特性理論(Traittheory)
リーダーシップ理論の1つ。リーダーに共通する生来的な特性、資質などの観点からリーダーの要件を探るアプローチ。
古来より優れたリーダーには共通する生来的な特性、資質があるはずだという認識は強く、今なお多くの人々の直感に訴えかける。背景には、リーダーとは誰もがなれるわけではなく、そうした資質を元々持っている人間こそがリーダーになるのだという前提がある。
20世紀に入り、特に米国において、科学的手法を取り入れ、偉大なリーダーに共通する特性を見つける試みがなされた。有名なのは、心理学者R・M・ストッディルによる1948年の調査である。身長や体重、体格といった身体的な要素から、知能や判断力、持続力、ソーシャルスキルなど多くの特性を網羅し、リーダーシップの関係を探った。
分析の結果、知能や学力、責任遂行の信頼性などは、リーダーと認識される人の方が優れていることがある程度は証明された。一方で、個人の特性からでは、誰がリーダーになれるかを予想することは難しいということ等も判明した。こうした研究を受け、その後研究者たちは、特性理論とは異なる方向に舵を切る。
特性理論だけでリーダーシップを説明しようとする研究者は現在はいないが、これは特性理論が完全に価値を失ったことを意味するものではない。昨今では、カリスマ型リーダーシップなどに関連し、再度リーダーの特性に注目が集まっている。