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株式譲渡とは - 事業の未来を託す戦略的な選択

投稿日:2025/06/10更新日:2025/07/11タイマーのアイコン 読了時間 5分

株式譲渡とは、自社の株式を第三者に売却し、経営権や資金を移転する手法です。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

株式譲渡とは

株式譲渡とは、企業の株式を特定の相手に売却することで、経営権やリターンを得る手法のことです。
簡単に言えば、「自分の会社の持ち分を他の企業や投資家に売る」ということです。これは単なる投資の売買とは異なり、多くの場合、会社の経営権も一緒に移転することになります。
日本ではまだネガティブなイメージを持たれることもありますが、アメリカなどでは一般的なビジネス戦略として広く受け入れられています。起業家が新しい挑戦をするため、または事業を更に成長させるための資金調達手段として活用されているのです。

なぜ株式譲渡が重要なのか - 現代ビジネスにおける戦略的価値

株式譲渡は、現代のビジネス環境において極めて重要な戦略的手段となっています。その理由は、企業経営の柔軟性と成長機会の最大化にあります。

①スピーディーな資金調達が可能

株式公開(IPO)と比較して、株式譲渡は圧倒的に早く現金を手に入れることができます。IPOでは準備期間だけで数年かかることも珍しくありませんが、株式譲渡なら数ヶ月で完了することも可能です。
これは特に、急速に変化する市場環境において大きなメリットとなります。新しい事業機会が生まれた時、競合他社より先に行動を起こすための資金を素早く確保できるからです。

②事業承継の有効な手段

中小企業経営者の高齢化が進む中で、株式譲渡は事業承継の重要な選択肢となっています。後継者がいない場合でも、信頼できる企業に事業を託すことで、従業員の雇用や顧客との関係を維持できます。

株式譲渡の詳しい解説 - 仕組みから種類まで徹底理解

株式譲渡にはいくつかの種類があり、譲渡する株式の割合によって、その意味合いが大きく変わってきます。理解しておくべき重要なポイントを詳しく見ていきましょう。

①株式譲渡の種類と経営権の関係

株式譲渡で最も重要なのは、どの程度の株式を譲渡するかという点です。

過半数(50%超)の株式譲渡では、基本的な経営権が移転します。新しい株主が取締役の選任や重要な経営判断を行えるようになります。
3分の2以上の株式譲渡では、より重要な決議権も移転します。定款変更や事業譲渡、会社分割などの特別決議も可能になるため、より包括的な経営権の移転となります。
少数株式の譲渡では、経営権は移転せず、主に投資目的やパートナーシップの構築が目的となります。

②企業価値の算定方法

株式譲渡を成功させるためには、適正な企業価値の算定が不可欠です。主な評価方法には以下があります。
資産ベース法は、会社の資産から負債を差し引いた純資産を基準とする方法です。安定的で分かりやすい反面、将来性や無形資産の価値を反映しにくいという特徴があります。
市場比較法では、類似する上場企業の株価や財務指標を参考に価値を算定します。市場の評価を反映できる一方で、完全に類似する企業を見つけるのは困難という課題があります。
収益還元法(DCF法)は、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて算定する方法です。成長性を反映できる優れた手法ですが、将来予測の精度に依存するという特性があります。

③株式譲渡のプロセス

実際の株式譲渡は、複数の段階を経て進められます。
まず企業価値の算定から始まり、買い手企業の選定基本合意書の締結と続きます。その後、デューデリジェンス(買い手による詳細調査)が実施され、最終契約の締結クロージング(株式の引き渡し)という流れになります。
各段階で専門家のサポートを受けながら、慎重に進めることが成功の鍵となります。

株式譲渡を実務で活かす方法 - 成功のための実践的アプローチ

株式譲渡を成功に導くためには、理論だけでなく実践的なポイントを押さえることが重要です。実際のビジネス現場でどのように活用すべきかを具体的に見ていきましょう。

①株式譲渡が効果的な場面

起業家のライフステージ変化に対応する場合があります。例えば、シリアルアントレプレナーが次の事業に集中したい時や、高齢になり事業から引退したい時などです。
事業の成長限界に直面した際にも有効です。創業者の経営スキルでは限界がある場合、より大きな企業に経営を託すことで事業の飛躍的成長が期待できます。
市場環境の変化への対応としても活用されます。デジタル化や規制変更など、大きな環境変化に対応するための資源や専門知識を持つ企業への譲渡が効果的です。

②成功のための重要なポイント

適切なタイミングの見極めが最も重要です。企業価値が最大化される時期を狙い、市場環境や業界動向を慎重に分析する必要があります。
複数の候補先との交渉により、より良い条件を引き出すことができます。一社だけとの交渉では、価格面で不利になる可能性があります。
従業員や顧客への配慮も忘れてはいけません。譲渡後も事業が継続し、関係者全員にとってプラスになるような相手選びが重要です。
専門家チームの活用により、法務、財務、税務などの複雑な問題に対処できます。弁護士、公認会計士、M&Aアドバイザーなどの専門家との連携が成功の鍵となります。
株式譲渡は単なる売買取引ではなく、事業の未来を左右する重要な戦略的決断です。十分な準備と適切なサポートがあれば、売り手、買い手、そして関係者全員にとって価値のある結果を生み出すことができるのです。

参考ページ

MBA経営辞書「株式譲渡」|GLOBIS学び放題×知見録

  • GLOBIS学び放題×知見録

    編集部

    ビジネスパーソンの役に立つコンテンツをお届けすべく、取材、インタビュー、撮影、編集などを日々行っています。

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