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MBA経営辞書「配当政策」

投稿日:2010/02/15更新日:2019/04/09

配当政策(Dividendpolicy)

企業が配当を株主に還元する方針。

配当政策で重要なポイントとして、必ずしも配当が多いほど株主のためになるとは限らないという点がある。企業の総価値から負債を引いたものが株主の持ち分だという前提に立てば、配当として支払われずに企業に残る内部留保もまた株主のものである。配当として直ちに現金を株主に還元するのがいいのか、内部留保として将来の投資に回し、株価を上げることを狙うのがいいのかは、簡単に判断できるものではない。

実際に、優良企業であっても、創業期に無配の企業は少なくない。たとえば、世界最大のソフトウエアメーカーのマイクロソフト社は1975年の創業以来、2003年まで一貫して無配当政策を維持していた。この間、同社はコンピュータ市場の発達にも支えられ目覚ましい成長を遂げ、投資機会にも恵まれた。同社の株価は事業の成長に伴って急上昇し、キャピタル・ゲインだけで株主を満足させるに十分であったのだ。

ちなみに、完全市場(税金がなく、また、市場参加者が瞬時に同じ情報を共有し、ノーコストで自由に資金を移動でき、市場の不均衡が瞬時に解消されるという理想的な市場)のもとでは、株主にいくら配当するかという配当政策は株主にとっての企業価値、すなわち株価に影響を与えないことが証明されている。これを、この理論の提唱者であるF・モジリアニとM・ミラーの頭文字をとってMM理論と言う。

しかし、実際の世界では、税金や諸コストの存在、あるいはシグナリング効果などから、配当政策は株価に影響を与える。したがって、経営者はこれらの問題を総合的に考慮した上で配当政策を決定する必要がある。

なお、当期利益のうち、配当の支払いに当てられた比率を配当性向と呼ぶ。毎年の配当性向をほぼ一定のレンジに収めるようにしている企業も少なくない。

次回は「シグナリング効果」を取り上げます。

▼「MBA経営辞書」とは
グロービスの講師ならびにMBA卒業生など、幅広い分野から知を結集して執筆された、約700語の経営用語を擁する辞書サイト。意味の解説にとどまらず概念図や具体例も提示し、マーケティング、ファイナンスなどの分野別に索引できる。今後、検索機能ほかサイト機能の追加を行う一方、掲載用語を1000語程度まで拡充した上でサイト上でのご意見の収集ならびに監修の実施を通じた更なる精緻化を図り、グロービス編著のベストセラー書籍『MBAシリーズ』と併読いただける書籍として出版を予定している。

  • 嶋田 毅

    グロービス経営大学院 教員/グロービス 出版局長

    東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。
    グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

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