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IRR法、NPV法、ペイバック法とは?投資評価の3つの方法

投稿日:2015/03/21更新日:2021/10/27

このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、重要パートを厳選して、抜粋掲載していく、ワンポイント学びコーナーです。

今回は、『グロービスMBAマネジメント・ブック』の「ファイナンス」章から「投資評価のさまざまな方法」をピックアップしました。投資評価にはいくつかの手法がありますが、基本中の基本は「NPV法」(正味現在価値法、Net Present Value)です。これは、すべてを現在の価値に割り戻して比較条件を揃えることによって、投資すべきか、すべきでないかを判断する手法です。まずは、この発想をしっかりと習得することが基本です。

投資評価のさまざまな方法

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【POINT】
代表的な投資の意思決定方法として、(1)NPV(正味現在価値)法、(2)IRR (内部収益率)法、(3)ベイバック(回収期間)法がある。(1)(2)はキャッシュフローや金銭の時間的価値の考え方が反映された方法であり、基本的に同じ結果を導く。(3)はファイナンス理論に基づいた方法ではないが、直感的に理解しやすく、現在も広く使われている。

投資を決定する場合によく利用される投資評価法は、NPV法、IRR法、ペイバック法の3つである。それぞれについて説明していく。

◆NPV(Net Present Value : 正味現在価値)法

NPV= (投資が生み出すキャッシュフローの現在価値)一(初期投資額)

NPV法では、投資により生み出されるキャッシュフローの現在価値(PV)と初期投資額を比較することで、その投資を評価する。金銭の時間的価値やリスクなどのファイナンス理論に基づいており、最も望ましい評価手法と言える。NPV法による投資評価は。次に示す4つのステップで行う。

(1)投資により生み出されるキャッシュフローを予測する
(2)キャッシュフローの現在価値を計算する
(3)NPVを計算する
(4)NPVが正(NPV>0)ならば投資を行い、負(NPV<0)ならば投資しない

キャッシュフローの現在価値を求めるときの割引率は、その投資のリスクに応じた率(リスクに応じて期待される利回り)を用いる。たとえば、<4>で用いた住宅が2000万円で購入できる場合のNPVは、以下のようになる。

NPV=2316.5万円-2000万円=316.5万円

DCF法で計算すると、この住宅は今日の現金で2316.5万円相当の価値(PV)がある。それを2000万円で買った場合、正味で今日の現金316.5万円相当(NPV)が手に入ることになる。したがって、これは有利な投資だと判断できる。

◆IRR (Internal Rate of Return : 内部収益率)法

IRRとは投資の利回りのことだ。IRR法では、同程度のリスクを持つ投資案件の利回り(ハードル・レート)と当該投資機会の利回り(IRR)を比較することにより、投資を評価する。IRRはNPV=Oとなる割引率として定義される。初期投資額をCFo(負)とすると以下のようになる。

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IRR法による投資評価は、次の4つのステップで行う。

(1)ハードル・レートを設定する
(2)投資により生み出されるキャッシュフローを予測する
(3)IRRを計算する
(4)IRRがハードル・レートよりも大きければ投資を行い、小さければ投資しない

IRR法もNPV法と同じようにファイナンス理論に基づいており、通常はどちらを用いても同じ結果になる。しかし、(1)規模の異なる投資機会を比較するとき、(2)キャッシュフローが途中でプラスからマイナスへ(あるいは、マイナスからプラスへ)転じるとき、(3)キャッシュフローが途中から永久年金となるときなど、稀に誤った投資評価を導く場合があるので、注意する必要がある。

◆ベイバック(回収期間)法

ベイバック法は、「初期投資額は特定の期間内(カットオフ期間)に回収されるべきだ」という考え方に基づく。たとえば、1000億円を投資すると毎年100億円を生み出す場合、回収期間は10年となる。

ベイバック法は直感的に理解しやすく、実際に広く使われている。しかし、(1)金銭の時間的価値の概念が考慮されていない、(2)カットオフ期間(投資を回収すべき期間)以降のキャッシュフローが考慮されない、(3)カットオフ期間を合理的に設定することが不可能である、(4)キャッシュフローではなく会計上の利益を用いることも多いなどの理由から、必ずしも望ましい評価手法とは言えない。

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ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載しています)

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