2007年5月2日、グロービス経営大学院名誉学長・教授であるジェームス・C・アベグレン氏が逝去されました。
アベグレン名誉学長は、1958年に「日本の経営」を著し、「終身雇用」「年功序列」といった言葉の生みの親としても知られるなど、日本的経営に関する研究の第一人者でした。
グロービス経営大学院が開学した2006年4月には初代名誉学長に就任、大学院の基礎固めにも力を尽くされました。また、教授としても「日本企業経営」講座を持たれ、日本経済の歴史的分析と国際比較の視点からの深い洞察を基に、日本的企業経営の強みを学生に伝えんと情熱を注がれました。
日本から世界に通用する経営者を輩出する――。アベグレン氏のその情熱と功績、お人柄を偲び、グロービス・グループは心から哀悼の意を表すとともに、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
グロービス経営大学院で教壇に立つジェームス・C・アベグレン名誉学長
第1部 日本経済を見つめたその生涯
◆アベグレン氏の功績
1955 フォード財団の海外研究員として初来日
1958 「日本の経営」上梓。“終身雇用制”をはじめとする日本的経営の特徴を、欧米に紹介。海外の経済学者にとって日本経済を知るためのバイブルとなる
1965 ボストンコンサルティンググループの設立に参画。初の海外拠点である日本支社の初代代表となる
1984 独立し、その後、アジア・アドバイザリー・サービス(AAS)を設立
1980年代後半 「カイシャ―次代を創るダイナミズム」(1986)、「転機に立つ日本型企業経営」(1988)、「日本の企業社会」(1989)を上梓。日本企業と世界市場との関わりについて深く分析
1991 AASをジェミニ・コンサルティングに売却
1994 「東アジア巨大市場―日本は「脱米入亜」に舵を取れ」を上梓。日本の対アジア戦略について考察
1997 日本国籍を取得
2004 「新・日本の経営」および「日本の経営〔新訳版〕」を上梓(2004)。21世紀の世界経済で日本企業がどうあるべきかを示唆
2006 グロービス経営大学院名誉学長に就任
第2部 私たちがアベグレン氏からもらったもの
日本のコンサルティング業界勃興を援け、また、日本企業の優位性を世界に向けて発信し続けられたアベグレン氏の足跡を、氏と近しく接せられた人々から寄せられた追悼文により、振り返ります。(敬称略)。
序文 田崎正巳/グロービス経営大学院経営研究科長
-1 清水紀彦/一橋大学大学院国際企業戦略研究科客員教授
-2 ピーター・カービー/日本アイ・ビー・エム専務執行役員
-3 君島朋子/グロービス経営研究所主任研究員
-4 「日本企業経営」受講生