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ネットリテラシーのイロハ 怖い「事実=真実」の錯覚

投稿日:2021/07/09

今年6月発売の『グロービス流 あの人頭がいいと思われる 考え方のコツ33』から「8.ネットサーフィンで考える」の一部を紹介します。

いまや情報収集で最も多く使われる手法は、インターネットでの検索や、ハッシュタグを活用した方法です。ただ、こうした手法は便利で多様な情報にアクセスできる反面、怖さもあります。ネットの情報は良くも悪くも玉石混交(むしろ、100の石の中に玉が1もないケースもあります)であり、どの情報が信頼できるのかを見極める眼、すなわちネットリテラシーがないと、間違った情報ばかりが蓄積されてしまうからです。間違った情報に基づいていては、どれだけ一生懸命に考えても、正しい結論にはたどり着けません。さらに、最近はアルゴリズムが「その人が見たい情報を見せる」ようになっているため、いったん自分のものの見方が偏ってしまうと、それを補強する情報ばかりがますます集まるということが起きています。基本ではありますが、まずは意見と事実を峻別する、そして事実であってもその発信者の意図を含んだ「偏った事実」でないかということには意識を向けましょう。その気になれば、事実に基づいて、ある人を悪人に見せることもできれば、善人に見せることもできるという落とし穴は意識したいものです。賢くネットと付き合う力こそが、現代人の思考力を大きく左右するのです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

◇    ◇    ◇ 

意見と事実を峻別し、可能な限り原典・出典に当たる

まず必要な基本動作は、意見と客観的な事実を峻別することです。意見はあくまでその記事の執筆者の主観であり、事実とは異なります。もちろん説得力のある意見もありますが、基本的にその人の立場やアングル(モノの見方)を反映させていることには注意が必要です。これについてはまたあとで触れます。

もう一つの「客観的な事実」ですが、それが本当に客観的で正しいかを確認するのは決して簡単ではありません。たとえば、日本の歴代総理大臣の在任期間のようなごまかすことが難しい情報であれば、ウィキペディアで調べることもできますし、他の出典を当たればすぐに確認することができます。また、統計の取り方を確認することは必須ですが、国や政府関連の機関が取りまとめたデータも信頼性は高いといえるでしょう(2019年には厚生労働省のデータが間違っていたというニュースもありましたが)。

査読された論文も通常は信頼度が高いといえます。ただし、論文の中には仮説を提唱した段階のものもあるので、その仮説を鵜呑みにしないことは必要です。出典が明示された書籍(特に学者が書いたもの)に含まれている情報も比較的信頼性は高いといえます。一般に「起きたことが複数の情報源から保証されている」ものは客観性が高いといえるでしょう。

「誰々がこう語った」タイプの情報には要注意

難しいのは、「誰々がこう語った」といったタイプの情報です。これらは語った人が故意に事実を曲げることもありますし、本人が勘違いする可能性もあります。比較的信頼度の高い媒体のインタビューであっても、「聞かれた本人しか知リようがない情報」については、インタビューをする側も確認しようがないのです。

特に成功者のインタビューなどは一般に美化される傾向がありますから、それを鵜呑みにするのは時には危険です。媒体の信頼度について意識しつつ、最高レベルの媒体であっても、その手の情報は「話7分」くらいに聞いておく方がいいでしょう。

意見の見分け方――立ち位置を知る

意見については、可能な範囲でその意見を述べた人間の立ち位置や、普段の発言の傾向を知っておくとよいでしょう。たとえば、政治的には保守なのかリベラルなのか、経済に関しては規制を好むのか自由を好むのかといったことです。業界首位の企業の人間と、それを脅かすベンチャーの人間でも当然立ち位置は変わってきます。また、ある特定の団体(政党や利権を持つ業界や企業など)のスポークスマン的な人もいるので、誰の利益を代弁しているのかを意識しておくことも必要です。

こうしたことを意識しておくと、仮に事実をベースに発言しているように見えても、自分にとって都合のいい事実を集めて論を組み立てている可能性があるのではないかと推論できるわけです。これは簡単ではないですが、日頃からさまざまな情報に接し、経験を積むとある程度は想像できるようになってきます。

グロービス出版
グロービス電子出版

グロービス流 「あの人、頭がいい! 」と思われる「考え方」のコツ33
:グロービス 発行日:2021年6月16日 価格:1,650円 発行元:ダイヤモンド社

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