「2011年春に日経新聞で取材を受けた「こころの玉手箱」シリーズについて、このたびブログ掲載の許諾を得たので、まとめてアップすることにしました。」
東日本大震災の直後、復興支援の「KIBOWプロジェクト」を立ち上げた。義援金を募り、地元支援団体に寄付するだけではない。各地に出向き、経営者やボランティア団体のリーダーなどと再創造に向け、情報・意見交換を続けている。今月は盛岡だ。
4月の福島県いわき市での会合には、強い余震と断水が続いていたにもかかわらず約80人もが集まった。ある参加者の言葉が今も心に残る。「避難所の雰囲気は、リーダーシップを発揮できる人がいるかどうかで決まる。良いリーダーがいれば前向き、そうでなければどんよりしている」――。
夢にあふれる方々と接する機会は多いが、このプロジェクトでの出会いは感動的だ。参加者には肉親を失った人も少なくない。深い悲しみを抱えながらも、みんな明るく、とても前向きだ。出てくる言葉の一つ一つが本当に重い。批判に終始する人などいない。
僕は海外で経営学修士号を取得して、ベンチャー企業を起こし軌道に乗せた日本人の第一号ではないだろうか。「政治家が大きな枠組みを決め、科学者が発明をする。でも、実行するのは民間だ。国を豊かにするのは企業であり、率いるのは経営者。世界のビジネスリーダーを育てよう」。こんな思いで20年間、やってきた。
ダボス会議にも何度か呼ばれた。世界最大の「リーダーの品評会」だ。素晴らしいスピーチに出合うと、ワオ! と興奮する。そして、どうしたら彼ら、彼女らに近づけるのかと自問する。
僕も、3年前に日本で次世代リーダーの合宿勉強会として「G1サミット」を旗揚げした。スローガンは「批判より行動を」。回を重ね、参加者みんながリーダーだと自覚し始めた。
存在感が低下した日本が、大震災で世界から注目を集めた。だが、海外での報道にはおかしなものが多かった。様々な国際会議で知り合った約3600人の世界のリーダーに、実情を伝える長文の電子メールを10通も送った。被災地で目にした光景やKIBOWでの出会いが僕にそうさせた。
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