社会的手抜き(Socialloafing)
会議などにおいて、参加人数が増えれば増えるほど、個々人の責任感が薄れ、手抜きをしてしまうこと。これは自覚はなくとも、ほぼ普遍的に見られる。社会的手抜きの発生理由としては以下の要因が挙げられる。
・課題遂行に対する圧力が分散され、メンバーが自己に求められる努力量を小さく認知する。
・集団に対して何らかの要請がなされると、メンバーの精神的喚起が弱まる。1人だけに言われる場合のほうが、集団で言われる場合よりも、生理的な興奮や覚醒の度合いがより高い。
・個人の努力がどれほど集団の成果に結びついているかの識別が難しくなり、努力しても正当な評価を受けにくく、怠けても責任を回避できると認知する。
・自分は最小の努力しか払わず集団の成果の恩恵にあずかろうとするフリーライダー効果が発生する。
・グループで作業を行う場合は、インタラクションなど1人で作業を行う場合と異なる要素が絡んでくるため、集中力を維持するのが困難になる。それが、作業に対する努力や集中力を弱める原因となる。
これを回避するためには、次のような打ち手が有効であることが様々な研究から示されている。
・メンバー各自の成績・努力を簡単に確認できるようにする(例:発言回数をカウントする、議事録を公開するなど)。
・メンバー各人に自分自身の貢献度を評価する機会を与える(または基準を与える)
・課題を魅力のあるものにし、精神的覚醒が強まるように仕組む。
・集団凝集性を強める。
▼「MBA経営辞書」とは
グロービスの講師ならびにMBA卒業生など、幅広い分野から知を結集して執筆された、約700語の経営用語を擁する辞書サイト。意味の解説にとどまらず概念図や具体例も提示し、マーケティング、ファイナンスなどの分野別に索引できる。今後、検索機能ほかサイト機能の追加を行う一方、掲載用語を1000語程度まで拡充した上でサイト上でのご意見の収集ならびに監修の実施を通じた更なる精緻化を図り、グロービス編著のベストセラー書籍『MBAシリーズ』と併読いただける書籍として出版を予定している。