持ちのいいまま、夜行便でジェッダに向けて出発した。

サウジのコラムに続く。

2011年2月3日

二番町のオフィスにて執筆

堀義人

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