共同化(Socialization)
一橋大学大学院の野中郁次郎名誉教授らが著書『知識創造企業』で示したSECIモデルの最初のプロセスであり、暗黙知を形式知化するプロセス。暗黙知とは文書化されていない行動様式やそのベースにある知恵、メンタルモデル、視点などを指す。一方、形式知とは、文書化あるいは可視化されたドキュメントやマニュアル、方法論などを指す。
共同化は、日々の活動を通じて各人が持っている暗黙知を、お互いに共通の時間を過ごしたり、空間をシェアしたりすることによって、他人に共有していくことと言える。徒弟制度の下で親方のノウハウを弟子が体得するプロセスや、企業におけるOJT等が共同化の典型例と言える。同じ場で共通の経験をすることで、暗黙の前提などを共有するのである。一般に、小集団での活動を前提にすることが多い。
共同化で重要なことは、視覚、聴覚はもちろん、五感を働かせて感じとり、体得することである。また、思い込みを持って現場を見るだけでは共同化にはなり得ない。
思い込みをいったん捨てて、ありのままに現場を見ることが必要である。そうして現場と一体化し、共感が持てるまで没入することが必要である。
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