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マネジャーのいままでのやり方は通用しない

投稿日:2024/04/16更新日:2025/05/19

今年2月発売の『ビジネススクールで教えている 武器としてのAI×TECHスキル』から「Chapter6 IT新時代にマネジャーとして成果を残す」の一部を紹介します。

ITの進化によって多くの人の働き方が変わっていきます。中にはAIにとってかわられる業務もあるでしょう。ただ、感情労働などはなかなかAIが代替できないと言われており、管理職のメインテナンス機能はやはり今後も少なからぬ意味を持つでしょう。

ただ、管理職の仕事もどんどん高度化し、いままでのようなのんびりしたやり方は通用しなくなると予想されています。従来よりも難しい意思決定をよりスピーディにこなししつつも、多様化する人材を巧みにマネジメントし、生産性を上げなくてはならないのです。しかもそのリソースは会社に与えられるのを待つのではなく、自分で調達しなくてはならなくなるでしょう。マネジャーに求められる資質はますます高度なものになるのです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、東洋経済新報社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

成果の出し方の変化に伴う、必要な資質

成果を上げるうえでのマネジャーの仕事力のベースは大きく3点に分解できます。1つ目はITツールの使い方、2つ目は既存のリソースに囚われない「ありたい姿」「あるべき姿」からの発想、そして3つ目は高速の意思決定です。これらに関する素養も大きな意味を持つようになります。

1つ目のITツールという点では、Chapter1からChapter4で説明したスキルがマネジャーにとっても当然大切になります。

2つ目の必要になる力は、必要なものを的確に発想して、外からリソースを調達してくる力です。現在のマネジャーの多くは、ありたい姿から考えるのではなく、今あるリソースにどう仕事を割りつけるかを考えています。

そうではなく、「この成果を出すためには、あるべき仕事はこうだ」と発想して、足らないところは外から借りてくるという発想に変えないといけません。これは現在でもできるマネジャーはやっていることですが、その必要性がさらに増していきます。

一方で、あまり生産性の良くない部下や、生成AIに仕事をとられてトレーニングの機会がなかった「できない若手」の面倒もマネジャーは見なくてはなりません。そうした「扱いに困るリソース」と、社外にある良いリソースの断片と、さらにAIを組み合わせるという複雑なパズルを解く力が必要となります。

3つ目の力が、先述した高速で意思決定する力です。実は現場のマネジャーの中には、自分に与えられた枠の中で定型的な判断をするだけというタイプの管理職も多いのです。

ところが、AIが発達すると、定型的な判断は自動でやってくれるようになります。顧客のクレーム対応なども、膨大な過去履歴を検索して一番答えが該当しそうなものを出せばいいという時代になるわけです。ビッグデータを活用して顧客の体験価値の細部を改善するような意思決定も人間の仕事ではありません。

そこで残る意思決定は、コンピュータではできないより面倒くさいものや、大きな方向転換を伴うものになってきます。先述したようにマネジャーの仕事は大変になりますから、決断の重みも上がります。その中で責任をとって意思決定をしないといけないのです。しかもその頻度は増えていく可能性が高いです。

そのためには、緻密に考えること、そして胆力が必要となりそうです。胆力は、表現を変えれば、困難な状況に直面したときに恐れを乗り越えて行動する勇気や決断力です。プレッシャーの中での意思決定において、この要素は非常に重要です。優柔不断なマネジャーでは成果を残せなくなっていくのです。

若手の育成や外部とのコミュニケーション専門のマネジャーが登場する?

生成AIなどが進化すると、それまで「雑巾がけ的」に若手に与えられていた雑務は大きく減ります。そこで、育成のために必要になるのは早い段階で良い体験を積んでもらうことですが、良い一時体験を準備するのは非常に難しくなります。センスのいい若手であれば自ら有益な仕事を生み出せるかもしれませんが、そのような人はごく一部でしょう。

大手コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(BCG)も、実践的なトレーニングを与えることは難しくなると指摘しています。そこで出てくる仮説が、人工的なトレーニングの場を作る専門的なマネジャーの登場です。場合によっては外部機関と協力して、より効果的なOFF-JTの機会を生み出し、そこで若手を鍛えるわけです。

外部とのコミュニケーションの専門家のようなマネジャーも増えるかもしれません。対人コミュニケーション業務も複雑になるからです。生成AIを用いたチャットボットなどが増える一方で、それで満足しない顧客も増えることが予想されます。

ここまでは基本的にジェネラリスト的なマネジャーに必要な素質について見てきましたが、何かの分野に特化したマネジャーが生まれる可能性もあります。そうした特化型マネジャーと協業する能力が重要となる場面もあるかもしれません。

ビジネススクールで教えている 武器としてのAI×TECHスキル
著:グロービス経営大学院 発行日:2024/2/28 価格:1,980円 発行元:東洋経済新報社

グロービス出版
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  • 嶋田 毅

    グロービス経営大学院 教員/グロービス 出版局長

    東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。
    グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

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