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いま新しい技術が10年後には普通になる

投稿日:2024/05/07更新日:2025/05/19

今年2月発売の『ビジネススクールで教えている 武器としてのAI×TECHスキル』から「Chapter9 来るべく技術に備える」の一部を紹介します。

テクノロジー、特にITは指数関数的に進化するという特性を持ちます。それゆえ、「2、3年前までは不可能だったことが今年はできるようになった」ということがよく起こります。

2024年の段階で導入期、あるいは成長期の初期にある技術としてはブロックチェーンやWeb3.0があります。これらは「大化け」が期待されながらも浸透に苦労している技術とも言えます。しかしブレークスルーによって一気に普及する可能性もやはり秘めています

ビジネスパーソンとして世の中の潮流に取り残されないためにも、注目を浴びている新しいテクノロジーの基本くらいは理解しておきましょう。今回はWeb3.0を取り上げます。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、東洋経済新報社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

Web3.0

Web3.0 (Web3、ウェブスリーとも呼ばれる)とは分散型のウェブ技術です。現在の中央集権的なインターネットのアンチテーゼでもあり、データの所有権や制御権をユーザーに戻す目的で生まれました。その意味でブロックチェーンに似ており、また実際にブロックチェーンの技術を応用しています。

大きな特徴としては、ユーザーが自身のデータの所有権を持つ点が挙げられます。これにより、プライバシーの向上が維持できるだけではなく、デー夕を商業的に利用して対価・報酬を受け取ることも可能となります。

また、先述したスマートコントラクトを実装している点も大きな特徴です。これにより、取引の効率化や信頼性の向上が期待できるようになります。

以下、図に示したいくつかの重要キーワードについて解説します。

トークン

トークンは、ブロックチェーン上のデジタル資産の単位です。トークンには主に2つの種類があります。1つは「ファンジブルトークン(代替性トークン)」で、暗号資産がこれに該当します。各トークンは同等の価値を持ち、互換性があります。

もう1つは「ノンファンジブルトークン(非代替性トークン:NFT)」で、これについては次に説明します。

なお、デジタルトークンを中心とした経済システムをトークンエコノミーと言います。トークンエコノミーでは、コンテンツの作成やデータの共有、ネットワークの保守などの活動にトークンが報酬として与えられます。

NFT (Non-Fungible Token:非代替性トークン)

NFTは、ブロックチェーン技術を基盤とするデジタル資産の一種で、ブロックチェーン上の鑑定書のようなものだと考えればいいでしょう。通常、デジタルなプロダクトは複製が容易で、どれがオリジナルでどれが複製かは区別できません。しかし、NFTをつけることで、一点ものであること、オリジナルであることが証明可能となるのです。2021年3月にはデジタルアーティストのBeepleの作品が約75億円で取引されるなど、バブル的な状況も生じました。

NFTの進展によって、画像や動画、テキストなどのあらゆるデジタルプロダクトについて(あるいはデジタルに紐づけることで絵画などのアナログな作品も)所有権を改ざんできない形で一次流通、二次流通させることが可能となります。また、スマートコントラクトを利用すれば、取引の都度、オリジナルの作者に利益が還元される仕組みも実現できます。

一方で、生成AIのレベルが上がりすぎた結果、画像については供給過多な状況も生まれています。本当にオリジナルでレベルの高いものでない限りNFTにはフィットしないのではないかという意見も聞かれるようになっています。

DAO(Decentralized Autonomous Organization:分散型自律組織)

中央集権的なトップダウンではなく、分散型の意思決定をするための仕組みを兼ね備えた組織、あるいはより広くコミュニティのことを指します。

具体的には、まずブロックチェーンを使ってDAOで使えるトークンを発行します。このトークンを持っている人の投票によって組織の運営を決めていくわけです。トークンは株式会社の株券のようなものと考えればいいでしょう。ブロックチェーンの技術を使っていることから、誰がトークンを持っているのかといったことが可視化されます。また、株式会社とは異なり、トークンは、コミュニティの運営側だけではなく、顧客も所有して意思決定に参加できます。それゆえ、「意思決定の民主化」と表現されることもあります。また、信用の象徴である中央集権をなくしたことから、「信用の民主化」と呼ぶ人もいます。

DeFi(Decentralized Finance:分散型金融)

伝統的な中央集権的な金融に対し、銀行や証券会社といった仲介業者をスキップする形の分散型の金融のことです。

代表的なDeFiで暗号資産の取引所である分散型取引所(DEX)では、スマートコントラクトベースの暗号資産閧の交換に特化しており、アルゴリズムによって暗号資産間の交換レートが決められています。

今後の発展

ここまでWeb3.0の重要キーワードを見てきましたが、Web3.0は今後どのような展開を見せるのでしょうか。

1つの大きな課題は、ブロックチェーン技術が進化しないと結局Web3.0の世界も広がらないということです。そのうえでさらに、スマートコントラクトの設計・運用などの技術的課題をクリアしなくてはなりません。

規制なども障壁となりえます。事実、近年暗号資産に対する規制は世界的に強まりつつありますし、中国ではマイニングが禁止となりました。デジタル資産の取引やデータの所有権についても法的・規制の枠組みはまだ確立されておらず、場合によっては各国政府が強く規制を敷いてくる可能性もあります。

もともとWeb3.0は、技術という側面以上に「思想」という側面が大でした。政府や中央銀行に制約を受けない暗号資産や取引は、魅力的な部分も多い反面、当局にはやや目障りです。 Web3.0が広がるためには、そうした人々の啓発・説得などが必要ですが、それは容易ではありません。

これも技術的には面白い部分が多く、研究者の好奇心をくすぐる部分が大なので、技術自体は毎年レベルアップしていくでしょう。

NFTに関しては、先述した課題はありつつも、社会的問題の解決や、応援したい人のサポートにそれを用いたいという意識も高まっています。これは人々を動かす大義となりえます。また、次に述べるメタバースとも相性はいいです。NFTを超えるような革新的なアプリケーションが生まれるかもしれません。ブロックチェーンとともに、注視しておきたい領域です。

 『ビジネススクールで教えている 武器としてのAI×TECHスキル
著:グロービス経営大学院 発行日:2024/2/28 価格:1,980円 発行元:東洋経済新報社

グロービス出版
グロービス電子出版

  • 嶋田 毅

    グロービス経営大学院 教員/グロービス 出版局長

    東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。
    グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

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