キャンペーン終了まで

割引情報をチェック!

年金機構の個人情報流出、「リスク・マネジメント」本来の意味は?

投稿日:2015/06/11更新日:2019/04/09

B695110ce6be593311814372a83fd32a

2015年5月、日本年金機構から大量の個人情報が漏れるという事件が発覚した。報道によれば、情報漏洩が発覚してから17日間、幹部には知らせず、担当係長までで対応していたといい、リスク・マネジメントの甘さが浮き彫りとなった。

そもそもリスク・マネジメントとは、リスクを管理する活動であり、リスクの把握やコントロール、リスクの回避や分散、リスクによる損害の予防や最小化を目指す。よく似た言葉に危機管理(クライシス・マネジメント)があるが、これはトラブルが起こった後にいかに損害を少なくそれを終息させるかという活動を指す。リスク・マネジメントがトラブルの防止や再発防止まで含め、事前・事後にわたって長い時間軸で考えるのに対し、危機管理は短い時間軸での対応を意味する。その意味で、危機管理はリスク・マネジメントの一部と言える。

リスク・マネジメントでまず重要なのはリスクの把握だ。想定すべき範囲は広く、自然災害や事故のような外部要因もあれば、社内組織や従業員個人の違法行為や逸脱行為といった内部要因もある。

リスクを洗い出したら、その発生確率や影響度などを評価して、優先順位を決め、費用対効果を勘案しながら対策を決定する。難しいのは、比較的起こりやすい事象(リスクを統計的な問題として考えやすい事象)ではなく、めったに起こらないが影響の大きい事象に対する評価・対応である。たとえば、セクハラ問題に関するリスクへの対応は比較的実施しやすいが、首都直下型地震の評価や対応をどうするかの決定は難しい。

今回の年金機構の問題に関して言えば、そもそものリスクの把握やそれへの備えも甘かったという意味でリスク・マネジメントに不備があったし、トラブルが発生してからの対応にも問題あったということで短期的な危機管理もできていなかったと言える。

だが、我々は他組織の不備をあげつらうのではなく、これを他山の石とすべきである。自社においてリスク・マネジメントや危機管理の仕組みがしっかり構築されているか、ぜひ確認いただきたい。

【関連情報】
もっとビジネススキルを上げたい方へ!ゲスト講演や30以上のセミナーをご紹介>>

  • 嶋田 毅

    グロービス経営大学院 教員/グロービス 出版局長

    東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。
    グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

関連動画

学びを深くする

記事に関連する、一緒に学ぶべき動画学習コースをまとめました。

関連記事

合わせて読みたい

一緒に読みたい、関連するトピックをまとめました。

サブスクリプション

学ぶ習慣が、
あなたを強くする

スキマ時間を使った動画学習で、効率的に仕事スキルをアップデート。

17,800本以上の
ビジネス動画が見放題

7日間の無料体験へ もっと詳細を見る

※ 期間内に自動更新を停止いただければ
料金は一切かかりません

利用者の97%以上から
好評価をいただきました

スマホを眺める5分
学びの時間に。

まずは7日間無料
体験してみよう!!

7日間の無料体験へ もっと詳細を見る

※ 期間内に自動更新を停止いただければ
料金は一切かかりません

新着記事

新着動画コース

10分以内の動画コース

再生回数の多い動画コース

コメントの多い動画コース