新株引受権付社債(bondswithwarrants)
ある決められた価格(行使価格)で新株を買う権利(=ワラント)がついた債券。債券でありながら、株式関連の資金調達とみなされている。
ワラント債のメリットは、低利で資金が調達できる点にある。たとえば、信用力が低く、通常の債券では高い年利を払わなければならない企業であっても、ワラントをつけ、株価が行使価格以上に上がると投資家が考えれば、たとえ債券からは低い金利しか得られなくても投資家は魅力を感じる。さらに、投資家が権利を行使して株式を購入すれば、その分発行体である企業に資金が流入する。
一方で、仮に株価が行使価格以上に上がらなかったら、投資家も企業も困ることになる。投資家は権利が行使できず、低い金利しか手にすることができない。企業も、株式が購入されないから、債券償還時の資金が手に入らない。結局、高い金利で借り換えなければならなくなるおそれもある。
ワラント債は、株式購入後も社債が投資家の手元に残る点が、転換社債型新株予約権付社債(平成14年の商法改正以前は転換社債と呼ばれた。現在も、一般には転換社債と呼ばれる)との大きな違いである。なお、ワラント債には、ワラント部分だけを債券から切り離して市場で売買できるタイプ(分離型)とできないタイプ(非分離型)があるが、多用されているのは分離型のほうである。
次回は「MSCB(MovingStrikeConvertibleBond)」を取り上げます。
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